お義兄様視点 義妹が婚約の申込みを受けてくれて歓喜に染まりました
俺は邪魔なアガットをラペルズ国王とくっつけた後、夕日の前にエリに跪いて、プロポーズしようとした時だ。
向こうからなにか叫んで駆けてくる一番下の弟が目に入ったのだ。
何ということだ! 今回は邪魔するものなどいないと思ったのに、あの弟の感じでは邪魔する気満々みたいだった。
「やばい」
俺はそう言うと、やむを得ず、エリを抱き上げて逃げることにしたのだ。
「えっ!」
エリは驚いたみたいだ。
「お義兄様、ちょっと待って! これって完全にお姫様抱っこじゃない!」
「そうだ。昔、エリが俺に将来的にやってほしいって言っていたお姫様抱っこだ」
俺は人の悪い笑みを浮かべてエリをレッドに向かって運んだ。
「いや、ちょっと、お義兄様、恥ずかしいから降ろして!」
赤くなっているエリも可愛い。
「何を言っているんだ。俺は昔、エリと約束したことをしているだけだ」
「いや、お義兄様。それってお義兄様が私をお嫁さんにしてくれる時でしょ」
「そうだ。昔、エリと指切りげんまんしたからな」
俺は昔の約束を持ち出したのだ。そうだ。確かにエリとはそう約束したのだ。
「えっ、いえ、だからあれは小さい頃の戯言で」
エリはなんか言っているが、とりあえず、シスが来る前にここから去ったほうが良いだろう。
「母上様にも今際の際に俺ははっきりと約束したのだ。『エリの面倒は一生涯見ます』って」
「いや、それはお義兄様としてでしょ」
「一生涯面倒見るのに、一番良いのは結婚することだからな。亡くなった方との今際の際の約束は何にも増して、優先されるのだ」
俺はもうヤケクソだった。一応、これできちんと俺の意志は伝えた。
「えっ、いえ、お義兄様! 私達は義理の兄妹で……」
「義理だから、結婚できるだろ」
もうやけで俺は言っていた。
「レッド、走ってくれ」
俺はエリを抱き上げたままレッドに乗ると指示をだした。
「姉上!」
シスが邪魔しようとこちらにかけてくるが、俺はエリからシスを隠すためにエリの唇を奪っていた。
これでエリはシスなんかにかまっていられなくなったはずだ。
「ちょっと、お義兄様、待って……」
俺は抵抗するエリに少し意地悪したくなってエリの口の中に舌を差し込んでエリの舌を絡め取った。エリの唇はとても甘かった。
もう、このまま既成事実を作るかとも思ったが、そんな事をしたら二度とエリが許してくれないかもしれない。それに父もいるし、俺は持てる理性を総動員して止めたのだ。
その代わり、何度もエリにキスをした。
ちょっとやりすぎたらしい。
エリは宮殿に帰ると自分の部屋に籠もってしまったのだ。
まあ、籠もるとは言っても、エリの部屋は俺の部屋の隣だ。
俺の結界の中なのだ。
でも、あまりに強引にやりすぎるのもよくないだろう。
俺は少し反省した。
怒った時は食い物に限る。
俺はエリが王宮のシェフが作ったパフェが食べたいと言っていたのを思い出して、急いで、料理長の所に行ったのだ。
「えっ、殿下がパフェを食べられるのですか?」
「んなわけ無いだろう。エリが食べるんだ」
「ああ、エリーゼ様ですね。判りました」
料理長は納得すると、やっていた作業を止めて急遽、パフェ作りに没頭してくれた。
元々、食べ物に好き嫌いのないエリは気さくに厨房にも出入りしていたし、王宮料理人の中でも人気で、好き嫌いが多く注文も煩かったアガットやベアトリスは料理人達からきらわれていたのだ。
最後に料理長はチョコレートをハート型切ると、一番上に乗せてくれた。
「殿下。応援していますから」
料理長らに言われて、俺は王宮料理人の期待を一身に受けてエリの下に向かったのだ。
エリは最初は俺と会うのも嫌がったみたいだが、パフェを見せると嫌々ながら俺を中に入れてくれたのだ。
「エリさっきは申し訳なかった」
と謝りながら、お盆の上の大きなフルーツパフェを見せると
「ふんっ」
と怒りつつエリの目はパフェに釘付けだったのだ。
そう、食べ物でエリを釣れないわけはないのだ。
怒らせた時の甘みどころだ。
「ほら、エリ」
俺はそう言うと怒っているエリの口元にスプーンですくった一口分を持って行ったのだ。
「美味しい!」
エリはあっさりと陥落した。
「ほら、もう一つ」
もうエリは俺が口元に持っていくとひなのように可愛い口を開けてくれた。
それからも毎日、俺はエリの餌付けに勤しんだたのだ。
うーん、でも、このままではらちはあかない。
様子を見て口づけはするのだが、そこ止まりだった。
さっさと婚約しないとまたどこの誰が暗躍するか判ったものではなかった。
俺は最後の手段に出ることにしたのだ。
俺はエリを誘って墓参りに来たのだ。
ここなら、エリの両親もいるし、俺の母もいる。
ここで、強引にエリに迫ろうと俺は思ったのだ。
両親の前ではエリも断れまいという俺の計算もあった。
「何をお祈りしたの?」
「エリとの事だ」
「えっ、私との事?」
エリが驚いて俺を見た。
「そう、俺は母上に昔、エリを絶対に幸せにすると誓ったんだ。そして、エリの父上の剣聖バージルにも東方十か国を降したら、エリを嫁にすると誓ったんだ」
「えっ」
エリは驚いたみたいだった。でも、それは事実だ。剣聖の仇をとって東方10カ国を降したら、エリに結婚を申し込むと俺は昔から心に誓っていた。
「エリ、すまない。もう俺はどんなことをされても絶対にエリを離せない。もし、エリが他の国の王と結婚するとなったら絶対にその国を攻め滅ぼしてしまう自信がある。
許してもらうまで何回でもいう。
だから聞いて欲しい」
俺は正直に俺の気持ちを話した。
そうだ。俺とエリの仲を邪魔した国はたとえチエナといえども攻め滅ぼす自信があった。
そして、エリの前に跪いたのだ。
「エリーゼ・ロザンヌ、どうか私と結婚してください」
俺はエリに手を差し出した。
「えっ?」
エリは固まっていた。
あれだけエリが好きだと宣言していたのに、今更固まることもないのではないかと俺は思った。
周りの人間が俺達を見ているが、これで俺が誰が好きかは嫌でも判るだろう。
断られても何回でも時を変え場所を変えて申し込んでやるのだ。帝都中の噂になっても全然問題はなかった。
俺はずっとエリ一筋だし、周りも判るだろう。噂になれば余計な事をしてくる国も減ると思うのだ。まあ、最悪あと2、3国を滅ぼしても良いし……。
俺はエリがすぐには受けてくれないと思っていた。
なのに、なのにだ!
「お義兄様が私で良ければ」
エリは俺の手を取ってくれたのだ。
「エリ!」
その瞬間、俺は喜びのあまりエリに抱きついていた。
こんな嬉しい瞬間は無かった。
エリと始めて出会ったときから今までのことが俺の脳裏に浮かんだ。
3年前エリが婚約したと聞いて絶望した時は最悪だったが、今こうして夢が叶ったのだ。
俺はエリと唇を合わせた。
周りから拍手が起こった。
「ヒューーヒューー」
歓声まで聞こえた。俺の部下の連中みたいだ。
騎士たちも女神のエリがずっとこの国にいると判って喜んでいるのだろう。
俺は喜びのままにエリをそのまま抱き上げたのだ。
「えっ、お義兄様、ちょっと」
「良いだろう。エリ、俺達はもう母上の前で婚約したのだ」
俺はそう言うと、そのまま、皆の歓声を受けながら、エリを抱いて馬車まで連れて行ったのだ。
俺はとても幸せな気分だった。
馬車の中でも、俺はエリを膝の上から降ろさずに、ずっと抱いていたのだ。
降りたいとエリが言う度に、その口を唇で塞いだ。エリの唇はとても甘かった。
真っ赤になって恥ずかしがるエリがとても愛おしかったのだ。
エリは最後の方はもう真っ赤になって茹で上がっていた。
そのエリを抱き上げて俺は自分の部屋まで歩いて行ったのだ。
通りかかる者たちは皆俺達を祝福してくれた。
真っ赤になっているエリを抱いて歩く俺はとても誇らしかった。
そのまま、俺はエリを抱いて、エリの部屋、そう、本来俺の妃の入る部屋まで歩いて行ったのだ。
そのまま、エリをベッドに押し倒しそうになり、アリスに流石に部屋から叩き出されそうになりながら、俺はとても幸せだった。
ここまで読んでいただいてありがとうございます。
お義兄様視点でした。
まだまだ更新していく予定です。
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この次のお話『王太子に婚約破棄されて両親を殺した野蛮王に売られそうになった時、白馬の騎士様が助けてくれました』https://book1.adouzi.eu.org/n6878ix/
好評連載中です。
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