099 戦闘
「シュウ君シュウ君、あれを見て~!」
「はいはい。」
「ほら、鳥さんだ、射る?」
「射らなくて良いです。」
「え~! 美味しいのに……」
「そんなことしてたら置いて行かれるでしょうが。」
「ぶぅ~!」
移動中のエレンさんのテンションはずっとこんな感じだ。
コレはコレで楽しいのだが、護衛としては良いのだろうか?
「!?」
突然エレンさんの雰囲気が変わった。何だ?
その後俺の気配察知にに反応が入る。5つか……多いな。
「何かこっちに来てない?」
「すご~い! 流石はシュウ君だね♪ 当たりだよ。多分だけどゴブリンかな。」
「そこまで分かるんですか。流石ですね。」
「とーぜん! でも、1匹だけホブゴブリンが混ざってるっぽいね。」
「ホブゴブリン?」
「ゴブリンの上位種よ。強さはゴブリンの3倍と考えてみたら間違いないわね。
っと、それより、アラン! ホブゴブリンとゴブリンの集団が来てるわよ~!」
「どっちだ?」
「進行方向の右斜め前!」
「数は?」
「多分ホブゴブリンが1で、ゴブリンが4かな。」
「ふむ……シュウ、レリウス、サム。戦ってみるか?」
「「やります!」」
俺が即座に返事をしなかったため、アランさんが声を掛けてきた。
「シュウはどうするんだ?」
「えっと、じゃあゴブリン4匹は俺がやります。レリウスとサムはホブゴブリンでどう?」
「頑張るよ。」
「おっしゃ~! 任せろ!」
「よし、じゃあそっちはシュウ達に任せた。エレン、周囲の索敵は引き続き頼んだ。」
「おっけ~!」
相談している内にゴブリン達は50m程の距離まで近づいていた。
「じゃあサクッとゴブリンを排除しちゃうね。」
俺は4つのアイスアローを起動すると、オート狙撃でアッサリと倒してしまった。
「シュウ君、すご~い!!」
「土魔法だけでなく氷魔法も使えたのか、しかも無詠唱……」
喜ぶエレンさんとは対称に、アランが何か頭痛がしているのか、頭を押さえていた。
「行くぜ!」
「うん!」
残りホブゴブリンが1匹だけになったので、レリウスとサムの戦闘が開始された。
サムの弓矢による先制攻撃!
ガッ!
ホブゴブリンは石オノを持って居て、石の部分を盾にすることで防がれてしまったが、一瞬行動が遅れたことでレリウスが安全に接敵することが出来た。
そしてそのまま攻撃を仕掛ける!
「ギャッ!」
見事ホブゴブリンの左腕を切り付けてダメージを与えることが出来た。切り傷は浅いが、これで両手での攻撃は出来なくなっただろう。
実際ホブゴブリンが右手だけで攻撃を仕掛けているが、レリウスはそれを余裕で盾で捌いていた。
「貰った!」
いつの間にか背後に移動していたサムが、心臓の当たりへ短剣の一撃を突き刺しているのが見えた。
そしてホブゴブリンは、そのまま息の根を止めたのだった。
「ほぉ。」
「やるじゃない!」
アランさんが感心する声を上げ、エレンさんは喜んでいる。
「「ありがとうございます。」」
褒められた2人は喜んでいた。俺が見た限りでも2人は十分戦えていたし、初めての敵だったにも係わらず圧勝だったと思う。
「ほら、討伐証明を取ってくると良い。後、ホブゴブリンは魔石を持っているぞ。」
「「はい!」」
2人は競うようにホブゴブリンへと向かって行った。
俺もゴブリンの耳を回収しに行きますかね。
その時、スススとエレンさんが近づいてくると、俺の耳側でこっそりと話しかけてきた。
「さっきのって、シュウ君1人でも余裕で倒せたんじゃない?」
「んーどうだろ? 2人が居たから戦えたんだよ思うよ?」
「そっか、そう言うことにしておいてあげるね。」
エレンさんのそんな台詞を余所に俺はゴブリンの耳を回収しに行くのだった。




