婚約お披露目パーティーで、友人が私を助けてくれることになりました
お義兄様とデートに行った翌日から、私達の婚約披露パーティーの準備が本格的になった。
私は別にパーティーなんていらないと思ったのだが、お義父様とお祖父様、お祖母様、果てはセッシーにまで、絶対にやらないとダメよと言われてしまったのだ。
でも、私はお義兄様との婚約披露パーティーなんてやりたくなかった。
だって私はサンタル王国の王太子に婚約破棄されたところだし……
それに、お義兄様との婚約披露パーティーというのが、少し恥ずかしいし、変な気分だ。
少し前までは本当のお兄様だと思って接していたし……
更に、お義兄様狙いのお姉様方はめちゃくちゃ多かったから、絶対に皆ろくな感情を私に抱いていないに違いないし……そんな人たちの中で婚約披露パーティーを開くというのも憂鬱だった。
いつもは私に迎合して反対してくれるお義兄様まで、最初は可愛いエリを他の男達に見せたくないって言っていたのに、お祖母様から何か言われて何故か途中からやる気満々になったんだけど、なんでだろう?
良く判らなかった。
今日は朝からマガリーのお母さんが出来た衣装を持ってきて、合わせてくれているのだ。
今回の私の衣装はピンクだ。
お義兄様の色ではない。
そして、お義兄様の衣装は白の皇太子の正装だ。
この婚約を機にお義兄様は正式に皇太子に任命されるそうだ。
まあ、元々、生まれたときからお義兄様が皇太子になるのは決まっていたと思うけれど。
今でも、兄弟の中で一番強いし、カリスマ性もあるし、恐竜皇子だし……
最後の一つはお義兄様の前では怒るから言えないけれど……
まあ、今帝国ではお義父様に次いで強いのはお義兄様のはずだ。
そう言ったらアリスから、
「何言っているんですか。そのレオンハルト様と陛下を前にしてこの前延々30分説教しておられたのはエリーゼ様ではありませんか」
とか言われたけれど、それって私が一番強いと言いたいわけ?
私はムッとして睨みつけたけれど、ついでにお義兄様の皇太子就任も発表されるらしい。
いや、絶対におかしい。普通は皇太子就任の発表がメインのパーティーになるはずなのだ。
でも、
「別にそんなのはどうでも良い」
とお義兄様が言うし、
「元々、皆そのつもりでおるからな」
お義父様までそう言うのだ。
「まあ、恐竜皇子は素行が悪いから皇帝になれるかどうかは判らないが」
とお父様が余計なことを言って、
「欲深皇帝が人のことを言えるのか」
と二人して喧嘩を始めてくれたのだが……またそれを止めるのが大変だった。
メインが私の婚約記念パーティーって絶対におかしい。
普通は皇太子殿下の婚約祝のはずなのに……
まあ、何を言っても目立つのはお義兄様だから題目はどうでも良いけれど……
衣装に婚約者の色を使わない代わりに私の婚約指輪は金の指輪に大きなサファイアがついていた。
お義兄様の指輪は金の指輪に黒真珠だ。
今回の私の衣装は飾りも色々ついていて、本当に派手な感じなのだ。
私としては恥ずかしいのだけど、
「まあ、エリーゼ。今回の衣装もちゃんとしているわ。チエナの王女も来るんでしょ。ぎゃふんと言わせてやりなさい」
お祖母様が私の装いを見て言ってくれるけれど……あのきれいな王女様に勝てる気はしないんですが……
「何を言っているの。あなたはロザンヌ公爵家の私の孫なのです。当然今後は社交界の中心になるのです。チエナの小娘など、弾き飛ばしてやりなさい」
「えっ?」
私は白い目になったんだけど、
「えっ、じゃ、ありません。チエナのズハンは昔から生意気なのです。私の夫にも平気で抱きついてくれて、夫も鼻を伸ばしていたのです」
ズバンとはお祖母様と同級生で現在のチエナの王太后だ。当時はチエナからの留学生でチエナの公爵令嬢だったらしい。帝国の皇女だったお祖母様とお祖父様を巡って争ったらしい。その遺恨から未だに仲が悪いのだ。
「いや、おまえ、そんな事は無かったぞ」
「嘘、おっしゃい。あなたは胸を腕に押し付けられて喜んでいたではありませんか」
「いや、それは」
「なにか文句があるのですか」
「……」
お祖父様が黙った。図星だったみたいだ。
「今のあのチエナの王女のホンファもその血を受け継いでいるのですよ。レオンハルトにも何回も抱きついたと言うではないですか」
「いや、お祖母様。私は抱きつかれておりません」
慌てたお義兄様が反論してきたんだけど。
「でも、あの子も胸は大きいでしょ。うちの夫なんて押し付けられて喜んでいたのですから」
「いや、そんなことはないぞ」
お祖父様が必死に反論しているけれど、
「お祖母様、私は胸はそんなに大きくなくても良いのです。エリくらいの大きさがあれば」
「ちょっ、ちょっとお義兄様、何を言って……」
私はその言葉に真っ赤になって固まってしまった。
なんてことを皆の前で言うのよ。
アリスとセドリックは私を生暖かい目で見てくれるし、一緒についてきたマガリーとシャルロット達は好奇心満々で見てくるし。
「まあ、レオンハルトったら、そんな話題を」
「胸の大きさを出されたのはお祖母様ですよ」
慌てるお祖母様にお義兄様が少し笑っていった。
「言い方というものがあります」
お祖母様はお義兄様を睨みつけて言うが、
「まあ、それよりもチエナです。エリーゼがサンタルの学園なんか行くから、この帝国内で、貴族たちに顔が売れてないでしょ」
「いえ、別にエリは目立たなくても」
「何を言っているのですか? レオンハルト。エリーゼはこの帝国の女主人になるのです。マクシミリアンに、後沿いがいないのですから、あなたと結婚したら、否応なしに、この帝国の女主人になるのですから」
お祖母様が言ってくれるが、今もお母様が亡くなってから帝国の女主人は不在だ。元皇女で公爵夫人のお祖母様が代わりにやっているのだが、お義兄様が結婚したらその相手が女主人になるのだ。すなわち私だ。そんなの地味な私が務まるんだろうか?
私には不安しか無かった。
「セシール。宜しく頼みますよ」
そんな私の不安なんてどこ吹く風でお祖母様がセッシーに振ってくれたんだけど。
「お任せ下さい。公爵夫人。私の同学年の子たちも今回デビューしますから、エリーゼ様の周りは固めさせていただきます。エリーゼ様のご友人方といっしょになってチエナの王女達に帝国のエリーゼ様の御威光を見せつけてやりますわ」
セッシーが胸を叩いていってくれるんだけど、大丈夫なんだろうか?
その横でシャロットも頷いているんだけど。
セッシーの場合、私に反抗する令嬢たちに鉄拳制裁しそうで怖いし……シャルロットはなんか色々悪巧みしそうだ。
私には心配事が増えた気しかしなかったのだ。
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
もっと更新したいんですが、書籍化作業もあって、週イチの更新になってます。
すみません。
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更新回数が増えるかも
『傭兵バスターズ』
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の更新もしていくので、こちらも宜しく。
こっちは単純に楽しめるお話です








