119話「ただいま炎上中! 革命軍の王国!」
ガープフレア王国の上空で、凄まじい激戦が繰り返されていた。
「「うおああああああああああああ!!!」」
カバのような太った体格と顔を持つピポポダ女王と、赤いパンチパーマの褐色肌で大きな胸と尻が特徴の女勇者ゴーファドが激しく接戦。
ピポポダ女王は溶岩で固めた両拳で殴打し、ゴーファドは刃こぼれした大剣を振るい、一進一退の攻防を繰り広げて互い傷つけ合っていく。
その度に、周囲を揺るがす衝撃波を散らし続けていた。
ガガッガガガッガガッガガガガガッガッガッガ!!
あちこち空を飛び回りながら、幾度なく激突を繰り返す。
ついに女王の振り下ろす溶岩パンチで、ゴーファドは王国へ叩き落とされて、建物を巻き込んで爆発のようにバゴォオッと煙幕を吹き上げた。更に建物をバゴバゴバゴッと次々崩していきながら一直線と惰性で転がり続けた。
「この女王さまの力を思い知れ────ッ!!」
低空飛行でピポポダ女王は両拳を交互に突き出しながら火炎弾を乱射。
咄嗟に起き上がったゴーファドは大剣を振るって、火炎弾をことごとく弾いていく。それらは王国中へ散らされていって、爆撃の嵐が巻き起こっていく。
ドガッ! ドガガッ! ドガドガガッ! ドガガッ! ドガガガッ!!
次々と建物が破壊し尽くされていって、住民もたまらず「うわぁ~~!!」「助けてくれ~!」「きゃあー!!」と吹っ飛んでいく。
男奴隷も烈風に流され、転がっていく。
「やば! このままでは王国が滅びるわ!!」
「なんとしても止めろ────────ッ!!」
「うりゃあ────ッ!!」
女兵士や女騎士もエーテルを纏いながら止めようとするが、戦闘力が高い二人には近寄れず、逆に流れ弾を浴びて吹っ飛んでしまう。
「ぎえ~~~~っ!!!」
なおも怒り狂った女王の乱射と女勇者のパリィはしばらく続いた。
「くっ! ハァハァ……、しぶどいわね!」
乱射を切らしたピポポダ女王の背後へ、ゴーファドが瞬間移動のように現れ、大剣で地上へ叩き落とす。バゴンッ!
地中を潜ったか、反対方向の離れた建物を砕いて、ピポポダ女王が飛び出してきた。
互い傷だらけで息を切らして、ハアッハアッハアッと苦い顔を見せ合う。
それでも二人は激しいオーラを噴き上げ続けていた。
「キリがないよ! さっさとカバ呼ばわりした事を詫びな! 半殺しで許してやってもいいよ!」
「断る!! カバこそ、ナッセさまを侮辱した事を取り消せざぁ!!」
「まだカバカバ言うか~~~~っ!!」
沸騰した思考では、もう何も考えられない。
再び二人は激情任せに、大地を爆発させるほどに地を蹴って、両者激突!!
ドオオ────ンッ!!
寂れたような雰囲気の赤い荒野をオレは家族総出で歩いていた。
あちこち塔のような形状の岩山が立っていて、草木が点在している。トカゲがヒュルンと走り抜ける。
なんか何度か少し地面揺れてる気がするが……。
「なぁヤマミ。ゆっくりでいいんかな?」
「いい。先ほどの襲撃で盗賊団はいないから」
半日ほど歩いているが、確かに視線や殺気は全く感じられない。
ゼルゲチィス王国へたどり着くまで嫌というほど感じていたのに、今では別世界のようにガラリと消えていた。
ヤマミの言う通り、本当に誰も潜んでもいないだろう。
「女騎士たち、おっそろしい剣幕だった────!」
クックさんは岩山の上をピョンピョン飛び移っていた。
昨夜、無人の宿で泊まったゼルゲチィス王国って所はもう半壊だ。
誰一人いなくなってて廃墟同然になっていた。寝起きからのインパクトで狐に化かされたかと思ったぞ。
この様子だと戻ってきた人はいないんだろう。また襲われては敵わんしな。
んで、逃げおおせたごろつきは、女性至上主義の女騎士たちの恐ろしさを周囲に広めたんだろうな。全く気配がねぇ。
「なんで盗賊団はこんな危険極まりない地域に集まってきたんだ?」
「物騒だから多くの人が近寄らない、ってだけで集まってきてるでしょうね。国際指名手配の極悪人や脱獄してきた囚人が多いらしいから」
「あいつらに捕まるって考えなかったのかな?」
「どうせ『自分は大丈夫だ』なーんて変に自信満々だからじゃない?」
ウイルが「みずー!」ってたから腰の水筒を渡した。
「……さすがに女騎士たちが強すぎるとは思わなかったもんな」
「そういう事」
女騎士は少数精鋭ながらも、高い戦闘力に加えて洗練された戦術を発揮していた。ほぼ一方的な蹂躙で、もはや狩り場も同然になってた。
悪人とはいえ、次々と捕らえられていくのは悲惨だなって思ったぞ。
「捕まった男たちはどうなるん?」
「隷属して国の歯車にするんでしょうね。女性至上主義だから」
「うひゃあ~!」
空が橙に滲んでいくのを見て、そろそろかと足を止めた。
世界一高い山から流れている川が横切っているので、その付近の平らな地面にテントを張っていく。
汲んできた川の水をろ過魔法で綺麗にして、集めてきた具を焚き火で煮て、みんなで晩飯をいただいた。
腹を満たして「ぷぱ~!」と満足したぞ。
「あ、なっがれぼしー!!」
クックさんが指さした先の夜空に、流星が弧を描いて急下降しているのが見えた。
ふとウイルを見やると、焚き火の明かりを頼りに絵を描いていた。
「これ襲撃の……?」
「……なんて言うか、あれはひどかった。だから絵に残したくなった」
赤い火が燃え盛ってて半壊した国と、恐ろしい女騎士に捕まっていくごろつきの絵。
かなり上手くなってるせいか、凄惨さが伝わって来る力作だ。
気持ちを吐き出すかのように描かれた絵から、なにかグッと心に響く感覚がする。そういうのはオレもさすがに描けねぇ。大したもんだ。
「痛々しいのが伝わって来るなぞ」
「すっごーい!! ウイルうますぎー!!」
「へぇ……」
ウイルは照れくさいのか「よせやい」とそっぽを向いた。
こりゃすげぇ絵師になるなぞ。
日が暮れて夜になった今でも、女王と勇者の激突は崩壊した王国を揺るがし続けていた。
殴りかかろうと急降下してくるピポポダ女王に対し、勇者ゴーファドは大剣を横薙ぎに振るって刀剣波を扇状に撃つ。ズオオッと半壊してる建物を瓦礫ごと押し流していった。
ズズ──ンッ!!
「く……、この脳筋大女が~~っ!!」
「カバの癖にしぶどくて敵わねんざ」
衣服もボロボロで血塗れ、睨みを利かせる顔面には血の筋が何本も流れている。
全身を纏うオーラも勢いに衰えを見せていた。
「フン! 仲間にも見放され、聖剣にすら逃げられて、ザマァないね!!」
「だけんども、あたいにはナッセ様が応援してくれてんのを感じているん」
「はぁ!? 妄想も大概にしな!!」
「例え一人になろうとも、ナッセ様があたいに力を与えてくれる限り負けはしなさざッ!!」
もう話は通じない、とピポポダ女王は煮え切らない顔で黙る。
一方、ゴーファドは元気で湧いているせいか笑んでいる。後方で妄想のナッセが浮かんでいて、肩に手を添えているのだと思っているからだ。
《愛しの勇者ゴーファド。オレも応援しているよ……。フッ》
理想に描いた王子様みたいな出で立ちで、スラッとした長身の銀髪イケメンでキラキラ。
そんなナッセにゴーファドは胸にときめいて気力が湧いてくる。
「さぁあ!! ナッセさまと一緒に決着をつけてやるざぁ!!」
《がんばれ! ゴーファド、お前がナンバーワンだ!》
ナッセが認めてくれたと思い、ゴーファドは再び激しくフォースを噴き上げて、大地を揺らしていく。
万全に近い勢いだ。
しかしピポポダ女王はギリギリ歯軋りして、険悪に形相を歪めていった。
ゴーファドの整った顔と胸と尻が大きいグラマーな体型が憎たらしくてたまらない。自分は自分で目を背けたくなるほど太った体型と醜女の顔。
胸が焼けるほどに嫉妬心が熱く滾るように湧いてくる。
「少しぐらい容姿で恵まれているからって、調子にのるなぁぁぁぁあ!!!」
「カバでも嫉妬するんかいな! 安心したざ!」
「貴様あああ!! まだ言うかああああ!! おんどれはあああああ!!!」
再び怒りで我を忘れ、激しくエーテルを噴き上げて「うがああああああ!!」と嫉妬の咆哮を上げて、飛びかかる!
ゴーファドも大剣で応戦し、衝撃波が広範囲に爆ぜた!!
ドグアアアアアアアッ!!
破片散乱と平らに崩壊した王国を揺るがし、高々と噴き上げる衝撃波の噴火が土砂と破片を巻き上げていく。
薄暗くなったテントの中でウイルとクックさんが「くかー」と平穏に眠っている。
オレはヤマミと一緒に、しんみりと星々煌く美しい夜空を見上げていた。
静寂の荒野。天の川が壮大に空を横切っているのを、ボーッと眺めていると心がゆったりしてくる。
あの広大な宇宙には、もっと色んな星があって国があって、多種多様な生き物がいて、どんな暮らしをしてっかなと想像に拭けれる。
「宇宙を旅して、色んな世界を見て回るってのは壮大すぎるかな」
「そうね。でもロマンティックでいいわね」
普段は甘えたりしないヤマミがオレの肩に頭を預けてくる。
こっちもヤマミの腰に自分の腕を回して、抱き合う形で女体の柔らかさを堪能する。
愛する人と一緒に夜空を眺めながらイチャイチャしていくのは幸せだなぞ。
「やだ~」「ん~」「うふふ」「えへへ」
お互い絡み合うように、半身と頬を重ね揺すり合っている内にムードが高まってきて、濃厚な接吻に発展していく。しばらく粘着と絡んでいる内に、気分が高揚して体が熱々になっていって激しさを増していく。
夜空の下、熱愛する夫婦として熱心に体を上下重ね合っていった。
そうと知らない勇者ゴーファドは必死に女王と一晩中ドンパチし続けていたのであった………………。
ドゴーン! バゴーン! ドガーン!
あとがき雑談w
火焔四女傑「くくぅ~! 流れ弾でやられるなんて~!」
五輝騎士「まだマシだ! こっちなんか、いつの間にか全滅だからな!」
緑将五衆人「こっちは戦ってすらない……」
頑張れ!! いつかきっと活躍できるシーンが来るさ!
次話『ゴーファド愕然! 既婚だなんて聞いてないっ! また修羅場か!?』




