表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
125/200

125話「土のダイガ王国! 彫刻とゴーレムと!」

 土のダイガ王国は、他の八大王国と違って飛行船が行き交いできる空港があった。

 そのワケは付近に大穴があったからだ。

 幅は直径二四〇〇メートルと広く、下までポッカリ空いているので、中層地殻へ航行しやすい。


「あれが……王国の『ガイア大穴』か」

「聞いてたのより大きいわね」


 飛行船の窓から見下ろして、その巨大さに圧巻させられた。

 大穴の縁で城下町が広がっていて、後方に王城が建っている。


 大穴へ入っていくと、断崖絶壁をくり抜いた空洞の飛行場へ飛行船は着陸していく。


 オレたちは大勢の人と共に飛行船から降りて、見上げた。

 思ったより大きな空洞だ。

 そして木の中に隠れる蜂の巣のように、空港の上の高層ビルがスッポリハマる感じだ。


「宿も含めた空港ね。ここでゆっくり寝て飛行船に再搭乗する人もいるわ」

「一休みにはうってつけだな」


 飛行場から空港の中へ入って改札を過ぎると、ダンジョンのように入り組んだフロアになっていたぞ。上はレストランや宿屋なんだろうな。

 ふと壁際に鎧が何台も飾られているのに気づいた。

 魔界のリビングメイルのように有事の際に動いたりするんだろうか?


 空港を通り過ぎると、幅広い動く階段が視界に広がっていたぞ。

 地球で言うエスカレーターだ。昇降が左右に配置されていて、降りてくる人や昇る人が並んでいる。


「この国はゴーレム技術が発達しているからね。その応用」

「これもゴーレムなのかぁ」


 動く階段は一種のゴーレムのようだ。

 上がりきると、大きな洞窟から出るかのように外の光が溢れた。そこは城下町が広がっていて、賑わっている。

 住宅は高床式の木造の家などが多かったぞ。レンガや岩の家もちらほら。木々はヤシの木っぽい。

 滑らかに動く牛のゴーレムが馬車を引いているのが見えた。本物と変わらねぇ!

 すると吹き付けてくる熱気に驚かされた。


「暑っ……!!」

「上着脱いだ方がいいわよ」


 既にヤマミは露出度が多めのオフショルダーのような服になっていた。

 さっきまでは冷房みたいなので暑さを感じさせなかったのか……。

 身軽な身なりに上着を脱いで、収納本に吸い込ませた。ふう。


「赤道近くだもんな」

「そう。ここは年中夏。熱帯雨林地帯よ」


 王国の外側にはジャングルのように緑()(しげ)っているのが見える。

 土のダイガ王国という割に、結構緑が多いなぁ。



 歩道を歩いていると、あちこちで彫刻像が多く見かける。


「彫刻の王国とも呼ばれてるくらい多い」

「宝石王国も像とか飾ってあったけど、ここはもっと多いな」

「そりゃそう。昔からここに発注して送ってもらってたからね。修復作業も同じくね」

「へー」


 ヤマミすげぇな。国や電車の中でも色々な本を読んでたからなぁー。


 色々な店があって、小型のゴーレム像がたくさん売られていた。

 鎧兵士、動物、物語のキャラ、家事専用など、色々多い。

 ほとんど魔法力を込めて動くタイプ。

 お土産用の小さなものから、実用的な大きなものまで、店によって違う。


 ゴーレムって言えば、単に岩の人形を連想する。

 しかし、ここでは関節部に粘土など柔らかいものを使ったり、コーティングするように表面を覆う柔軟な皮のような材質で覆うなど複雑に作られている。

 だから見た目は本物の動物のように滑らかに動いて見えるのだ。


 食堂ではイモ類やスープ系の料理が多く、さっぱりした味だぞ。

 土地ごとに郷土(きょうど)料理が違うのも面白い。


 歩いているとジャングルを模した公園が広がっていて、透き通った池で子どもがはしゃいで泳いでいるのが見える。

 青と緑の珍しいキジ猫を見かけた。人に慣れているのか逃げ出さない。

「にゃあ~」

 尻尾をフリフリしてて可愛い。


「水に強いタイプの異世界の猫ね。川や池にダイブして潜水したりできる。雨の日でも活発に動いているわ」

「カエルみたいだなぞ」

「子猫が真っ黒なので、タマネコとも呼ばれるわね」


「まんまカエルだ────!」


 クックさんが撫でるとゲコゲコ鳴らしてくる。

 思わず苦笑い。


 空の雲行きが怪しくなってきたな、と思い宿屋を探していく。


『デウスエクス・ホテル』

 筒状のホテルで四階建て。かなり巨大。入る頃には雨が降り始めていた。

 エントランスホールへ入ると、彫刻像が並ぶ洞窟のような変わった室内が広がっていた。なかなか風情がある。


「行きましょ」


 チェックインを済ませ、該当する部屋へ入ると洞窟にベッド、ソファー、テーブルなどが設備されている感じだぞ。ひんやりした雰囲気だ。

 ベッドへ飛び込むクックさん、相変わらずトランポリンしないと気が済まないようだ。

 カーブする外壁に沿って横に長い大窓。もう薄暗い雨雲。雨がザーザー降っていて都市が濡れているのが窺えた。


「止むのはいつ頃かな?」

「ここ熱帯雨林地帯。降りやすくて当たり前」

「あー。そうだった……」


 ウイルを見やると、既に絵描きに取り掛かっていた。


「一体何枚書いているんだろ?」

「宝石王国とかでもそうだったし、色々な地域を視界に入れて絵に描きだしてるみたい。夢中になるのはいい事なんだけどね」


 全く、とヤマミは腕を組む。


「ウイルー! 紙や絵の具足りるかー?」

「茶色、鼠色、青色がなくなりかけ、一緒に買い物いいか?」

「ああ。いいぞー」


 生意気だったのが鳴りを潜めて、素直になってる気がする。

 五年間手を焼いてたのが嘘のようだ。

 良い傾向だと喜ぶべきか……?



 二時間くらい部屋で休憩したら、食堂へ晩飯を済ませにいった。

 カレーみたいなスープをいただいていたぞ。火の国地域のような肉ジューシーってワケじゃないから、比べれば味気ないかもしれない。

 バナナだかよく分からない果汁ジュースも控えめな甘さと清涼感がいいな。


 散策してて気づいたのだが、ホテルの地下から広がっている地下街に驚かされた。

 雨水を誘導するような水路が壁際など至る所に沿っていて、貯水槽へと流れているようだ。そして地下街は王国の裏の顔のようにジメジメした雰囲気を醸し出している。

 夜という事で、ネオンが光っている怪しげな店もチラホラ。


「行きましょ!」

「お、おう……」


 サキュバスが出てきた途端、ヤマミがオレの腕を引っ張って通り過ぎた。

 しかし地下街も入り組んでて迷路みてぇだ。

 閉まっている店も多く、年代ものの汚れがこびり付いている。


 ふと怪しげな気配を潜める人が通り過ぎてて、チラッと振り返る。


「帝国の兵士か。鎧は着ていなかったが……」

「ええ」

「なんだよ? また帝国か?」


 オレは立てた人差し指を口に添えて「しっ! 静かに」と呟く。

 ウイルは慌てて口を押さえ、コクコク頷く。

 クックさんは「極秘任務ー?」とワクワクしてる態度を見せている。

 とは言え怪しい気配が一箇所に集まっている感覚がした。悪欲探知(グリードサーチ)ができるから、そういった諜報活動はオレたちには筒抜けだ。

 ヤマミは黒い小人を数匹、床に這わせていった。


「さ、買い物行きましょ!」

「だなぞ」


 何事もなかったかのように散策へ繰り出した。

 たまたま文具店があったので、ウイルの買い物を済ませてきた。夜でも開いているのも驚きだが、暇つぶしで運営してるからなんだそう。




 ホテルへ帰った後、ウイルとクックさんを先に寝かした。

 そして聞かれてるかどうか『察知(サーチ)』を広げて確認。今のところ、怪しい人はいない。

「……話おけ」

 ヤマミに告げると頷いてくる。ソファーでくつろぎながら、ボソボソ話し始めたぞ。


「思ったより、入り込んでいる帝国の兵士や諜報員(スパイ)が多いわ」

「集合場所は?」

「更に地下の、倉庫だった目立たないような建物をアジトにしてるわね」

「なんか話してた?」

「ええ。この国や城の結界を無効化する方法を(つか)めたから、三日後実行するらしい。録音はしといたわ」

「じゃあ、この国の王様とかに知らせないと!」

「うん。早い方がいい。明日、城へ行きましょ!」


 コクリと頷く。


「って、()()()は放っておいていいん?」

「泳がせときたい。色々作戦を話してる。それにしても侵入経路よく調べたものね、って感心してる」

「うわぁ……。侵略する気マンマンじゃねーか」

「そうね」


 今も、なんか作戦を出し合ってるらしく小人を経由してヤマミはリアルタイムで見聞きしている。

 さっきの文具店で買った紙にスラスラとマップを描いて、帝国の機密情報がドンドン追加されていく。


「こんなに緻密に練ってたのか……」

「うん」


 するとヤマミが硬直した?

 こちらへゆっくりと振り向いてくる。何があった?


「私たちが来ている情報も(つか)んでる。明日、接触を試みるらしいわ」

「えぇ……? 暗殺??」

「ううん。私たちがこの国にいるのが厄介だから、なんとか味方につけたいみたいね」


 大地のタイガーラン帝国が、オレたちを仲間に引き入れたい?


「ダメだったら人質に取って恫喝(どうかつ)するつもり」

「ウイルか?」

「うん。クックさんも入れて二人。あなたと私だけ要警戒人物と認識してる」

「へへへ、そりゃ怖いぞ~~! クックさん強いからな~~!」


 ヤマミは「終わった」と、紙を畳んで収納本にしまう。

 どうやら作戦会議は終わったみたいだなぞ……。


「ここへ監視しに来るみたい。夜通しでね」


 オレたちがどう動くのか、一挙手一投足いっきょしゅいっとうそく徹夜で監視続けるらしいな。

 諜報員(スパイ)って大変だな。お疲れ様としか言いようがない。


「能力者?」

「うん。『察知(サーチ)』に秀でた能力者」

「じゃあ、気づいていないフリしとくかぞ」

「うん」


《ちょうどいいわ。『思念通話(テレパシー)』を活用しましょ》

《おう!》


 魔界へ行った時に魔族から教えてもらった()()でコソコソすっぞ。さすがに帝国の諜報員(スパイ)でも聞き取れまい。

 というワケでワックワクしながらベッドに寝入った。

あとがき雑談w


 シミレーションゲームでよくある量産型の兵士さんっぽいのが数人並んでいる。

 しかも目を影で覆っているそれっぽい表情だぞ。


帝国兵A「この国にナッセとヤマミが来ていると情報を聞いた」

帝国兵B「なるべく味方に引き入れたいのだが……」

帝国兵C「そうですもんね。あの二人マジ化け物だからなぁ」

帝国兵D「ウチにも勇者いるんだけど、正直言って勝ち目なさそう」

帝国兵A,B,C「「「うんうんwwwww」」」


“土龍の勇者”アリュール「うるさい、うるさいよ! そこな、そこっ!」


 なんと勇者さんも来ていたのだ────っ! これからどうなるやら!?



 次話『落ち着きのない帝国の勇者がナッセたちと会話を!?』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ