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【3巻電子書籍発売】王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど……  作者: 古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄されたので義理の兄が激怒して
婚約破棄されました

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お義兄様視点9 エリとの間が全然進展しないと思っていたら、周りから見たら完全なバカップルになっていました

その日の夜俺はセドリックからエリの現状をいろいろ聞き出した。なんとエリはこちらに来て祖母の具合が悪くなるとすぐに屋敷から追い出されたらしい。

それを聞いて、俺は完全にプッツン切れていた。アルナス子爵家にはエリがいると思って父も多額の援助をしていたはずなのだ。


「そのエリを追い出しただと!」

「しーー、レオンハルト様、声がでかいです」

「何故、俺に報告しなかったのだ」

「エリーゼ様からしないで欲しいと頼まれまして」

「そうはいっても、限度があろう」

俺はセドリックを睨みつけた。

「そう思い、アリスと相談して、アリスが何度か報告していたはずですが」

俺はそれ以上セドリックには何も言えなかった。

王宮の文官共だ。あいつら俺がいないのを良いことに、いい加減にしていたか、そうか誰かが意識的に送らないようにさせたか……

俺は帰ったら犯人を早速に探り出すことにした。


次の日、着替えてきたエリを見て俺は固まったのだ。

エリはいつの間にか大人になっていて、とてもきれいになっていた。


昨日もそう思ったのだが、化粧をした今日は更に際立っていた。


「お義兄様、やっぱり変ですよね。化粧を落としてきます」

エリは俺が固まったのを見て変な格好だと勘違いしたみたいだ。俺は慌ててエリの手を引いて止めた。


「とてもきれいだ」

なれないことを話したものだから、声が小さすぎた。


俺がエリに好意があると知らしめるには、エリにはっきりと言わないと駄目だとアリスにもセドリックにも言われたのだ。

そう言うものかと口に出してみたのだが、なれない言葉はとても言いにくい。


「えっ? 何か言われましたか?」

エリが聞いてきた。


なんでこんな恥ずかしい思いまでしてこんな事を言わねばならないのだ!

と俺は思ったのだが、アリスもセドリックも両手を握ってもっとはっきり言えと合図してくる。


「あまりに可愛いから、驚いた」

俺は渾身の力を振り絞って言ったのだ。


そうしたらエリは鳩が豆鉄砲を食らったような顔をして驚いてまじまじと見てくれたのだ。

何かその表情もとても可愛い。

でも、絶対に俺がそんな事を話したのが変だったのだ。

日頃からこんな事を言わない俺が言えば絶対におかしいと思うだろうとアリスとセドリックを睨みつけたら、二人は満面の笑みを浮かべて頷いてくれたのだ。


ええええ! いまのが正解なのか!


「時間がないから行くぞ」

俺は照れ隠しでエリを引いて歩き出したのだ。

ぐんぐん歩いていくと、


「お義兄様、ちょっと早過ぎ」

あまりに恥ずかしかったので、早く歩きすぎたみたいだ。

「あっ、すまん」

慌てて、謝って歩くスピードを落とした。


「もう、お義兄様ったら、私が余りにも可愛くなっていたからって、何も照れなくても良いのに!」

俺はエリの言葉に固まってしまった。

なんでだ! なんでこいつはオレの心を読んでいるんだ?


そんなに俺の顔に出ていたのか?


「まあ、そうだな」

俺は素直に頷くしか出来なかったのだ。

その反応にエリも驚いていたがなんでだ?


歩いているうちにカップル限定喫茶『ヘモジ亭』に到着した。


「あれ、やっぱり列になっている」

エリのがっかりした声が聞こえた。


「ごめんなさい。お義兄様。並ぶ羽目になってしまって」

エリは謝ってきた。

「いや、別に。エリと並ぶなら、構わない」

俺は頷いたのだ。

アリスとセドリックからはカップルなんだから並ぶところもデートです。そこで仲良く話して親愛の情を深めるのです、と言われていた。でも、親愛の情を深めると言っても何を話せば良いんだろうか?


「それよりも最近のエリの話を聞けたら嬉しいんだが」

取り敢えず、触りから入れば良いだろう。でも続きは……


「アンドレとは上手くいっているのか?」

俺は馬鹿だ。なんでわざわざ恋敵の男の話をしなければいけないのだ。

俺は自分の頭を思いっきり殴りたくなった。


「まあ、殿下とは程々にしていますよ。

それよりも友達のシャロットが、この前帝国の詩人ハーゲッツ・ルーピンを授業でハゲツルピンって答えたのよ」

「それはないだろう」

俺はエリが話題を変えてくれたことにホッとしたのだ。


「エリーゼ、何を人をだしに笑ってくれているのよ」

そこにエリーゼの友達が二人後ろから声をかけてきたのだ。


クラスメートみたいだ。エリはこちらの国の平民の友達を作って仲良くしていたみたいだ。

貴族には全く相手にされていないみたいだったが。

本当に意味が判らない。エリを馬鹿にすることがどういう事かこいつら理解しているのか?

途中出てきたこの国の侯爵家の令息等にもエリはバカにされていたのだ。


取り合えず、俺はエリが子爵本人で貴様らよりも地位は上だと教えてやってぎゃふんと言わせてやったのだ。やつらは尻尾を巻いて逃げて行った。


しかし、エリをないがしろにするという事は、帝国の皇帝を敵に回すという事だ。貴族どもはそんな簡単な事を何故理解していないのか判らなかった。

俺はこの国が辺境なあまり帝国の情報がほとんど入って来ない地で、なおかつプライドだけがやたら高い貴族どもが支配している国だという事が判っていなかった。



結局それやこれやで、俺はエリとあまり甘い雰囲気になることもなく、そのまま席に案内されたのだ。


中ではカップル達が皆、巨大なパフェの入った容器を二人してつついていた。

結構皆、イチャイチャしているし、いい気分なのだ。



「ああ、これこれ、これよ」

でも、エリは二人の気分を楽しむではなくて、カップルの前にあるパフェをいかにも物欲しそうに見ていたのだ。


これでいい雰囲気になれるのか?


俺は一抹の不安を抱いた。


「お客様も当店自慢のカップル限定ビッグパフェで宜しいですか」

「はい。お願いします」

もう、エリは最初から食べる気満々なのだ。


もっともこいつは昔からそうだったが……


俺達のアイスクリームを物欲しそうに見ていて、いつも俺達3人からアイスクリームを巻き上げていたのだ。



そして、巨大ジャンボパフェが出てきた。


「これは凄いな」

俺は流石にその大きさに驚いた。


こんなにたくさん食べられるのか?


俺が不安に思うほどの大きさなのだ。


「お義兄様。甘いものいらないのなら私が全部食べるから」

エリが言ってくれるんだけど……


「お前、これだけ食べると太るぞ」

俺は思わず言ってしまった。後でセドリックとアリスから散々ダメ出し食らったのだが、条件反射だ。もう仕方がなかった。


「私は大丈夫よ」

「明後日卒業パーティーなんだろう。衣装が入らなくなっても知らないぞ」

これも絶対にアリスが聞いたらダメ出しする言葉だった。


「ふんっ、良いのよ。別に」

エリはやけになって、スプーンをアイスクリームの山に突っ込んで大きくすくってくれた。


「おいおい、そんなにたくさん取らなくても、俺はそんなに食べないから」

俺は慌てて言った。でもエリはいつもこうなのだ。


俺は取ったりしないのにいつも最初は大口を開けて食べてくれるのだ。

二人で良い雰囲気になるもくそもなかった。


そもそも食べ物でエリといい雰囲気になるのは無理だった。

俺は諦めたのだ。まあ、まだまだ時間はあるはずだ。


エリは美味しそうにほおばるが、やっぱり塊が大きすぎたみたいで、食べるのに四苦八苦していた。


俺は首を振ると今度は小さくすくったアイスをエリの口の中に入れてやったのだ。


こうすれば、ちゃんと食べられるはずだ。


「美味しい!」

エリがとても幸せそうな顔をしてくれた。


そう言えばこの笑顔が見たくてよく、エリに俺の分のデザートを食べさせていたような気がする。


俺はさらにもう一口放り込んだ。


エリは微笑んでくれた。そして、今度はエリがお返しに一口大きめにとって俺の口の中にいれてくれた。


「どう、美味しいでしょう?」

俺はエリの言葉に頷いた。

まあ、エリが喜ぶだけあってうまい。

アイスは口の中で絶妙にとろけてくれるのだ。


「本当だな」

俺はそう言いつつ、エリの口の中にもう一口入れてやった。


うーん、これっていつもと何も変わらないじゃないか!


帝都でチョコレートパフェを食べに連れて行った時もエリと食べさせ合いをした。


なんか周りの視線が、あれだし、黄色い声が時たま周りから上がっているが、それもいつものことだ。


俺はこれがカップルの間で有名な食べさせだということを知らなかったのだ。


周りが俺達を見てなんて甘いカップルなんだろうとささやきあっていたなんて知らなかったのだ。


俺は二人の間は全く進展がなかったけれど、エリがおいしいパフェを食べてくれたからまあ良しとしようと勝手に満足していたのだ。



ここまで読んで頂いて有難うございます。

今度こそお義兄様視点は終わりです。

次はエリ視点に戻ります。

次の舞台はエリを蔑ろにしていた子爵家です。

今夜更新予定です。

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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

次の話

『悪役令嬢に転生させられた地味令嬢ですが、ヒロインの方が強くて虐められているんですけど……』https://book1.adouzi.eu.org/n7240kb/


この話の

次の作品はこちら

『婚約破棄されたので下剋上することにしました』https://book1.adouzi.eu.org/n0747ju/


この話が電子書籍化されました

表紙画像
1巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど 卒業パーティーは恐竜皇子と恐れられるお義兄様と一緒に』
上の表紙絵はおだやか先生が可愛いエリーゼを守る格好良いお義兄様を描いて頂きました。
このなろうで書いたのに【お義兄様との洞窟探検】2万字の描き下ろしが追加されています。
小さいヒロインのエリーゼはダンジョンに潜りたいとお義兄様に無理やり連れて行ってもらって、巻き起こす大騒動。
後で知ったお義父様(皇帝)が怒るもエリーゼの前に撃沈、更に行ったダンジョンにはなんとあの…………、とても面白いお話になっています。

■【3千字のSS商人の娘の独り言シーモア特典付き】
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表紙画像

表紙絵はおだやか先生が美しい、お義兄様とエリーゼのキスシーンを描いて頂きました。
2巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… 帝国に帰還しての宮廷夜会、お義兄様にキスされてしまいました』
こちらの新規書き下ろしはセッシーとの出会いです。皇帝一家でセシール湖にお出かけしたエリーゼはお義兄様たちと湖の地下宮殿に冒険に出かけます。
反逆の陰謀と共にそこにいたのは巨大な水竜で…… とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【3千字のSSドレス工房の主の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/2/


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3巻表紙画像

表紙絵はおだやか先生がエリーゼをお義兄様が抱きあげる美しいシーンを描いて頂きました。
3巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… そのお義兄様から「エリーゼ、どうか結婚してください」と求婚されました。』
こちらの新規書き下ろしは学園に出る幽霊竜退治です。学園時代のお義兄様の幽霊騒動にエリーゼが一緒に冒険します
とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

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ぜひとも手にとって見ていただければ嬉しいです。

この話のスピンオフはこちら


『【なろう500万字達成記念】知らない男から婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの学園を止めさせると叫びだしたんだけど』
https://book1.adouzi.eu.org/n3697jc/



私の最新作はこちら

『男爵令嬢に転生したら実は悪役令嬢でした! 伯爵家の養女になったヒロインよりも悲惨な目にあっているのに断罪なんてお断りです』https://book1.adouzi.eu.org/n7673jn/


アルファポリスのレジーナブックスにて

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2023年6月28日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
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手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

なろうの掲載ページ『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』https://book1.adouzi.eu.org/n3651hp/

第一部は書籍化の規約上3分の1残して後は他者視点で繋いでいます
「えっ、ゲームの世界の悪役令嬢に生まれ変わった?」
頭をぶつけた拍子に前世の記憶が戻ってきたフラン、
でも、ケームの中身をほとんど覚えていない!
公爵令嬢で第一王子の婚約者であるフランはゲームの中で聖女を虐めて、サマーパーティーで王子から婚約破棄されるらしい。
しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。
しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
更にもともとアプローチしているが全く無視されている第二王子とシスコンの弟が絡んできて・・・・。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。

私の

2番人気の作品はこちら

『モブですら無いと落胆したら悪役令嬢だった~前世コミュ障引きこもりだった私は今世は素敵な恋がしたい~』https://book1.adouzi.eu.org/n8311hq/

私の

3番人気の作品はこちら

『皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!』https://book1.adouzi.eu.org/n8911gf/

この話の

次の作品はこちら

『王太子に婚約破棄されて両親を殺した野蛮王に売られそうになった時、白馬の騎士様が助けてくれました』https://book1.adouzi.eu.org/n6878ix/


前の前の作品『傭兵バスターズ』元剣聖と悪役令嬢率いる傭兵団の冒険活劇https://book1.adouzi.eu.org/n3697jc/


この話の

前の作品はこちら

『天使な息子にこの命捧げます』https://book1.adouzi.eu.org/n9455ip/

― 新着の感想 ―
[一言] 大使はまだ、『殿下の下へお帰り頂けるように動きました。エリーゼ様には辛い思いをさせて申し訳ないと思います。』という言い訳が、通用するかどうかは別としてできるが、王宮の文官は命があるといいね~…
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