第四皇子視点 姉上はもう誰にも渡さないと心に決めたので、兄上との間を邪魔することにしました
俺は小さい時は本当に幸せだった。
母上がいて姉上がいて、そして、半分しか血の繋がらない兄上たちがいた。
まあ、父上もいたが……
俺が六歳の時に母上が亡くなった。
俺にとってはとてもショックだった。
でも、そんな俺に姉上は母上のように優しく接してくれた。
俺はそんな姉上が大好きだった。
元々俺は姉上について回ることが多かったのだが、それからは更に俺は姉上について回ることが増えた。でも、そんな俺をいつも邪魔をするのが一番上のレオン兄上だった。
兄上はいつも、俺と姉上が二人でいるところを邪魔してくれたのだ。
そして、俺を置いて姉上と一緒に出かけるのだ。
それは母上が生きていた時からそうだった。
母上は、「シスももう少し大きくなったら連れて行ってもらえるから」
と俺に言って慰めてくれたが、俺が九歳になって大きくなったと思った時に、姉上はいきなりサンタル王国に留学してくれたのだ。
そんな馬鹿な!
俺には本当に青天の霹靂だった。
何でも、サンタルの第一王子と婚約が決まったとか、後で聞いたのだ。
そんなの俺は聞いていなかった。何で姉上が、そんな辺境の王子と婚約するのか、俺には理解できなかった。
それは一番上のレオン兄上も聞いていなかったみたいで、姉上が去った宮殿に帰ってくるやいなや父上の所に怒鳴り込んでいた。
その後、落ち込みようはすごくて、これが他国から狂犬皇子として怖れられた兄上なんだろうかと疑うくらいだった。
何しろ宮殿中がお通夜になったみたいになった。
これは母上が死んだ時以来だ。
でも、あの時は姉上が人一倍元気になって皆を慰めていたのだ。
その姉上がいなくなるなんて!
その時少しだけ思ったのだ。
レオン兄上がさっさと姉上に告白しないからこんな事になったんじゃないかって。
姉上はレオン兄上のことは本当の兄としか思っていないのは見たら判るけれど、兄上が姉上を見る目は完全に好きな者を見る目なのは皆知っていたし、ローレンツ兄上もマルクス兄上も姉上のことが好きなのは一目瞭然だけど、二人共レオン兄上の前に戦う前から戦意喪失していた。
その兄上が弱小国のサンタルの王子に負けるなんて、笑止だった。
一体何をしてたんだよ。
その後、そんな兄上と兄上の態度に切れた父上が戦って宮殿が破壊されそうになった時は本当に大変だった。あと少しで宮殿が消滅するところだった。
そして、自棄になった兄上が帝都を飛び出して東方十カ国連合軍に一人で突撃して殲滅したのはそのすぐ後だった。
狂犬皇子が恐竜皇子に格上げになったのだ。
もはや兄上は向かうところ敵なしだった。
そんな兄上が唯一負けたのがサンタルの王子だった。
本当にご愁傷様だけど、姉上は俺の前からもいなくなったので、他人事だと笑えなかった。
でも、サンタルに間者を送り込むと姉上と王子は上手くいっていないみたいだった。
俺は兄上の側近のトマスにその情報を流してあげたのだ。
なんて兄思いなんだろうと自画自賛したけれど……
それに兄上と姉上がくっつけばまた優しい姉上は俺の前に戻ってきてくれるのだ。
俺と姉上は半分は血が繋がっていたから、永遠に姉弟して生活できるのだ。
俺は仕方無しに兄上を応援することにしたのだ。
まあ、兄上がそれを知ってあんなに早急にサンタルに向かうなんて思ってもいなかったけれど。
その御蔭で、せっかく卒業パーティーで姉上といっしょに踊ろうと思ったのに、父とシャルルから待ったがかかって、行けなかったのだ。
現地では兄上が大活躍だったらしい。
兄上の恋敵のその王子を兄上は3年間の恨みとばかりに消滅させてしまったし……
兄上に逆らうイコール国の消滅につながるということが他国にもよく判っただろう。
俺はこれで兄上と姉上がうまくいくと思ったのだ。
でも、そこまでしてやっと取り返した姉上なのに、兄上は本当にヘタレだった。
強引に姉上に迫ればいいのに! 変な所を気にしてあと一歩が出ないのだ。
俺が外に出ている間にAAAに姉上を拐われるなんて失態をしてくれるし、もう兄上は信じられなかった。
そんなヘタレだから、また、外務卿に姉上の次の候補を連れてこさせてしまったのだ。
俺は流石に切れた。このまま兄上に任していたら、また他国の王子と婚約させられてしまうに違いない。
だって、姉上は相変わらず、レオン兄上のことは兄としか見ていないみたいだった。
「お義兄様も早くいい人を見つけないと。シスは誰か知らない? あなた他国の要人とも最近会っているでしょ」
姉上に言われたのだ。
俺は兄上がヘタレで全然姉上に相手にされていないのならば、姉上と一緒に暮らすには別のことを考えないといけないと思い知らされたのだ。
俺は王宮を出て、姉上と一緒に生活してもいいと思うようになった。
姉上の友達のシャロット等と協力して商会を起こしても良いかもしれない。
俺は完全に兄上と姉上の仲を邪魔することにしたのだ。
そして、姉上の所に行くことにしたのだ。
ヘタレの兄上はもう見捨てて、姉上と一緒に生活するために。
俺がセシール湖についた時、なんと、レオン兄上が、姉上の前に跪いていたのだ。
まあ、兄上がいくら頑張った所でまた上手くいかないに違いない。
俺はそれを見て、邪魔するために駆け出したのだ。
ここまで読んでいただいてありがとうございます。
末の弟がお義兄様の邪魔をしに来ました。
どうなる二人の仲は?
続きは明朝です。
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