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ショートショート7月~

○○がでかすぎてかなわない。

作者: たかさば
掲載日:2020/07/10

どうにもこうにも、重い。

重たすぎる。


「はあー。」


あたしは机の上に、左手を置いて、その上にどかんと重量感あふれる部分をのせた。

あたしの胸部で、堂々と存在感をあらわにしている、この部分。


「ちょっと!!そのくせ。外では絶対やるなよ?」


お母さんがあたしの姿を見てチクリと一言。

外ではやらないってば!でも家の中ぐらいは勘弁してよ…。


あたしの胸部にはクッソ重たい枷がね。

体の一部がね、すんげえでっけえのさ。


「へいへい。」


私の2つの張り出しすぎた部分の下にあるはずの腕は、どこにも見えない。

なぜなら!肉の下に完全に埋もれているからだよ!!

…ああ、左手が、しびれてきた。


あたしの胸部が、重すぎる。

あたしの胸部が、でかすぎる。


そもそもなんでこんなことになってしまったのか。

ごく普通に暮らしてきて、ごく普通に成長してきたはずなのに。


なぜ、こんなことになってしまったんだ…。


思えば小学6年生、あのあたりから怪しかった。

下着がきつい、そう思うたびにサイズをあげていく日々。

友達は年に一回くらいの購入ペースだと言っていたが。


「下着を買うペースが速すぎて金が続かん!!!」


ようやっと巨大化のスピードがおさまったと思いきや、今度はじんわり大きくなり始め。


「あんたのサイズの下着がどこにも売ってない!!!」


普通の量販店で、見つけることができなくなって。


「専門店の下着は高いな…。でもこれしかない、うぐぐ…。」


いつだってお母さんの財布をすっからかんにしてきたのは、あたしの下着だった。


…この、この胸部が憎くてならん!!!


プールに行けば注目を集め!

風呂屋に行けば注目を集め!!

縄跳びをすれば注目を集め!


マラソン大会の次の日にはの胸上部下部横部がダメージを受け!

体育の授業で全力疾走するたびに視線を浴び!

汗ばむ季節にはあせもができ!!

おしゃれな服はすべて入らず!!


だというのに羨ましがられるこの理不尽さ。


おかしい。


この世は何か間違っている!!


ボストコのみすじステーキを買ったときに驚いた。

一パックが、私の胸部重量と、同じ重さだったのだ!!!

…私の体には、みすじステーキ二パック分が張り付いているという事実!!!


みすじステーキはいいよ!!

あの一パックで腹いっぱいになれるからさ!!!


私の過体積過重量箇所はただ揺れるぐらいしか、能がない!!

ただ揺れる?!揺れることでどれほどの害があると思ってんだ!!!


下着のひもがブチっと切れたことだってあるというのに!

一枚いくらすると思ってんだあああああ!!!


なぜ…なぜ誰もわかってくれない!!!


この憎しみを!

この苦しみを!

この重さをおおおおお!!!


はあー、肩も痛いし、心も痛い、そして言動すらあいたたただよ!!


「なんだ、そんなに嫌ならダイエットすればいいじゃん!」

「運動するとチチが痛いんだってば!!」


少々体格が良すぎることは、まあ、認める!

でもね、この重さに耐えるにはね、頑強な体も必要であって…。

そもそも運動すると弊害がでるしさあ。


「じゃあいつも食ってる飯半分にしたら。」

「それは嫌だ。」


重量級胸部保持者はさあ、3キロのダンベル抱えてるようなもんだからさ!

腹が減るんだわ!!!

飯は減らせんなー!!!


「じゃあ無理だわ、あきらめてブルンブルンさせとくしかない。」

「ちょっと!!いい方!!!」



♪ブーン、ブーン


ああ…バイトの時間だ。


「行って来まーーーーーす!」


あたしは重いチチをあげ、足どりくらいは軽くしようとテンションをあげて家を出た。




ばゆん、ばゆん。


バイトに向かう私の体の中心は。


ぼよん、ぼよん。


相も変わらず、揺れに揺れ。


だぶん、だぶん。


「おはよーございまーす!」

「おはよう~。」


バイト先のロッカールームで、先輩に挨拶をして、着替える。

ま、着てきたブラウスの上から、エプロン着るだけなんだけどね。


三角巾をかぶり、エプロンを着て。鏡で、チェック…。


かちゃん!


おっと、エプロンの胸ポケットからボールペンが落ちちゃった…。

拾おうと、かがんだ、その時。


過重量箇所が、重力に忠実に従って!


勢い良く!!

形を!!

変形させっ!!!


その衝撃を真正面から受け止めた、貧弱な、ブラウス生地。



びッ!…ブチっ!!



ブラウスの、胸のボタンが、はじけた。

糸で繋がってる、はじけ飛ばなかっただけ、今日はついてるよ!!!


あたしはそっとボタンを取って、ズボンのポッケに忍ばせた。

…ブラウスのボタンなくてあっぱらぱーだけど、まあ、エプロンしてるしなんとかなるか!

うん、バレないバレない!


胸部は重いが、気持ちはあ()()()

それがあたしのモットーさ!


あはは!

…なかばヤケクソだけどね!



「いらっしゃいませ~!」


準備万端のあたしは元気よく!

従業員出入り口で一礼して!


週末でこみ合うスーパーの中、デカい体を揺らしながらレジへと向かった。



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― 新着の感想 ―
[良い点] なんてこった。あせもは大変すぎる。 [気になる点] これが体験談なのか、人間観察の結果なのか。どっちにしてもすごい [一言] 慣性モーメント計算してみたいかも
2020/07/10 21:45 退会済み
管理
[一言] これは……。 でかすぎですね。
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