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①俺はハーレムを、ビシっ!……道具屋にならせていただきます 一部一章 ~スカートめくりま扇と神様ヒロインのエロ修羅場!?編~  作者: ぺんぺん草のすけ


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緑髪の公女(5)

「惜しい! 残念!」

 ――えっ? どういうこと?

 ローバンの頭の中は真っ白になった。


「問題は最後までよく聞きましょう! では、もう一度、問題です。騎士がもつ神民枠の数はあらかじめ決められており、当然、その枠を使い切ってしまうと……騎士の門外のフィールドを維持することができなくなりますが、その神民数を使い切った騎士はどうなるでしょう?」

 ピンポーン

「コウスケ君!」

「王により、新たな騎士へと交代が行われます」

「正解! すごいな! コウスケ! お前、意外に勉強しているじゃないか!」

「ヘヘン!」

 得意げに鼻をこするコウスケ。


 その横で、ローバンはがっくりとうなだれていた。

 ――もしかして……私は……負けたの……負けてしまったの……

 ウワァァァァァァァァン

 突如、教室にローバンの泣き声が響き渡る。。


 そんな彼女に、コウスケがそっとハンカチを差し出した。

「ローバンさん、みんなで一緒に走りましょう! ワンフォーオール! オールフォーワンです!」


 その言葉を聞いて、スグルが涙ぐむ。

「コウスケぇ~、よくぞ言った! それでこそ俺の生徒だ!

 さぁ、みんな! 夕日に向かって走るぞぉぉぉぉ!」


 ……いや、まだ昼前ですけど?

 見てるだけで暑苦しいわ、この男。


 ハンカチで涙を拭い、ついでに鼻までかんだローバンが、しらけた目でスグルを見る。

「って、まだお昼前ですよ……」


「何ぃぃぃぃぃぃい!?」


「一体いま何時だと思っていたんですか! スグル先生!」

 ローバンがコウスケに使い終わったハンカチを返しながら、容赦なくツッコんだ。

 ……って、使ったハンカチはせめて洗ってから返そうよ。

 女の子──いや、人としてさ。


 そんなやり取りに、コウスケが戸惑いの表情を浮かべる。

「どうします、先生……」

「コウスケ……仕方ない、とりあえず夕方まで銭湯にでも一緒に行くか?」

「はい!」

 ──って、お前らこの後の授業をさぼる気かーい!


『自習!』


 スグルは黒板にそう大きく書き殴ると、生徒たちに呼びかけた。


「自習は課外活動でもいいぞ! ただし、ちゃんとレポートは出せよ!」

 おぉ、まるで先生っぽい!

 やっと教師らしいこと言ったな! と思いきや──


「課外活動は、食レポでも、カラオケでも、銭湯巡りでも、なんなら家に帰ってゲームでもいいぞ!」


 ……いや、それ課外でもなんでもなくない?

 もうそれ下校やん。


 そんなスグルは遠くを見るような目で、しみじみと語る。


 ──人生に無駄になるようなことは何もない! そう、すべからく人生の学びなのだ!


 ……というか、ただ単に「ニューヨーク」って名前の銭湯に行きたいだけなんじゃないのか、この男。


「ハイ! 先生!」


 一人の女子生徒が冗談まじりに手を上げる。


「レポート、写メでもいいですか?」

 ……はぁ? レポートってのは報告書だぞ? 一度辞書引いて来い、ほんま。

 普通に考えて、写メでいいわけないだろうが! このバカチンが!

 ニャン八先生なら、きっと前髪をかき上げながらブチ切れてるところだ。


「おお、写メでいいぞ! なんならチェキでもプリクラでも構わん!

 それがない奴は白紙に念写でもしとけ! ちゃんと出席扱いにしといてやるからな!」

 ……おいおい! 念写ってなんだよ!?

 いつからここはエスパー養成学校になったんだよ!

 いやいや、ここはあくまで神民学校。エスパーなんていませんニャン!


「やったー」

「さすがスグル先生!」


 女子たちは決まりきった仲間のテリトリーへ散っていき、キャッキャと笑いながらおしゃべりを始める。

 男子たちは部活のユニフォームに着替えたり、机にカードゲームを広げたりしていた。


 その賑わいの中で、ただ一人、アルテラだけが静かに窓際の席にいた。

 使い終わった教科書を黙ってカバンにしまう彼女の周囲だけが、ぽっかりと孤島のように浮いている。


 誰も近づこうとしなかった。


 ……アルテラは、緑の髪を持つ「緑女(りょくめ)」。

 その髪が濃ければ濃いほど、魔物が取り憑いていると信じられていた。


 迷信に過ぎない、根拠などどこにもない。

 けれど、そんな理不尽な恐れが、彼女たちを社会から遠ざけた。


 人々は言う──「緑女に触れれば、人魔症にかかる」と。


 その言葉が、緑女たちを“人間”から“忌むべき存在”へと貶めた。

 そのいわれもない迷信のために緑女たちは、差別的で悲惨な人生を送ることになる。

 彼女たちの人生は、牛馬よりもひどい。

 見世物小屋で発情した豚の相手をさせられたり、魔物捕獲用の寄せ餌にされたりする。

 そこに人としての尊厳など、存在しなかった。

 ……アルテラは、そんな視線を背に受けながらも、ただ静かに、今日の教科書をしまっていた。


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