緑髪の公女(4)
「はい次の問題です! 門外における自軍フィールドの広さは何によって決まるでしょう!」
ピンポーン
「ハイ! ローぱンさん!」
「門を守護する聖人国、魔人国の互いの騎士が所有する神民の割合によって決まります! すなわち、相手よりも神民を多く持っていればその分だけ広くなります!」
だが、スグルは答えない。
――あれ……違った?
一瞬、不安になるローバン。
そして、ためにためてからの~
「正解!」
おぉぉぉぉ!
先ほどよりも生徒たちの歓声が大きくなってきた。
そして、スグル先生のテンションもさアゲアゲ状態にwww
だが、一人コウスケだけは恨めしそうにローバンを睨み付けていたのだった。
そんなコウスケを見たスグルは
「では、ここで簡単な問題! コウスケ、チャンスだぞぉ~! 神民数が0の騎士はどうなる?」
ピンポーン
「早い! のーぱンさん!」
「自分が所有する神民から生気を得ることができないため、騎士の不死性を発揮することができません。すなわち騎士は不老不死でなくなります」
「正解!」
おぉぉぉぉ!
ローバン! ローバン! ローバン!
そんな声援とともに、教室内がお祭り状態になってきた!
現時点のポイント!
ロバ! 3ポイント!
コウスケ0ポイント!
どうする! コウスケ! どうする!
スグルは、会場の様子をちらりと伺った。
この生徒たちのアホみたいな盛り上がり、超楽しい~♪
先生やっていて本当によかったぁ~♪
だが、そんな教室に一人、盛り上がっていない女子生徒が窓際にいた。
さきほどからずっと窓の外ばかりを眺めている。
——アルテラか……
「ここでコウスケ君に、お友達チャンス! この問題は見ている君たち生徒のうちの誰かに答えてもらいます!」
おぉぉぉぉ!
スグルが何をいっても、常に驚きの声を上げる教室内のテンションはMAX!
「問題です! 騎士は大門と騎士の門の二つの門しかくぐることができません! では神民は小門をくぐることができるでしょうか!」
ハイ! ハイ ハイハイハイ!
会場内のいたるところで自分を当てろと言わんばかりに手が上がっていた。
ざわつく会場。
笑い声と興奮に包まれていた。
「それでは、アルテラ! この問題の答えは!」
と、スグルが言った瞬間、教室は少しざわついた後、水を打ったかのように静まり返った。
シーン
先ほどの興奮がまるで嘘のように誰もしゃべらない。
そして、だれもうつむきアルテアの方へ振り向こうとしなかった。
「おい! アルテラ! 聞こえているか? 答えは?」
なにも返事をしないアルテラにスグルは再度問いかけた。
アルテラは仕方なしに椅子を引き立ち上がる。
「できません。神民がくぐることができるのは大門、騎士の門、中門の三つのみです。小門をくぐることができるのは一般国民以下の身分に限られています」
すかさずスグルが!
「正解!」
だが、先ほどまで起きていたどよめきが起きない。
それどころか、だれも拍手すらもしないのだ。
まるで無視……いや、そんな生易しいものではなかった。
この感じ、まるでアルテラを異質なものとして嫌悪するかのようであった。
――いつもの事……
だが、アルテラは、そんな生徒たちの反応に気にすることもなく、また椅子に座り窓の外を眺めはじめた。
キン~コン~カン~コ~ン!
授業終了のチャイムが鳴った。
そう、今は授業中だったのだ……忘れてた……
ということで、スグル先生はクイズのしめに入った。
「おぉっと! ここで最終問題の鐘がなった! 最終問題はなんと1,000ポイント!」
その言葉にローバンが怒鳴り声を上げた。
「なんですか、その1,000ポイントってのは! 今までの私の回答は何だったんですか!」
まぁ、当然である。さすがに1,000ポイントはないわ~
「えっ、クイズ番組でよくあるじゃん! 一発逆転ってやつよ! 何なら、1万ポイントにしようか」
1,000ポイントだろうが、1万ポイントだろうが同じことである。
最後に答えた奴が勝ちなのだ。
だが、ココで文句を垂れても仕方がない。
というか、どうせ相手はコウスケなのである。
万に一つも自分が負ける要素はありはしない!
「もう、いいですよ……さっさと、終わらしましょう!」
苛立つローバンは、このくだらないゲームをさっさと終わらせようとしていた。
「さぁ最終問題です! 騎士がもつ神民枠の数はあらかじめ決められており、当然、その枠を使い切ってしまうと……」
ピンポーン
「いいんですか? パンツさん!」
って、すでにローバンかぶってないやん! いいのかwww
「いいんです! 答えは、騎士の門外のフィールドを維持することができなくなります!」
その刹那、大きく口を開けるスグル。
だが、声が出ない、出てこない!
焦れるローバンはスグルを睨む。
――さっさと正解と言って、終わりにしなさい!
しかし、スグルは、さらにそこから、まどろっこしく大きく息を吸い込んだ。
――だから! 正解でしょ! 正解っていいなさいよ!
すでに勝利を確信している様子のローバンはシルクハットを脱ごうとしていた。
だが、スグルはいやらしく微笑むと…………www




