パーティーにお義兄様が間に合わなくて、侯爵令嬢にいきなり嫌味を言われました
皆様方のお陰で月間異世界転生連載ランキング第三位になりました。
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ついに宮廷の夜会の日がやってきた。
この日は宮廷でパーテイーが開かれるので、朝から宮廷は大忙しだった。
お義兄様は相変わらずお忙しいみたいで、宮廷の中の第1軍の事務所に詰めているみたいだ。
代わりに衣装が届けられたんだけど、白を基調にして金糸できれいな刺繍がなされていた。
「マガリー」
「エリー、久しぶり!」
私の衣装をクラスメートのマガリーが届けてくれたのだ。マガリーと会うのは卒業パーテイー以来だった。そう、クラスメートのマガリーのお母さまの工房が縫ってくれたのだ。
「凄いわ。こんなに早く、衣装を作ってくれるなんて思ってもいなかったわ」
私は驚いた。
私自身がこのパーテイーの存在に気付いたのは2週間も経っていない。
移動の時間もあったはずなのに。こんなに早く出来上ってくるなんて!
私は感動していた。
「元々第一皇子殿下に母は二、三着頼まれていたみたいなの。まあ、あなたの衣装の型紙はうちには山のようにあるから、そこからあなたに似合うのを選んで殿下の希望を入れて作ったのよ」
そうだった。マガリーの練習台も兼ねて私は大量のドレスを作る実験台になっていたのだ。
いろんな斬新なアイデアの衣装もあったように思うんだけど……
もらったこれがシンプルなドレスで良かった。
相も変わらず凄まじいばかりに刺繍がしてある。凄いの一言だ。
そして、その刺繍の文様なんだけど、何かどこかで見たマークなんだけど……
「レオンハルト殿下のご要望だったのよ。このマークに似せるの、本当に大変だったんだから」
見せられたのは鷹のマークだった。
「私は『恐竜のマークの方が良いんじゃないですか』って殿下に言ったら怒られちゃった」
のほほんとマガリーが言ってくれるんだけど、この子も勇気がある。お義兄様に怒られても平然としていられるなんて!
私はまじまじとマガリーを見た。
「さあ、お嬢様。そろそろ準備にかかりませんと」
アリスが言ってくれた。
「えっ、もうやるの?」
私はうんざりして言った。
「当たり前です。お嬢様の、宮廷パ-ティ初御披露目なんですから」
アリスが言ってくるけれど、
「昔、お義兄様の卒業パーティーに出たわよ」
「卒業パーティーなんぞ、この宮廷パ-ティに比べたら、お遊びのようなものです」
アリスに一刀両断されてしまったんだけど……
皆一緒のようなものよ!
私は心の中で思ったのだ。
それから私はアリスと侍女らとマガリーによってああでもないこうでもないと着飾れて大変だったのだ……
今回の宮廷のパーティーは通常の春のパーティーなんだけど、私のお披露目も兼ねると大々的にお義父様が宣伝してくれたのだ。
私は今は単なる平民だと拒否しようとしたら、
「何を言っている。エリーゼの父のバージルは死後伯爵位を贈位されているのだ。エリーゼは今日はエリーゼ・ロザンヌ伯爵としてパーティーに出れば良い」
「でも、その伯爵位はフランシスに与えて貰えれば」
私は昔からそう言っているのだ。私は別に無位無官でも色々んなことをして生きていけると思うし。
「何を言っているのだ。本来はエリーゼを養女にして私の娘として紹介したかったのだ。それを昔からレオンハルトが嫌だとダダをこねるからしていないだけだ」
「えっ、そうなの?」
まあ、私は王家の養女にならなくて全然構わないのだけれど、お義兄様は私が兄妹になるのが嫌なんだ!
その事が少し悲しかった。
そんな事を思い浮かべて会場にいると
「エリー、来たわよ」
セッシーが一人で登場してきた。
今日は婚約者のマルクスお義兄様はまだ東方にいて、セッシーのお兄様にエスコートしてもらってくると言っていたのに……
「お兄様ったら、全然、捜査が終わらないそうで、今日は参加できないかもしれないって話よ。あなたのお義兄様は?」
「お義兄様も同じよ。絶対に遅れても参加するとは言っていたけれど」
まあ、私も期待せずにいた。やはり仕事が第一なのだ。
袖にされるのはアンドレで散々経験しているので問題はない。
「えっ、そうなの? でも、その衣装、誰が見てもレオンハルト様の独占欲満載の衣装よね」
セッシーが呆れて言ってくれるんだけど……
「そうかな?」
「だって、その金色、レオンハルト様の髪の色じゃない」
「まあ、そうなのかな」
セッシーが言ってくれるんだけど、私は先程のお義父様の言葉が頭の中でもやもやしていたので、素直に頷けなかった。
「えっ、どうしたの? お義兄様、大好きエリーが変」
「な、何よ、それ! 別にお義兄様大好きじゃないわよ」
私が否定すると、
「なになに、喧嘩でもしたの? 優しいセシール様が聞いてあげるわよ」
セッシーが言ってくれたので、私はお父さまから言われたことをセッシーに言ったのだ。
「お義兄様も酷いと思わない。いくら私が生意気だからってちゃんとした兄妹になるのが嫌だなんて」
私が文句を言うと、
セッシーは頭を抱えていた。
「あのう、エリー、私、今のあなたの言葉を聞いて、レオンハルト様がとても可愛そうだと思ったんだけど」
「なんでよ、可哀想なのは私でしょ。」
私が訳が判らずにセッシーに文句を言うと
「レオンハルト様はエリーとは兄妹じゃなくて、そのなんて言って良いのかな。私の口から直接は言えないけれど、そうね、一緒に家族を作りたいんじゃないかな」
珍しく言いよどんでセッシーが言うんだけど……
「えっ、兄妹と家族って何が違うのよ」
私がムッとしてセッシーに聞くと、
「エリー、私の口からはなんともいえないけれど、本当にレオンハルト様も不憫よね」
なんかセッシーが私がめちゃくちゃムカつく口調で言ってくれるんだけど……
「えっ、どういう事?」
私が聞くがセッシーは頭を押さえて首を振ってくれたんだけど。
「あああら、これはこれは辺境の王子様に婚約破棄されたところのエリーゼさんじゃない」
私はファッションショーのお化けのようなけばけばしい原色だらけの出で立ちのアガット・カルディ侯爵令嬢に出くわすなり嫌味を言われたのだ。
ここまで読んで頂いて有難うございます。
お義兄様狙いの外務卿の娘が登場です。
どうなるエリーゼ、続きは今夜です。








