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096 護衛依頼


いよいよ今日は、護衛依頼で帝都へと出発する日だ!



「うおおぉぉぉ~~やったるで~~~~!!」


「シュウ兄、うるさい。」


「すいません。」



初めて他の街とかに行けると考えたらテンションが上がっちまったせいで、同室の孤児に怒られちまったぜ!


皮のリュックを背負い(荷物は重いのでアイテムボックスへと入れた)、いざ出発!

孤児院を出たところで、ミーナとレイラとカレンの3人が待っていた。



「「「シュウ君!」」」


「ミーナにレイラとカレンか。どうした?」


「どうしたって酷くない? 折角見送りしてあげようと思って待ってたのに。」


「あー、そりゃすまんな。ありがとな。」


「だからね。帝都のお土産を期待してるからね~♪」


「よろしく~♪」


「お土産って言ったって、俺はお土産を買うお金なんぞ持ってないんだけど?」


「「頑張って!」」


「わ、私は見送りに来ただけだから……本当だよ?」



レイラだけええ子や! よし、レイラだけは何とかお土産を用意して上げるとしよう。



「お土産は期待すんな。行って来る。」


「「「行ってらっしゃ~い!」」」



何か朝から疲れた気がする……


冒険者ギルドに到着したのだが、俺以外は全員揃っていた。あれ? 俺、遅刻して無いよね?



「シュウ、遅い!」


「ごめん。もしかして遅刻した?」


「シュウ君。まだ余裕は有るから大丈夫だよ。」


「ほっ、良かった。」



そこにアランさんが近づいて来た。



「これで全員揃ったな。」


「「「はい。」」」


「これから長距離を移動することになるからな。体調が悪い奴はいるか? もし体調が悪いのならば今回は置いて行く。」


「「「大丈夫です。」」」


「よし、依頼人が来るまではゆっくりしていてくれ。」


「「「はい。」」」



少しして依頼人が来る時間になると、向こうから沢山荷物を積んだホロ馬車がやってきた。あれが依頼人の馬車だろうか。

その馬車は俺達の前まで来ると停止した。そして馬車から3人の男性が居りてきたのだが……あれは!?



「って何でくそ親父がここに居る! 普通こういう時って昨日知り合った商会の人が来るってのが定番だろうが!!」


「ほほぅ! これはこれは。どうやら俺の運も捨てたもんじゃないな。」



何と馬車から降りて来た人物が、例の悪徳露天商の親父だったのだ。



「シュウ! 依頼人だぞ! 口の利き方に気を付けろ!」


「!? くっ……申し訳有りません。」



アランさんの叱責の声が出た。確かにアランさんの言うとおりなので、俺は素直に謝った。

……ん? たしかこいつらって無理やり捕まえようとしたんだから、犯罪者? 未遂だから違う? この世界のルールが良く分らんから一応用心するだけにしておこう。



「構いませんよ。ただ、彼にはちょっと今回の依頼とは別にお仕事をお願いしたいと思っているのですが、宜しいでしょうか?」



うわっ、気持ち悪っ! あのくそ親父の言葉とは思えない気持ち悪さだ。絶対碌な話じゃないのは確かだ。アランさん断ってくれ~!!



「承知しました。出来る範囲のことならお手伝いさせるように申し付けましょう。

 ただし、今回の依頼とは別とのことなので、依頼料はシュウと相談して下さい。後は、依頼に支障が無い範囲でお願いします。」



俺の心からの願いはアランさんに届かず、アッサリと敗れるのだった。ガッテム!



「もちろんです。それに今回の依頼料も少し弾ませて頂きます。」


「それは有難いです。

 そう言うことだ。シュウ、失礼の無いようにな。」


「……はい。」



その後は、メンバーの自己紹介とルートの確認をして帝都に向けて出発することとなった。

馬車の左側にはアランさんが。そして右側にエレンさん。後ろにはレリウスとサムが配置された。

俺? 俺はくそ親父と一緒に馬車の中だよ。



「出発!」



アランさんの掛け声で馬車がゆっくりと動き出した。

馬車はサスペンションもダンバーも無いため、乗り心地は最悪だが仕方がない。

こうしれ俺の初護衛依頼は始まったのだった。


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― 新着の感想 ―
[一言] 馬車はサスペンションもダンバーも無いため、乗り心地は最悪だが仕方がない。こうしれ俺の初護衛依頼は始まったのだった。 攫おうとした人の依頼をそのまま受けるのが不思議なんですが、どうして辞退し…
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