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①俺はハーレムを、ビシっ!……道具屋にならせていただきます 一部一章 ~スカートめくりま扇と神様ヒロインのエロ修羅場!?編~  作者: ぺんぺん草のすけ


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第六の騎士の門(10)

 タカトとビン子は、荷馬車を宿舎の裏手に回した。

 その背後には、レンガ造りの倉庫が一棟──ひっそりと佇んでいる。


「……ま、どうせ、ここに運ぶんでしょ」

 ビン子は溜め息混じりに呟いた。


 もちろん、ここから先は人力だ。

 馬車を引くのは馬でも、荷を運ぶのは人間である。つまり、彼女たちだ。

 荷積みのときは権蔵が手伝ってくれたが、荷降ろしはタカトとビン子の二人だけ。

 そして、そのうち一人──タカトは、いわずもがなの戦力外。

 結果、またしてもビン子のワンオペがスタートした。


 タカトはというと、荷馬車の上で荷物を持ち上げる“演技”に余念がない。

「んーっ、よいしょっと……(持ってない)」

 そんな調子である。


 この光景も、もはや日常風景。

 見かねた守備兵たちが、いつものように手伝ってくれた。


「ビン子ちゃんってさ、働き者だよな。絶対、いい奥さんになるタイプ」

 若い守備兵が、にこやかに言う。


「保証するよ。なんなら俺の嫁に来ない?」

「断固、お断りしますw」


 タカトは、荷馬車の陰からそのやりとりを聞いていた。

 表情は──若干ムッとしている。

 ──はぁ!? どこがいいんだよ、あんな貧乳女の……

 だが、ビン子がまんざらでもなさそうに微笑むと、何故だか余計に腹が立ってきた。

 

 だが、ビン子は笑いながら即答する。

「それは断固お断りしますw」

 

 守備兵は肩をすくめ、荷物を抱えあげながらつぶやく。

「ってことは、彼氏がいるんだな?」


「いませんよ~w」

 そう言いつつも、ビン子は何気なくタカトのほうをチラリ。


「そんなのいませんよw」

 笑いながらビン子は手を振った。

 しかし、何かが気になったのだろう。

 チラッとタカトの様子を伺った。


 だが、そのタカトは彼女を一瞥すらせず、別の守備兵と防具を運んでいた。

 いや、運ばされていた。


「ほら行け!」

「ちょっ、ちょっと重いって!」


 守備兵たちに半ば強引に首根っこを掴まれ、

 一番重い荷物を担がされるハメになっている。

 ──いわば、教育的制裁である。

 いつもビン子に荷降ろしを押し付けているタカトを見かねて、

 守備兵たちが“しれっと”お仕置きしているのだ。


「こら、タカト! ちゃんと腰入れろ!」

「入れてますってば!」

「じゃあ、なんでフラつくんだよ!」

「俺、か弱いんですよ……少しはいたわってくださいよ……」

「そうか。なら後で、お前のケツをやさしくいたわってやるよ!」

「た、助けてぇぇぇぇ! ビン子ちゃぁぁぁん!!」


 タカトの絶叫が、倉庫の前に響き渡った。

 守備兵たちの笑い声とともに、門前広場の空に吸い込まれていった──。


 えっ?

 「なんで守備兵たちがタカトを手伝ってるの?」って?

 「さっき女子学生のスカートめくりの犯人を捜すって、広場に飛び出していったはずじゃなかったの?」って?


 ……お、おぉぉ……鋭い……。

 いやだなぁ、もちろん忘れてなんかいませんってwwww 旦那!


 じゃあ、どうして彼らが倉庫に戻ってきてるのかだって?

 はい、それはですね──


 犯人が見つかったからです!


 うん? どういうこと?

 スカートめくりの犯人はタカトのはずだろ?

 でも、さっき守備兵たちと道具を運んでいたよね?


 真犯人は確かにタカトではあるが……ぶっちゃけ、守備兵たちが納得すれば、犯人なんて誰でもいいんですよ!


 ということで、時間を少々巻き戻し! ポチッとな!

 キュル~キュル~キュル~(って、分かるんかいな、この擬音www)


 門前広場で、スカートめくりの犯人を捜していた守備兵たち。

 そのとき、広場の一角から子どもたちの歓声と──どこか芝居がかった声が響きわたった。


「ハハハハハ! 仮面ダレダー! 今日こそお前の最期だぁぁぁッ!」

「なにっ!? ツョッカー!」

「さあ行け、我が忠実なる戦闘員!」


 ……

 ……

 シーン……


「……どうした、ツョッカー! 戦闘員は!?」

「ちょっ……ちょっと待って! え、遅刻!? 戦闘員が遅刻ってマジで!?」


 そのとき。

 ステージ裏からゼェハァ言いながら黒い影が駆け込んでくる。


 ──あれは!

 土手を爆走していた女の子4人組(※ただし一人オッサン)の一人!

 全身黒タイツに白骨プリント、ツョッカーの“セントウイン”だ!


「はぁ……はぁ……す、すみません……お、おくれました……イィィ……」


「お前、今何時だと思ってんだよ! 首領に言いつけるぞ!」

「イィィィィ! 首領にはちゃんと挨拶してきましたっ!」


「え、マジで? じゃあ最初から連絡してよぉ~……」


 そのやりとりを横で聞きながら、黒いフルフェイスのヒーロー(たぶん仮面ダレダー)が遠慮がちに手を挙げた。


「……あの、ツョッカーさん。そろそろ俺、必殺技いってもいいですか?」


「あっ、ごめんごめん! OK、やっちゃってー! いけ! 戦闘員!」


「イィィィィィ!」


 仮面ダレダーが派手に手を回し、ベルトに手を当てる!


「仮面ダレダー! 48の必殺技のひとつ──ダブルタツマキッ!!」


 ゴゴゴゴゴ……

 背後の巨大扇風機がうなりを上げて回転を始める!


 そして──

 セントウインがその風を受け、くるくると回り出す!

 まるでピルエットを決めるバレリーナのように──


 ふわり、と舞い上がるスカート。


 ……ん?

 スカート……?


 戦闘員がスカート履いてるーッ!?!?


「イィィィィィィィィ!!」


 盛大にクルクルと回転しながら、ステージの脇へと消えた──その直後!


 銭形のとっつぁん……にしか見えない守備兵の声が響いた!

「貴様を逮捕する!」


 その声に、ステージ脇で肩を上下させていた女子学生の体がビタッと止まった。

 頭にはオイルパン。走りすぎたせいか、顔には妙なズレが生じていた。

 ……そして、カツラの隙間から覗くモミアゲが、妙に存在感を放っている。

 ──おいおい、まさか……

 ルパン・サーセン!?

「……とっつぁん?」


「へっ?」

 そこには手錠をかけられた仮面ダレダーがいた。

 ステージの上で呆然と自分の両手を見下ろしている。


えええぇぇぇぇぇッ!?

なんで⁉ 仮面ダレダーが逮捕? ルパン・サーセンじゃないの?


「貴様を女子学生スカートめくりの現行犯で、逮捕する!」

 肩を落としてステージを降りていく仮面ダレダーと、子どもたちの歓声に得意げに手を振る銭形のとっつぁん。その姿はまさにヒーローショーの主人公って……オイ! 


 ──というわけで、事件はめでたく(?)解決!


 ……というか、あの戦闘員、女子学生だったのか……

 って、これ……解決したのスカートめくり事件じゃなくて、ただ戦闘員の正体が女子学生って分かっただけじゃん……


 まぁ……そうとも言うwww

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