お義兄様視点 義妹が拐われたと知りました
大聖堂のトップをトーマス・シュナイダー卿に名前変えました
バキッ!
「な、なんだと! エリが拐われただ!」
俺は手に持っていた水筒を握りつぶしていた。
AAAが不吉な動きをしているのは知っていた。
だから父と近衛騎士団長には、あれだけよろしく頼むと言って出てきたのだ。
なのに、どういうことなのだ?
エリを拐われるなんて!
俺が帝都をを出てから、まだ、5日も経っていないではないか?
俺が、あれだけ何度も頼むと言って出てきたのに!
俺は完全に切れていた。
「も、申し訳ありません」
魔導通信の画面でヴェリエ近衛騎士団長が土下座して謝ってきているのだが……
土下座されてもどうなる事はない。
エリは病気だったはずだ。そんなに動いていないはずだ。そのエリがどうやって、拐われるのだ?
何でも礼拝堂で祈っている間にエリは消えたというのだ。そんな馬鹿なことがありうるか!
「何故だ。あれほどエリを一人にはするなと忠告したではないか!」
俺が我慢できずに、叫ぶと
「申し訳ありません。警備には20名の騎士を当てていたのですが、礼拝堂に20人は入るのが困難だからと2人だけにしたのです。そのうちの1人が気絶させられていました。もう一人の行方が現在判っておりません」
汗ダラダラの状態で近衛騎士団長は報告してきた。
「その者の背後関係も全て調べ上げろ。それと王宮内の全ての物と人の移動を止めろ。徹底的に捜索するんだ。全ての建物の捜索を許可する。帝都の第11軍の騎士団長とも連携の上、事に当たれ」
「了解しました」
そう言うと、魔導通信は切れた。
「どうする。レオン、帝都に帰るか?」
トマスが聞いてきた。
「しかし、弟たちで東方10カ国軍を相手にするのはまだ少し荷が重かろう」
俺は首を振った。
「だが、エリーゼちゃんはどうするんだ?」
トマスが心配して聞いてきた。
「今回の件、全ては東方10カ国とAAAが悪い」
俺は怒りに震えて言った。
エリに手を出すなど絶対に許さない。俺は敵を殲滅すると心に決めた。
「お前らは直ちに帝都に戻って捜索に加われ」
俺はトマス等に言い切った。
「レオンはどうするんだ?」
「俺はこれから一気に東方10カ国に向かい、敵軍を殲滅する。そして、返す刀でAAAを殲滅する」
「いや、レオン、それは無茶だろう」
トマスが言ってきたが、
「悪いが、俺一人ならレッドが1日で東方10カ国に連れて行ってくれる」
俺はレッドの頭を撫でたのだ。
ヒヒーーーーン
レッドは頷いてくれた。
「いや、しかし……」
トマスが俺を止めようとした。
「ゴーチェ。すまん。もう一度魔導通信は使えるか」
俺はトマスを無視した。
「もう一回だけですよ。どこに繋ぐんですか?」
「テルナン城にいるローレンツだ」
「了解しました」
ゴーチェ達、魔術に堪能な奴らが機械を操作してくれた。
馬車に載せられた魔導通信はそれ自体は結構嵩張ったが、今回は持ってきた甲斐があった。
「これは兄上。大変なことが起こったようですな」
ローレンツが画面に出てきて淡々と言ってくれた。こいつはいつもそうだ。
どんな時も沈着冷静だ。
「そっちも大変だな」
俺は笑って言った。
「なあに、たかだか10万の敵に囲まれているだけですよ。兵糧もありますから、1ヶ月でも2ヶ月でも持ちこたえますよ。兄上はエリーゼを探し出してゆっくりしてから来てもらって問題は無いですよ」
余裕の表情でローレンツは言ってくれた。
「そう言うわけにも行くまい。まず、東方10カ国軍を殲滅する。エリはそれからだ」
「良いのですか?」
「もう道は半分くらい来ているのだ。レッドもやる気十分だ。半日もせずに着くだろう。俺の攻撃と同時に全軍を突撃させろ。それで10カ国軍を殲滅する」
「了解しました」
ローレンツが画面から消えた。
「さて、頼んだぞ、トマス」
俺はそう言うとトマスに手をあげた。
「いや、本当に無理だろう」
トマスが必死に言ってくるが、俺は無視した。
そして、レッドの手綱を絞ったのだ。
ヒヒーーーーーン
レッドは甲高く鳴くと一気に走り出した。
速度マックスで……
俺は怒りで燃えていた。
もう絶対に奴らは許さない。今まで手加減した俺が悪かったのだ。
エリがあまり酷いことをしたら怒るから手加減してやったのに! ルネソンとマブリーもだ。
わざわざ俺様が属国になるので許してやったのだ。
それをエリの誘拐に加担するとは……
俺のエリに手を出すなど、全軍まとめて地獄に叩き落としてやる。
俺は怒りに燃えていた。
そして、その怒りがレッドにも乗り移ったのだ。
赤く光り輝くレッドが俺を乗せて街道を爆走始めたのだった。
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次回は恐竜皇子現る
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明朝更新予定
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