AAAに捕まった私は元公爵令嬢に虐げられました
私は生まれて初めて囚われの身になっていた。
私の顔はトーマスに殴られて顔は青黒く腫れていた。
「ふふふ、いい気味よ」
セリーヌが笑ってくれた。
この女、覚えていろよ。
自由になったら絶対に頬を張り倒してやるんだから。
私も少し切れていた。
言うと殴られるから言わないけれど、こいつらはもう終わりだ。
お義兄様が私の顔を見た瞬間にどの様な行動を取るか予想も出来なかった。だって私はまだ誰にも殴られたことがないのだ。怒り狂ったお義兄様の姿が目に浮かんだ。
本来は私が殴られたのだから私が殴り返したいのだけど、怒り狂ったお義兄様に任せよう。そうしないと怒り狂ったお義兄様が何をしでかすか判ったものではなかった。私を殴った男に責任を取らすのが一番平和なやり方だろう。一旦お義兄様が怒り狂うとそれを押さえるのは大変なのだ。一人の犠牲者で済むならそれに越したことは無かった。帝都を廃墟にするのだけは避けたかったし……
それにしても私の今監禁されているAAAの秘密基地ってどこなんだろう?
それがどこかは判らなかったけれど、セリーヌが言うにはお義兄様でも中々手を出せないところだそうだ。
まあ、教会の大聖堂のトップがAAAの幹部なのだ。
秘密基地と言ってもお義兄様が手を出せないところということは教会の大聖堂の地下だと私でも判った。
でも、お義兄様が手を出せないところというのがとても気になったんだけど……お義兄様はプッツン切れたら大聖堂なんて一撃でぶっ壊してしまうと思うのだけど……
前世日本にいた私は当然無神教者だ。
日本人はクリスマスにはキリスト教徒でもないのにクリスマスを祝い、正月は神社にお参りして、先祖のお墓はお寺にある。日本は完全に宗教のごった煮だった。
だから都合の良いところだけ皆宗教を取り入れているのだから、突き詰めると何も信じていない無神教者だった。当然私もそうだ。
転生者でないお義兄様だが、基本は無神論者だ。絶対に!
神も仏も俺様を助けよという超ご都合主義者だと思う。
お義兄様は自分に対してへいこらしているうちは決して手を出さない。でも、何かで少しでもお義兄様の大切にしている者に手を出してきた途端に豹変するのだ。
もし私が教会に囚われたって聞いたら、お義兄様は大聖堂の一つや2つ壊しても絶対に良心の呵責なんて感じないと思う。俺様に逆らったのだから当然の天罰だと神をも恐れぬ暴言を吐くのは目に見えていた。
まあ、そんな事を言うとまたトーマスに叩かれるかもしれないから私は黙っていることにした。
まあ別に叩かれた所で、どうってことは無いのだが……。
私も昔お義兄様の特訓に耐えたのだ。それに比べれば叩かれる事なんて全然問題なかった。
トーマスもセリーヌもお義兄様が戦いを放棄して、すぐに帰ってくるっていうんだけど、どうだろう?
レッドのスピードで言うと片道1週間か。既に半分くらい行っていたはずだから、往復10日ということろだ。敵を殲滅してから急いで帰ってくるのではないかと私は思った。
残り9日だ。その間はなんとかして誤魔化さないといけない。
このセリーヌ相手に本当に骨の折れる仕事だったけれど。
でも、これって、昔、小さい頃散々お義兄様達を相手にやった、捕らわれの姫様の役なんじゃないだろうか?
魔王のローレンツお義兄様にとらわれた私をお義兄様が助け出しに来てくれるのだ。
ローレンツお義兄様はお義兄様が本気で殴ってくるからやりたくないって、いつも泣いて言っていたけれど……結局やらされていた。最初はお義兄様に逆らって、逆切れしたお義兄様に本気で攻撃されていつも泣いていたけれど……
でも、お義兄様に本気で攻撃されて生きていられるんだからローレンツお義兄様も相当な力の持ち主なのだ。お義兄様が目立ちすぎるからみんなに知られていないけれど、ローレンツお義兄様も世界で五本の指には入る豪傑なのだ。マルクスお義兄様はベスト10くらいかな。それに比べればシスはベスト100にも入らない。もっと鍛えなければいけない。お義父様も一番下には甘すぎるのだ。私も含めて……
私は格好良いお義兄様が王子の格好をして助けに来てくれるのを待つのがとても楽しかった。
今日はお義兄様がどんなことをして私を助けてくれるんだろうかとワクワクしながらいつも待っていたのだ。
一度リアリティがないとお義兄様が言い出して、本当のダンジョンの中でやったことがあるのだ。
お義兄様がやる気を出しすぎてダンジョン一つ廃墟にしてしまったけれど、それ以来、その遊びは禁止されてしまったんだけど、その時も結構デカい魔物はたくさんいた。
「あのA級の魔物のたくさんいるダンジョンを廃墟にしてしまったんですか?」
当時の騎士団長がお義兄様達に呆れていたのを思い出した。
「レオンハルト様達は将来恐ろしいですな」
そう言えばおじいさまが大声を出して笑っていたんだっけ。
そんなこと考えていたらセリーヌが犬に餌を与えるような鉄の食器にご飯を入れて持ってきた。
「ほら、エリーゼ、ご飯よ」
そう言って私の目の前にその食器を置いてくれたのだ。
私は白い目でセリーヌを見た。
一度ローレンツお義兄様がふざけてそのお姫様ごっこの時に同じことをしてくれたのだ。
私は丁度お腹が空いていたし、その頃飼っていたペットの竜ちゃんがそんなお皿でむしゃむしゃ食べていたので、同じようにむしゃむしゃ食べたのだ。
竜ちゃんになった気分だった。
そう言えば竜ちゃんは元気なんだろうか? 昔、森に放しに行った竜ちゃんを思い出していた。
それを私を助けに来たお義兄様が見て、完全に切れて
「ローレンツ、お前エリになんて事させるんだ」
ローレンツお義兄様に本気で殴りにいったから大変な事になった。
このままではローレンツお義兄様が死んでしまうと思ったから、お義兄様とローレンツお義兄様の間に入って、両手で本気のお義兄様のパンチを受け止めたのだ。
その時の痛かった事ったら無かった。
まあ、私は元々体が丈夫だから骨にも異常はなかったけれど、本当に痛かったのだ。
「お嬢様、お兄様方は崖から転がり落ちても死にませんから、二度と二人の喧嘩の仲裁に入ってはいけませんよ」
とアリスに注意を受けたけれど、いくらローレンツお義兄様が丈夫だからと言ってもお義兄様と本気でやりあったら重傷にされるわよ。
私はそう思ったのだ。
「何をしているの、さっさとお食べ」
セリーヌは私に手を上げようとしてくれたのだ。
叩かれるのも何だし、仕方なしに、私は犬のように食べだしたのだ。
竜ちゃんを思い出しながら……竜ちゃんは危険な自然界でちゃんと生きていけているんだろうか?
いつも訓練と称してお義兄様にボコボコにされていたからな……
あんなに弱くてはすぐに死んでしまったかもしれない。
まあ、あの当時でさえお義兄様に勝てる魔物はいなかったけれど……
でも、セリーヌにこんなのさせられたって知ったら、お義兄様はまた切れるだろうな。
ローレンツお義兄様だったから死なずに済んだけど、こんな女、お義兄様の一撃で死んじゃうだろう。
まあ、元々私がサンタル王国に行ったからこいつの人生もこんなふうになったのかもしれないし……お義兄様が切れて殴ろうとしたら止めに入いったほうが良いだろうか?
でも、絶対に痛いだろうな……嫌だな……
竜ちゃんの事と痛い事を思うと私の目から涙が自然に出て来たのだ。
それを見て何を勘違いしたのか
「そうよ、もっと泣きな。私はお前のせいでもっとひどい目にあったんだからね」
セリーヌが高笑いしてくれたのだけど……
誰のためにないていると思っているのよ!
10日間私が我慢できるかどうか私が心配になってきたのだ。
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続きは今夜です。
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