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114話「さぁ、空旅で別の国へ行くぞー!!」

 今朝、宿屋を出て『空港』へ目指した。

 王国中を歩き回った時に見つけたものだが、階段状の王国の中心に世界樹の中へと降りていく地下通路が存在している。

 長く長く続く広い階段はまるで大きな洞窟のようだった。

 それでも行き交う人々で賑わっている。


 実は魔導エスカレーターもあるのだが、敢えて歩いて降りているのだ。


 世界樹の中の階段は途中で踊り場のような平面の道に出る事があり、そこでは世界樹の内部をくり抜いた空洞で喫茶店やレストランなどが開かれていた。

 こうして歩き続けると、ようやく外の明かりを漏らす大穴が視界に入った。

 そこでは大掛かりな空港が広がっていたぞ。


「でっけぇ……」


 しかも巨大な飛行船が何(せき)も並んでいるのだ。

 その先の景色は雲海が漂い、その更に下の中層地殻が隙間から覗いている。壮大な世界なんだって思い知らされた。


「オレ、こんな世界を取り戻したんだよな……?」

「うん。不死鳥(デマイズ)が焼き尽くしたこの世界を……」

「蘇らした────!」


 クックさんがはっちゃけて両拳を突き上げる。


 そう、ここが『フォレスト空港』だぞ。

 横に広がる建物の中へ入ると、三階層のフロアに分かれている。そして世界地図が大きく表示されていて、下部で飛行船の行き先と出発時間が並べられるように表示されていた。

 上層地殻に限らず中層地殻にもルートが及んでいる。


「行ってねぇのは『水のブルークア王国』『風のヒュング王国』『火のルビレッド王国』『土のダイガ王国』『氷のアイスバレー王国』か……」

「乗れるのはルビレッド王国方面の『カアビ港町』と『クレブ国』行き。ロゼアット帝国行き。他の国行きもあるけど大きな国へ行くとしたら、この二つね」

「ううむ」


 ついさっき水のブルークア王国行きの飛行船出て行ってしまったしなぁ……。

 ロゼアット帝国は幻獣界での無礼を目の辺りにしたから行きたかねぇな。じゃあ行き先は一つしかないぞ。

 ルビレッド王国へはライトミア王国と同様、付近の港町に降りないとたどり着けない。


「じゃあカアビ港町かな? クレブ国からだと遠いしな」

「ライトミア王国と違って、港町からルビレッド王国まで結構遠いけどいいの?」

「たまに歩いて行ってもいいだろ?」


「え? 馬車じゃなくて??」


 やはりウイルが声を上げた。

 クックさんは逆に「おおー! 野宿だーい!」と張り切っている。


「せっかくテントとか色々買ったんだし、たまにはいいだろ?」

「え────……」


 テンションが下がっていくのが伏せ目と態度でもろ出てるぞ。


「ぜってー俺に嫌がらせしてんだろ!!」

「んー、そうかもよ? マリシャスん時に色々やられてるしなー」

「ぐっ!」


 冷やかしてみたんだが、悔しがるウイルの反応が可愛い。


「私たちも一緒に野宿するんだから、条件は同じでしょ」

「うう……」

「歩いてでしか見れない風景とかあるかもよ?」

「……あー、分かったよ分かったよ」


 風景と聞いてウイルがピクッと反応したのが見えたぞ。

 絵を描くのが好きになってきて、色んな景色を描きたい衝動に駆られているから釣れたぞ。素っ気ないフリしつつも楽しみにしているような気もする。

 全く素直じゃねぇな、と苦笑いする。




 航空券を買って、飛行船へ続く道を通って乗り込んでいく。

 サメを模したような尖った形状の飛行船。魔法合金が装甲になっているようだ。乗り込むと内部は元いた世界の飛行機と違って、三階層に渡って席が並んでいる。

 より多くの人が乗れるようになっている構造だ。オレたちは窓側の席へ座って落ち着く。ふう……。


 しばらくしたら駆動音が低く響き、窓の景色が動き始める。それは徐々に加速していく。

 ついに異世界の飛行船が世界樹から飛び立つのだ。


「おおおおおお!!!」


 広大な空の世界へ飛び込んだかのような迫力。

 下の雲海を海面のように飛行船は青空の世界を悠然(ゆうぜん)と航行していく。周囲で鳥や小さなワイバーンっぽいのが飛び交っているのが見える。大陸付近で生息しているんだろうな。

 上層地殻の下を潜るように通るのも、壮大な世界観を味わうのに足りる光景だった。浮遊大陸の下の形状が、逆さまの山脈みたいに錯覚させられるからだ。

 それが終わってからは青空と雲の世界がほとんどだった……。


 こうして飛行船でゆったり空旅を楽しめたぞ。




 五時間もすると向こうの浮遊大陸が近づいて来るのが見えてきて、感嘆させられた。

 徐々に近付いてきて、雲で(かす)んでいたのがハッキリ見えるようになり、広がる緑や小さな国が浮かび上がってくる。飛行船はその小さな国へと進んでいる。


「そろそろ着くから」

「おお! あ、起きろって!」


 ヨダレ垂らして熟睡しているクックさんの肩を揺らす。




 カアビ港町はそれなりに大きな規模の国だ。

 赤い屋根とレンガの家が連なっているのが特徴。フォレスト王国と違って無骨そうな雰囲気が窺える。空港も橙色や黄土色が多く、国の特徴を表しているのが見えて分かる。

 別の国へ入ったと実感させられたぞ。


 空港を出ると、ぶわっとした熱気を肌で感じる。気温が違う。

 少々暑いので上着を脱いだりして肌の露出を増やした。


「鉱石多いな」

「うん。魔道具が多く売られているわね」

「うわーお! きれーなアクセサリー!」


 露店も多く、彫刻やアクセサリーが並んでいる。

 独特の魔力を感じるアクセサリーで、他の国と一味違うのを(かも)し出している。精巧に効力を発揮できるように作製されているのが分かる。

 割とドワーフが多く見かける。ずんぐりしていて毛深く筋肉隆々(りゅうりゅう)だ。


 クックさんを肩車して、喧騒する町風景を歩きながら堪能した。

 ずっと前から住んでいて生活習慣として染み込んだ人々。当たり前のようにはしゃぐ子ども。寡黙に店番するムスッとした娘。警備の為にうろつく兵士。

 何年も前から暮らし慣れているのが分かる。


 オレたちは物珍しく見てっけど、ここの人たちは飽きるほど見慣れてる町でずっと平穏に暮らしているんだろうな。

 これまでも、そしてこれからも……。


「今日は遅いから、ここで泊まりましょ」

「だなぞ」


 ウイルがホッとしているのが傍目(はため)で見えた。内心ニヤニヤしちゃう。

 とは言え、午後四時だしなー。


 赤いレンガの大きな建物のホテル。古風な気品が漂う。

『ミトレングル・ホテル』

 中に入ると、レトロな雰囲気を感じさせる匂いとインテリア。受け付けでチェックインを済ませ、該当する部屋へ入ると、シャンデリアがある豪華な部屋に目を奪われる。

 すかさずクックさんがベッドの上へ飛び込んでポンポン飛び跳ねたぞ。


 七時に差し掛かると、ホテル内の食堂で料理を堪能したぞ。

 濃厚な肉汁が吹き出る厚い肉がジュウッと差し出され、息を呑む。見た事のない野菜や穀物も並べられている。

 肉を噛むと、溢れるような旨みでほっぺたがマジ落ちそう。じわーり!

 長いウィンナーもすっげぇはち切れんばかりの弾力で噛み応えがあるぞ。つい夢中になって食べ終わった時は腹が膨れたぞ。


「うう……、食べ過ぎたわ……」


 いつもは控えめなヤマミも辛そうだ。ついつい美味しすぎたからって大目に食べてしまったなぁ……。

 そんな意外な一面も可愛い。



 九時頃にはホテル内の温泉でゆったりしたぞ。

 オレはウイルと一緒に、赤いレンガのレトロな感じの大きな風呂でしんみりと湯に浸った。

 浴衣(ゆかた)に相当する、紅蓮の服をきてヤマミとクックさんと待ち合わせ。その後はお土産店を回ったりして談笑を繰り返した。


 十時頃になるとウイルもクックさんもベッドで熟睡。おやすみ。


 大窓に広がるあちこち灯る真っ暗な町風景を眺めながら、ヤマミと一緒にボードゲームを楽しんだ。

 眠気がちょうど良く(もよお)してくると「寝ようか」と二つ返事で一緒にベッドへ向かい、横になってぐっすり安穏な夢の世界へ旅立った…………。




 そして翌日の朝。

 オレたちは宿を出て、国を出ようとする時に城壁の門でなんかザワザワ物々(ものもの)しい雰囲気がしている。

 兵士たちがなんか説明している。


「火のルビレッド王国は今でも内戦中なので、観光目的で行かないようお願いします!」


 しかもその王国への馬車は出ていないようだ。

 徒歩で行くしかないぞ。


「なぁ、やっぱ……」

「よし! 行くかぞ!!」

「行っくぞ──────!!」


 オレとクックさんが張り切ると、ウイルから「なんでだよ!」と激しいツッコミを受けたぞ。バシッ!

あとがき雑談w


緑将五衆人(フォレスト・ファイブ)「結局リアクション役だったか……」

五輝騎士(シャイン・ファイブ)「おお! 同志よ!」


 新しい(背景化の)精鋭隊求ム!(おい)



 次話『ついにトラブルが来た!? 新たなる事件の予感!』

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