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①俺はハーレムを、ビシっ!……道具屋にならせていただきます 一部一章 ~スカートめくりま扇と神様ヒロインのエロ修羅場!?編~  作者: ぺんぺん草のすけ


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鑑定の神はおばあちゃん?(9)

「うぁ!!」

 突然の声にタカトはびっくりして、思わずドテンと尻もちをついた。


「あっ、お前はこの前のババァ!」

 振り返って声の主を見上げる。


 そう、あの老婆だ。以前コンビニの前で血を吐いて倒れていた、あの老婆。

 命の石がないと命に関わると言いながら、命の石を渡すと感謝もそこそこにさっさと姿を消した、薄情者。


「誰がババァじゃ!」

 老婆は怒鳴り返す。

「わしにはミズイという名があるんじゃ!」


 しかし、タカトはあの時のことを思い出し、

「ババァの名前なんてどうでもいいわ!」と怒りが込み上げていた。

 ――こいつのせいでじいちゃんに怒られたんだぞ!

 いや、違う気もするけど……やっぱりそうかもしれん!


 ビン子も老婆に声をかける。

「おばあさん、もう体の調子は大丈夫ですか?」

 だが名前はあえて呼ばない。ビン子もまた、何か引っかかっている様子だった。


 老婆は気にも留めず、

「ははは、お前たちにもらった命の石のおかげで、もう大丈夫じゃ」

 と笑う。


「何が命の石だ!盗人ババァ!」

 けらけらと笑うその態度に、タカトの怒りは収まらない。


 だが 老婆に気づいたヨークはすぐさま馬から降り、膝をついて頭を下げた。

「これは神様ではございませんか。このような場所に顕現なされるとは」


 ……あれ? タカトたちと明らかに態度が違う。

 けれど、これがこの世界では“普通”なのである。


 神とは、摩訶不思議な恩恵を持ち、それを人々に授けることのできる、超偉い存在。

 だからこそ、権蔵もビン子に出会ったときは、畏敬の念を持って丁重に接した。

 まぁ、今ではビン子が神であることを時々忘れているような気がするのだが……いや、決して権蔵がぼけたわけではないぞ。だって! もうビン子は家族なんだ! 家族!


 一方のタカト──

「ババァ、お前、本当に神なのか? ただのボケ老人!いや、盗人老人じゃねえの?」


 ビン子もビン子で、口元をしかめながら老婆に訊ねた。

「おばあさん、本当に……神様なんですか?」

 神様が泥棒するなんて信じられないと言わんばかり。


 まぁ……どっちもどっちである。

 上から目線で神様を値踏みしてんじゃないよ、お前ら。

 神様より偉い存在なんて、この世界には創造神アダムとエウアくらいしかいないんだからね!


「……お主ら、神に対する口の利き方が全くなっとらんの……」

 フードの隙間から覗く金色の目が、不機嫌そうに二人をにらむ。


 ミズイはこれまで、こんな偉そうな人間を見たことがなかった。

 人とは神と知れば仰々しくへりくだるが、分からなければ、その見てくれからドブネズミのように扱う薄情な生き物。

 だが、目の前の二人は違った。

 ミズイがボロ雑巾のように倒れていたとき、手を差し伸べてくれたのはこの二人だけ。

 礼儀はなくとも、人としての情愛は確かにあった。

 そう思うミズイの目は、いつしかにこやかに変わっていた。

「まぁ、よいわ。神と気づいて態度を変えるより、かえってその方が気持ちがいいものじゃ」

 ……って、この目。絶対また何か企んでるに決まってる。こういう顔のときのババアって、絶対にロクなこと考えてないんだから!


 ヨークが不思議そうに尋ねる。

「しかし神様、このような場所に、いかなる御用が?」


「体に生気が戻ったゆえ、この小僧にこの前の礼をしようと思って来たのじゃ」


「なんと、この少年に神の恩恵を授けられるのですか。よかったな、少年」


 それを聞いたタカトの目がキラキラと輝いた。

「なんかくれるのか?」

 ──何かくれる……その響きだけでもう最高だ!

 タカトの目は「早くくれ!」と全力でミズイを催促していた。


 そして──

 ミズイは大仰に両手を天に掲げ、宣言する。

「鑑定の神ミズイの名において、お主に鑑定のスキルを授けよう!」

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