お義兄様視点 俺の邪魔をしてくれた奴らは草の根わけても探し出して拘束してやると心に決めました
「ゆ、許さん!」
俺はもう完全に頭にきていた。
せっかく、尖塔の上で、俺はエリといい感じになれたのだ。
やっとなれたのだ!
なのに、邪魔した奴らは絶対に許さない。
俺はせっかくエリを連れて、カフェギャオスのカップル限定のビッグパフェを二人でつついたのだ。
アリスや、セドリック達が絶対に食べさせをやったほうが良いと言うからやったけれど、周りの奴らはキャーキャー言って騒いでくれていた。
確かに俺とエリの食べさせを見て黄色い悲鳴が飛び交っていた。
でも、エリは全然平常モードなのだ。そして、俺も……
はっきり言って、エリに食べさせるのは小さい時から散々やっているので、全然特別感がないのだ。
もう本当に……自然だ。
エリにしても「いつもの事よね、お義兄様。何皆騒いでいるんだろう?」
みたいな感じなのだ。
「えっ、そうなんですか? あんなラブラブなのに……」
「絶対に周りが見たら他人の視線を気にせずに食べさせ合うバカップルなのに……そう言えばお二人は昔からそうですもんね」
セドリックもアリスも驚き呆れていた。
何かムカつくようなことも言われたが……
昔から面白いから、いや違う。小さい時から俺がエリの面倒をよく見ていたからか、ペットに食べさせる要領で食べさせすぎたのかもしれない……
エリが嫌いなほうれん草を、ちゃんと食べないと胸が小さいままだぞとか、脅して、無理やり食べさせていた気がする。それもどうかと思うのだが、
「お義兄様が食べさせてくれたら食べる」
と可愛く言われれば、断る選択肢は無かったのだ。
だから、はっきり言って、俺に食べさせられようが、口元を拭かれようが、エリはそれで真っ赤になったりすることは絶対にないのは確かだ。
まあ、でも、平常運転で食べさせ合いが出来るのも凄いことなのだが……
だから、二人で食べさせ合って周りの牽制は出来ても、それで俺とエリの仲が更に良くなることは無いのだ……
でも、その後、二人の色をモチーフにしたうさぎのぬいぐるみを買えたのはラッキーだった。
エリが嫌がっていたけれど、無理やり、俺の分はエリに出させたのだ。
これで俺は恋人からされるように、エリからエリの色の入った物をプレゼントされた事になるのだ!
そう二人に言ったら、「宝飾品じゃなくてぬいぐるみと言うのが少しマイナスでは」
セドリックに言われたが、いや、エリは宝石とかはまだピンとこないから、これで良いと思うのだ。
そして、俺の今日の目的の尖塔に来た。
ここからは帝都が一望できるのだ。
俺は今日、ここで俺の思いの丈を全てエリに伝えようとここまでやってきた。
エリは運動不足で尖塔の上まで登れるかどうかとても不安だったのだが、何とか登ってくれた。
そして、はしゃいで色々俺に甘えて聞いてきたのだ。
「あの赤い建物は郵便局?」だとか、「あの白い屋根は大聖堂なの?」とか
そんな中、少し、太陽が傾いてきた。
そろそろ夕刻だ。
尖塔は鐘があり、夕刻には鐘がなる。
次の鐘がなるまで後10分だ。
俺は鐘の色も今日は俺とエリを祝福する特別な音色に変えていた。
よし、ここだろう。
日もちょうど陰ってきて、景色が赤く染まりだした。
俺はこのタイミングを待ちに待っていたのだ。
そして、俺はエリに跪いた。
いきなりの事にエリは驚いた顔をして俺を見てきた。
「エリーゼ・ロザンヌ!」
俺はエリの本名を言ったのだ。
そして、一気にプロポーズの言葉を言おうとした時だ。
いきなり爆発があったのだった。
弟のことを気にしたエリは後はそれどころで無かった。
そう、俺がせっかくここまで準備した事が全部パーになってしまったのだ。
俺はこの一番大事な時にこんな事をしてくれて邪魔をしてくれた奴らを、どんな理由があろうが絶対に許さないと心に決めたのだ。
「トマスさん。レオンハルト様、何か怖いんですけど」
書類を繰りながら、ジェミリーがボソリと呟いた。
俺がじろりと睨むと
「ヒィィィぃ申し訳ありません」
ジェミリーは平伏せんばかりに謝ってきた。
「どこのどいつがこんな事をしたのか知らんが、俺はそいつの冥福を祈るぜ」
トマスがなんか言ってくれている。
「やっぱりAAAが怪しいんじゃないですか?」
ゴーチェが言ってきた。
「その理由は?」
「こんな馬鹿なことをするのは彼奴等くらいですし、それにサンタルの元公爵令嬢が帝都に来ているようですよ」
書類を見ていたゴーチェは言った。
「それは本当か?」
俺が聞くと
「はい、目撃情報が上がってきています。サンタルではAAAの手のものらしきものがセリーヌに接触していたのが確認されています。サンタルの貴族と思しきものが1名、セリーヌらしきものから接触してきたと言っていました」
「判った、直ちにセリーヌを拘束しろ。そして、仲間を吐かせるんだ」
俺はゴーチエに指示を飛ばした。
「判りました」
ゴーチェが出ていく。
「それとトマス、過去のAAAの工作員のリストがあったろう。人相書きを回して、草の根をわけても探し出すんだ。見つけ次第、拘束させろ。それとAAAの拠点と思しき怪しい所を片っ端から家探ししろ。帝都11軍だけでは覚束ないだろう。周辺の軍からも一個大隊ずつ出させろ。近衛の3分の一も捜査にまわして構わん」
「判った」
慌ててトマスが指示すると慌ててジェミリーが出て行った。
「おいおい、本当に帝都のいかがわしい所を全て制圧するつもりか」
「当然だ。俺の邪魔をしてくれた奴らは一人残らずひっ捕まえてやる」
俺は一人たりとも許すつもりはなかった。
「奴らも本当に馬鹿だな。レオンの邪魔をするなんて、なんてタイミングが悪い奴らなんだ。AAAも終わりだな」
トマスが言ってくれたが、俺としては当然そのつもりだ。
俺がせっかく時間を掛けて準備してきたことを邪魔されたのだ。
奴らもそれなりに覚悟はあるだろう。
草の根掻き分けてでも絶対に殲滅してやる。
俺は怒りに燃えていたのだ。
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
お義兄様の怒りの前にAAAの運命やいかに?
続きは今夜です。
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