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126話「諜報ファミリー活動!!」

 翌朝ッ!! オレはハイテンションッ!!


 イメチェンという事で、オレは渋めの緑色の冒険者服に変え、ヤマミはオフショルダー気味の黒ワンピースの身軽な衣服、そしてクックさんは黒いツノっぽいのを頭上の左右に装着しての黒ワンピース!

 右にオレが聖剣を銃に変形させて構え、左にヤマミが杖をクナイみたいに握り暗殺者風に、センターにクックさんがバンザイポーズで決めたぞ!


「はぁ? 突然なんなんだよ?」


 ウイルはジト目で突っ込んでくる。

 オレは「異世界(ここ)ではスーツないので色で揃えました」と涙ぐむ。くくぅ!

 ヤマミの方は恥ずかしげに頬を赤らめている。


「いやね、昔(並行世界(パラレルワールド))に見たアニメというか漫画を意識してみたぞ」

「どうでもいいけど不自然だろ。何があったんだよ?」



 するとコンコンとノックが聞こえる。来た!

 オレはヤマミと顔を見合わせて頷き合う。


「どなたですか?」


 ドアを開けると、茶髪ボサボサの赤いバンダナを額に巻く強気な顔の男がいたぞ。

 側に白い衣服を着た怪しげな男。目だけで頭と口元は隠している。

 ……帝国の勇者できたか。


「ん? ああ、この国の勇者?」

「違う、違うよ! 俺、俺はな大地のタイガーラン帝国の“土龍の勇者”アリュール様だ!」

「えっ?? なんで帝国の勇者がここに??」


 白々(しらじら)しく問答する。

 何も知らないと思っているせいか、勇者は「しょうがねぇな~!」とイヤミったらしく得意気そうだ。


「こんな国よりも、我の、我の帝国の方がいいんだって誘ってるんだよ?」

「えー。オレたち、ここ来たばっかなんですが?」

「いいよ、いいよ。朝飯一緒に行こうぜ? 話を、話をしようぜ?」


 どことなく口ぶりに特徴を感じさせる。

 ホテルの食堂で、オレたちは勇者さんと一緒にテーブルで朝飯を済ましていく。


《勇者と使者以外に、壁の向こうで『察知(サーチ)』広げてるっぽい人が数人。更に遠くにも諜報員(スパイ)がいて何らかの方法で伝達している》

《おけ。さりげなく尋問(じんもん)とかしてみっか》

《ボロ出さないでよね》


「なんでオレたちに?」

「英雄さまだからっかー?」

「はん! 俺が、俺が本気出せばもっと強いんだよ! ガキ見たいか?」


 しかし横の使者が勇者の脇に肘鉄(ひじてつ)して「おい! ()()()(さん)はいい。奴らを誘え」とボソッと耳打ち。普通なら聞こえない小声なんだろうが、こっちには丸聞こえであるぞ。

 勇者は「そ、そうだったな」とボソッと返している。


「あの、あのマリシャスを倒したというラッキーな英雄がここに来たと聞いて、飛んで、飛んできたんだよ!」

「へー」


 運良く英雄になったってバカにしているんだろうが、実際そんな感じだもんな。

 下手すりゃオレたちは存在消失してた可能性高いし。


「この国の次は、どこへ、どこへ行くよ?」

「うん。『氷のアイスバーレ王国』へ行く予定だぞ」

「今は()()()ぐらい、ここで滞在するけどね」


 敢えてこちらの情報を出す。

 自然に世間話する感じでオレとヤマミは()(つくろ)ったぞ。


「そりゃ、そりゃもったいない! ここは是非、大地のタイガーラン帝国へ来てくれよ!」

「何があるんだ?」

「ここなんかより、発達した軍事……」ガスッ!


 横の使者から肘鉄(ひじてつ)を喰らい、勇者は「ぐっ!」と呻く。

 ボソボソで「おい! 他にあるだろ?」「えっと、えっとそうだな」とか話してる。

 この勇者、多少難があるな。

 ついボロ出しそう。


「んじゃ、オレたちはこの国の城へ行くから一緒に来ねぇ?」

「ええっ!?」


 不意打ちをかましたら、勇者と使者はビックリしたぞ。


「こっちは観光目的で来てるの。ヒマなら一緒に行きましょうって事」

「え? ああ? そうだなぁ……」


 横の使者は焦って「もういい黙れ!」と勇者に怒鳴る。


「……済みません。それと申し遅れました。私はキビットでございます。勇者様のお付き人です」

「キビットさんですね。よろしく」

「ええ。よろしくお願いします」


《今度は使者の方で話を進めるっぽいな》

《したたかそうね》


 オレは果樹のジュースを飲んで一息。


「“妖精の白騎士”ナッセ殿、“黒魔の妖精”ヤマミ殿、そして……」

「息子のウイルです」

「クックさんだ────!!」

「お元気なお子さんですね」


 作り笑顔が上手く柔らかい印象を出しているぞ。


「勇者様と一緒に旅行してたんですが、帰る時にあなたがたの事を知って誘った次第です。よければこれから来ませんか? 無理にとは言いませんが」

「じゃあ、今はここで観光を楽しみたいので先に帰ってください」

「ええ。さっきも言った通り、来たばかりだからね」


 使者は(わず)かに(まゆ)をはねる。


「マリシャスをも倒した英雄さまも来られると、皇帝も喜ぶかと思って千載一遇(せんざいいちぐう)のチャンスを逃すまいと誘ったんですが……ダメですかね?」

「ゴメンなさい。ゆっくり旅行しているので」

「うん」


 下手に出ているのを、逆に利用しまくる作戦。()れてくるのが伝わってくる。


「もうちょい、後に来れば分からなかったかもしれないけど、今は無理だな~」

「それは残念です。でもやっぱりナッセ殿ほどの人間には来て欲しいと思います。帝国で豪勢な宴会もやる予定ですよ。今なら間に合いますよ?」


 食い下がってくる。食い下がってくる。


「一緒に城へ行ってからでも遅くねぇだろ? 付き合ってくれよ~」

「城へ、ですか……?」

「そう。オープンになってるから城の中を回れるわよ。私たちはS級冒険者だから、王様にも会える。()()()()()()()わよ?」


《これで付いてくれればしめたもの、王様に全てを伝えて突き出す!》

《そうでなくても、自然に別れてそのまま王城へ行って王様に情報を渡す!》


 オレたちは向こうに乗らないと突っぱねるのみ!

 終始、こっちのペースで通す!

 どっちに転んでも構わない! ふっふっふ!


「……どうしても城へ行きたいんですか?」

「あったりまえだろ! ()()()()のチャンスだぞ? 土のダイガ王国の城なんだぞー!」

「私も楽しみにしてたもの。見ずに帝国へ旅行なんてもったいないわ」


 ナチュラル風の皮肉で返され、押し黙るしかない使者。

 しびれを切らしたのか勇者は立ち上がって、テーブルにダンと叩く。


「いいから帝国へ、帝国へ来いよ! 来ればいいんだよ!」

「えっ! 怖っ……!」


 周囲の視線が集まっている最中、オレは怯えるフリをして見せる。


「うっわー! この人、帝国の勇者様だっぞー!!」


 突然クックさんが喜びに声を上げて、名指しした。

 案の定、どよどよと食堂の人たちは勇者へ注視していく。しかし勇者は強気に!


「おうよ! 大地のタイガーラン帝国の“土龍の勇者”アリュール様だ!」


 堂々と紹介してしまい、横で座っている使者は頭が痛そうに額に手を当てた。

 ボソッと「あのバカ……」と呟いたけどご愁傷様。

 もう引っ込みが付かなくなり、どう出るかはもう分かっているぞ。


「ナッセェ! 力尽くで来てもらう!!」

「痛い! 引っ張らないでくれー!」

「いいから来い! 来るんだよ!」

「やめてくれー!」


 オレは()()()手首を引っ張られてイヤイヤ揉める。もちろん周囲の人が騒ぎ出す。するとこの国の兵士たちが駆けつけてきたようだぞ。


「帝国の者! 騒ぐな! 大人しくしろ!」


 やはり帝国の人には敏感(びんかん)なので対処が早い。


「チッ! やるか! やるよな!」

「バカ! ここで騒ぎを起こすな!!」


 勇者が剣の柄に手を触れ、それを使者が制止をする。


「覚えて、覚えてろよ!」


 兵士が「ちょっと話を」と迫るが、勇者と使者は振り切って強引に退散。

 それでも逃すまいと、兵士たちも勇者たちを追って引き上げていった。


「ふう……」

《次は闇討ちしてくるわよ?》

《オッケー。闇討ちの準備される前に城へ行こうぜ》


 交渉決裂みたいになった場合、あいつらもただじゃ起きねぇ。

 なんとしてでも、この国にオレを留まらせたくない。多少強引な方法を取ってでも排除するしかない。オレたちの実力も知られていると思うから、念入りに準備しなきゃいけない。

 だからすぐには闇討ちしてこれない。




 その後、王城へ入場した際に、刺してくる視線や気配が消えた。


 オレたちを遠くから監視していた諜報員(スパイ)だろう。

 動向を掴む為に気配もなく距離を保ちつつ移動してたが……。


「ここへは、さしも帝国の人は入ってこれないようね……」

「ああ。王様へ知らせようぜ!」

「あははー!! ドッキドキしたっぞー!」


 クックさんはスリルを楽しんでいたようだ。

 ウイルは「大丈夫なんだろうな?」と怖々(こわごわ)……。


「でぇじょうぶだ。ここもライトミア王城と同じく結界が張ってるからな」

「それならいいんだ……」


 城の内部の広大な空間に圧倒されながらも歩き回ってから、王様の所へ向かった。

 冒険者カードを騎士たちに見せると「どうぞ」と扉を開いてくれた。


 謁見の間……。

 彫刻像が並び、彫刻の壁画と柱、赤い絨毯。騎士たちが護衛で並んでいる。

 豪華な王座で“温厚の地精王”コマ王がにこやかに座していた。そばで大臣。


「おお! ナッセ殿、久しぶりですな」


 オレたちは跪いて「はい」と頭を下げた。

 そしてヤマミは「ちょっと不穏な情報を仕入れたので、知らせに……」と進言。

 周囲の騎士もどよめく。王様は僅かに強張って「何かね?」と聞いてくる。


 録音した魔導具で帝国の計画を聞かせて、情報を記した紙束を渡した。


「こ、こんな事が……!?」


 王様や大臣が凍りついたのが分かって見えた。

 綿密に練られた作戦には驚かされただろう。この国の情報が帝国に筒抜けになっていたのだ。

 すかさず王様は号令を出していく。


 騎士たちを迅速(じんそく)に動員させて、王国のあちこちにある隠れ家、地下の使われていない倉庫と、侵入経路を封鎖。

 更に帝国兵や諜報員(スパイ)を次々と捕縛。

 驚くほど帝国の魔の手を一日で全て潰してしまった。これでは闇討ちの準備もままならなくなってしまう。



「やったぞ!」

「うん!」

「帝国追い払ったっぞ──!!」


 待機してたホテルの部屋で、兵士の報告を受けて喜びを分かちあった。

 ウイルは「終わったか……」と気が抜けたようだ。


「いや、まだだぞ!」

「問題はこれからね!」


 この後()()()()()をオレとヤマミは予見していた。キラーン!

あとがき雑談w


 実は帝国の勇者と使者はオレたちの衣服に疑問を持っていたぞ。


勇者アリュール「その衣服! 聞いてたのと違う! 違うよ!」

使者キビット(まさか! 我々に気づいて……?)


ナッセ「城へ行くから、ちょいキチンとした身なりでな」

ヤマミ「まったく! 言って聞かないからね」

クックさん「失礼のない衣服なのだー!」


キビット(そういう事ですか。まぁさすがにバレてないでしょう)←バレてるw



 次話『帝国激怒! 戦争が起こるか!?』

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