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①俺はハーレムを、ビシっ!……道具屋にならせていただきます 一部一章 ~スカートめくりま扇と神様ヒロインのエロ修羅場!?編~  作者: ぺんぺん草のすけ


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緑髪の公女(10)

 周囲を取り囲む女子学生たちの輪が、セレスティーノの動きと共にスライドしていく。


 ……だが、誰一人、悲鳴を上げる者はいなかった。

 裸にふんどしという狂った姿にも関わらず、むしろ彼女たちの目は、キラキラと光っている。

 それは、まるで何かの新しいトレンドを発見したような興奮だった。


 ──え、今ってふんどし流行ってんの?

 ──え、マジで!? ふんどし、来てんの!?

 ──私たちもふんどしよ! ふんどし!

 ──ふんどしこそ、推しへの愛ッ!!

 ──ふんどし is フリーダム!!(意味はない)


 ……やっぱり、イケメンこそが正義なのである。


 もし、この格好をタカトのような残念フェイスがやっていたら──

 即逮捕。

 そして牢屋。

 むさい犯罪者のオッサンたちに囲まれて、ケツの穴の童貞を奪われていたであろう……ヒィィィィ!!

 この世はなんと、ブサイクにとって生きづらいことか。

 マジでイケメンなんて滅びろ!


 セレスティーノはアルテラの前まで来ると、片膝をつき、うやうやしくひざまずいた。


「麗しきアルテラ様。本日のご挨拶に参りました」


 ……下げた頭から、それとなく上目づかいで様子を窺うセレスティーノ。


 アルテラは高貴な存在。

 彼女が手を差し出さぬ限り、触れることなど許されない。

 よって、勝手に手を握ってキスをするなど──言語道断!


 ……が、セレスティーノの視線はうずうずしていた。

 ちらっ、ちらっ。

 まるで、怒られているのに反省していない小学生である。


 ――今日こそは、右手を差し出してくれるかな?


 だが、アルテラは何のリアクションも示さなかった。

 手を出すどころか、軽くプイッと横を向くと、そのままそそくさと荷物を持って教室のドアへ向かっていく。


 まわりの女子生徒たちから、どよめきが起こった。

 学園のアイドルであるセレスティーノ様がわざわざ膝を折ってまで挨拶をしているのに、あの豚は完全無視!

 なにあの態度! 何様のつもりよ‼

 ……いやまぁ、緑女じゃなくても普通に嫌われてただろうな……。


 ぽつん、と一人取り残されたセレスティーノ。

 ――くそ! あの女! お高くとまりやがって!

 笑顔の裏に浮かぶ、鬼のような形相。

 ――このセレスティーノ様が、わざわざ挨拶してやってるというのに!

 が、その顔は、うまく背後にいる女たちには見えないようである。

 ――まぁ、あの女は緑女だからな……魔物には私の美しさは理解できないのだろう……

 って、いやいやいや!

 今お前、裸でふんどしだってば!!

 まぁ、そう、自分に言い聞かせたセレスティーノは、静かに膝を伸ばす。

「しかし……不憫な女よな……」

 未練がましく、膝についたホコリをぱっぱと払う。


 そんな彼に、女子生徒たちが次々とスカートの裾をつまみ、片足を引いてぺこりと頭を下げ始めた。


「セレスティーノ様、おはようございます♥」

「今日も素敵です♥」

「ふんどし、お似合いです♥」


 にっこりと振り返ったセレスティーノは、すでに満面の笑み。

 両手で彼女たちの手を優しく包みながら、テンション爆上げで挨拶する。

「ハイ! おはよう! おはよう!」

 ――あぁ、若い女の肌は、ババァと違って張りと弾力が段違いやなぁ!

 イィィィ!

 イイ!

 キモチィィィィ~!


 一方、そっけなくバッグを持ったアルテラは、教室の後ろをすり抜けるように早足で廊下へ向かった。

 あの場に一秒でも長くいることに、耐えられなかったのだ。

 だって目の前に──裸ふんどし野郎が跪いて、女子たちを従えているのだから。

 ここで「苦しゅうない」と右手でも差し出した日には、即座に女王様決定である。

 でもその「女王様」は、SMの方の、である。


 ――イヤ……(きたな)らしい……

 そう、それでは……あの、父につきまとう売女の秘書と、何も変わらないではないか。

 男と女の立場こそ違えど、やっていることは……同じだ。


 ……うつぶせにされたふんどし野郎のケツを、女王様のヒールが無慈悲に踏みにじる。

「お前は何だぁぁァァ! 言ってみろぉぉ!」

「私めはセレスティーノ! 神民学校の生徒会長でありますぅぅ!」

「違うだろうが! 貴様はただの豚だ! 豚は豚らしくワタシの足でも舐めていろぉぉぉ!」

 と突き出した足をセレスティーノの口に無理やり押し込んで上下させるのである。

 おえっ!

 淫靡な音を立てていたセレスティーノの口が、嘔吐反応を起こしゲロと一緒に靴の先を吐き出した。

 涙目のセレスティーノの顔面は、すでに口から垂れるよだれと鼻水でビチョビチョ。

「ふんっ! この豚は、こんなこともできないのか!」

 さげすむ目が、力なくうなだれるセレスティーノの頭を見下していた。


 そんな妄想をアルテラは即座に拒否した。

 ――あんな女と同じになるのだけは絶対にイヤ……

 身体で取り入ろうとする……あんな下劣な女と。

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