お義兄様が私の卒業パーテイーを最初からめちゃくちゃにしてくれたので思いっきり足を踏んでやりました
会場内に入ってもお義兄様の傍若無人ぶりは相変わらずだった。
基本は立食形式だが、後ろの方に食べるためのスペースが有り、そこにでんと座ってくれたのだ。
そして、まだ、式典も始まっていないのに食べ物を取り出したんだけど……
「ちょっとお義兄様。まだ式典も始まっていないのに、いきなり食べだすのは止めてよ……ムガッ」
更に文句を言おうとした私の口の中になんとポテトを放り込んでくれたのだ。
「何してくれるのよ」
私が怒って文句を言うと、
「これでお前も同罪な」
なんかとんでもないことをお義兄様は言ってくれた。
「えっ! 無理やり人の口に放り込んでくれたのお義兄様じゃな……ムグッ」
また、人の口の中に放り込んでくれた!
「そうか、エリはせっかく俺が来てやったのに、国王自ら出迎えないとは何事だと叫びだしても良いのか?」
お義兄様が不敵な笑みをしてくれるんだけど……
「それは困る」
さすがの私も頷かざるを得なかった。
「でも、それとこれとは話は別よ。相手が礼を失したからと言ってこちらが礼を失してよいという話は無いわ」
私がお義兄様に言うが、お義兄様は平然と食べているんだけど。
「お義兄様。まさか、他国でも同じことをしているんじやないでしょうね」
「さすがエリーゼちゃん。良く分かっている」
トマスさんが頷いてくれたんだけど。
「どういう事?」
私がお義兄様を睨むと、お義兄様は明後日の方を見てくれた。
「こいつ、テルナン王国で会談の場に国王ではなくて代理の外務卿が来たっていうだけで切れてくれて」
「当たり前だろう。俺様がわざわざ出向いてやったんだぞ。そのまま攻め潰しても良いのに。そこに出てきて膝を屈すればよかったものを代理なんて寄越すから」
「そのまま、攻め潰したの?」
私は呆れて言った。
「お義兄様。帝国内では良いけれど、他国では何を思われるか判らないから、最低限の礼儀は守ってっていつも言っているでしょ」
私が怒って言うが、
「ふんっ、あいつらが守らないのが悪い」
お義兄様は平然としているんだけど……
「相変わらず、仲の良いご兄妹ですね」
遠巻きにしていた私のクラスメイトのシャロットが寄って来た。
「何処が仲がいいの……むぐっ」
私が切れた所にまた、お義兄様がポテトを口の中に放り込んでくれた。
「まあ、本当に仲のよろしいことで」
生暖かい目でシャロットが言ってくれた。
「良くない」
私が反論するが、
「だって見ていたわよ。『ヘモジ亭』でお二人で仲良さそうに食べさせ合う姿を。何処のカップルだって皆噂していたわよ」
シャロットが皆にバラしてくれるんだけど……
「えっ、別に食べさせ合いって、兄弟で普通にやるでしょ。私弟にも良く食べさせていたし」
そう、弟のフランシスは本当に可愛くて、小さい時は私は食事の時はできる限り食べさせていたのだ。
「それは小さい時でしょ。大人になってまでそんな事しないわよ」
「えっ、そうなの?」
私は知らなかった。昔から私はローレンツお義兄様にも、マルクスお義兄様にもケーキとかを良くもらっていたのだ。その時は食べさせてくれていた。
流石に最近は無かったけれど。それに会っていなかったし。
だからお義兄様にも昔のように普通に食べさせをやっていたのだ。
でも、それが普通でないなら、止めたほうが良いのか。
私が思った時だ。
「お、ムグッ」
私の口の中にまたお義兄様がポテトを放り込んでくれたのだ!
「何してくれるのよ」
私がムッとして言うと
「良いじゃないか、エリ。別に俺とお前は血が繋がっていないんだから、結婚しようと思えば出来るし」
「えっ!」
私は固まってしまった。と言うか、そんな事は考えたこともなかったのだ。
それは確かに、私達は血は繋がっていないけれど、お義兄様はお義兄様で……
「キャー」
「禁断の愛」
「エリーゼやる」
「私なら、あんな見目麗しいお兄様がいるなら、血が繋がってても良いわ」
外野がキャーキャー煩いんだけど。
その騒ぎで、王子殿下が入場してきたことなど私達の周りは全く見ていなかったのだ。
「貴公等殿下のご入場なのに何故立ってお出迎えしない」
傍の伯爵令息が注意してくれて、私達は王子が入場したことを初めて知ったのだ。
私は慌てて立とうとしてお義兄様に止められた。
「えっ」
私はお義兄様を睨みつけたら首を振られた。
「何を言う。本来王子ならば、皇帝陛下の代理であるエリーゼ様をお出迎えせねばならぬ立場であろうが。それが遅れてくるなど言語道断。この事を陛下が知られれば激怒されることであろうよ」
トマスさんが大声で叫んでくれたんだけど。
えっ、トマスさん、それを今言う!
私は唖然とした。
皆も驚いて私を見てくれた。
それはこんなことが知れたら激怒するのは判るんだけど、そんな事したらこの国が滅んじゃうじゃない。私は焦った。
「まあ、そう言うな、トマス。第一王子としてもいろいろと予定があったのだろう」
お義兄様がそう言ってくれたんだけど、絶対にこの顔は碌な事を考えていない。元々静かにしているって言う約束だったのに! もうすでにめちゃくちゃじゃない!
もう二度とお義兄様は連れて来ない! 私は心に決めたのだ。
「婚約者のエリーゼ様をほっておいてですか」
トマスさんが更に言ってくれた。
まあ、それは事実だ。このクソ王子に確かに思うこともある。
でも、私は母の愛したこの国をまだ、滅ぼしたくなかったのだ。
「まあ、その言い訳は後できっちりとつけてくれるだろう」
お義兄様が王子を不敵な笑みで睨んだんだけど……
ど、どうしてくれよう。絶対に帰ったらお義兄様にお仕置きしてくれる。
約束破ってくれた罰だ。というか、これ以上話してほしくない。
私はお義兄様の口を塞ごうとしたのだ。
「学園長。遅れてきたやつが揃ったのなら、さっさと早く始めてくれ」
でも、その前にお義兄様が叫んでくれたのだ。何、その傍若無人な言い方。お義兄様は完全に私と王子を破綻させる気満々じゃない!
一応、この3年間私なりに頑張ってきたのに!
ムカついた私は次の瞬間、お義兄様の足を思いっきり踏みつけていた。
「ギャッ」
お義兄様が叫んで足を押さえた。
周りの騎士らが頭を押さえてくれたが、知ったことじゃないわよ!
ここまで読んで頂いて有難うございました。
そろそろ断罪シーンに突入です。
明日の一回目の更新は朝8時前後か、遅くても昼頃する予定です。
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