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093 初級HPポーション


さて、準備が終わったので暇になってしまった。

時間的にもまだお昼前だし、どうしよう……


そーいや怪我することが無かったから気にしてなかったけど、万が一を考えるとポーション等は用意しておいた方が良いんじゃないのか?

とは言っても購入するお金が無いんだよなぁ……流石に何でもかんでもアランさんにお願いするのも悪い気がするし……


いっそのことアイテムボックスに有る毛皮とか角を売っぱらって買うのも有りかもしれない。

流石に命にかかわるものを購入するのには、孤児院でも文句は言わないだろう。

それならさっき購入したのも払えって? ごもっともです……



「と、とりあえず冒険者ギルドへ行ってみるとしますか。」



と言う訳で、再び冒険者ギルドへと戻って来た。



「確か販売カウンターってところで売ってくれるんだっけかな。」



当たりを見渡すと、丁度ポーションを購入している冒険者を見つけた。あそこだな。

カウンターの奥に販売している品物の張り紙がされていた。



「えっと、初級HPポーションで1本銅貨1枚と大鉄貨5枚か。これ1本でどのくらい回復するんだろう?」



あそこの棚に並べてあるのがポーションかな? どれどれ?


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【初級HPポーション】

HP回復薬草から抽出して作られる。HPを10回復する。

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う~んHPが10しか回復しないのか。銅貨1枚だし、こんなもんか?

中級だとどうだ?


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【中級HPポーション】

HP回復薬草から抽出して作られる。HPを50回復する。

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中級HPポーションって初級HPポーションの10倍もの値段がするのに、回復量が5倍って詐欺か!?

いや、5本分が1本分の量に減らせると考えれば有りなのかもしれない。ポーション1本のサイズが200mlの缶コーヒーサイズは有りそうだしな。

それに5本も初級HPポーションを一気に飲むのも辛そうだし、トイレも近くなりそうだ。


ちなみに上級はこんな感じだ。


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【上級HPポーション】

HP回復薬草から抽出して作られる。HPを250回復する。

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値段は中級HPポーションの10倍で効果は5倍だった。

それより気になるのはどのHPポーションの記載も、回復量以外全く同じだってことだ。

もしかして抽出方法によって効果が変わるのだろうか? ちょっとポーション作りに興味が出てきたぞ。

折角手持ちにHP回復薬草が有ることだし、物は試しで作ってみるのも良いかもしれない。


色々実験するならココだよな。と言う訳で孤児院の裏庭までやってきた。

とりあえず木のコップと、HP回復薬草を1本だけとりだして、錬金術による抽出を行ってみることにした。


水分の抽出行ってみると、みるみるHP回復草は萎れて行き、そしてコップに水分が少しだけ貯まった。

さっそく鑑定してみることにした。


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【水】

HP回復薬草から抽出した水。飲料可。

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「あるぇ~?」



予想とは違った結果が出てしまった。どうやらただの水が出来たみたいだ。

と言うことは薬効成分は一切抽出されていない!?

試しに残ったHP回復草を鑑定してみるとこんな感じだった。


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【HP回復薬草】

HP回復成分を持った草、水分が抜けてカラカラに乾燥している。

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本当に水分だけを抜いただけだったみたいだ。

ならHP回復成分だけを抽出すれば良いのだが、その成分がどんな物なのかがが分からない。

試しにHP回復成分って意識をしながら、もう1本抽出してみたのだが、出来たのはやっぱりただの水だった。



「う~ん……」



一生懸命考えて見ても、それに関する知識が全く無いため、サッパリ分からなかった。せめて作り方でも分かればなぁ……

まあいいや、駄目元でイザベルさんに聞きに行ってみよう。


再び冒険者ギルドへと戻ってきました。

今の時間はガラガラだったため、余裕でイザベルさんの所へ行くことが出来た。



「こんにちは。」


「あらシュウ君じゃない。何か忘れもの?」


「あ、いえ、実は相談が有って来ました。」


「相談? 何かな?」


「えっと、ポーションの作り方って教えて貰うことって出来ますか?」


「ポーションは、薬剤ギルドに加入してないと作れないのよ。

 それに何処かの薬剤師の弟子になって何年か修行しないとだめって話だから、簡単には作れないわね。」


「そうなんですね。残念です。」



そりゃ簡単には行かないよね。



「それにしても、突然ポーションが作りたいってどうしたのよ。」


「えっと、今度護衛依頼で帝都に行くじゃ無いですか。たまたまHP回復草を採取できたので、お金が無いから自分で作ってみようと思っただけです。」


「あら? シュウ君はそれなりに稼いでるよね? 武器防具を買ってるわけじゃ無さそうだし、無駄遣いしちゃったのかな?」


「稼いだお金は、全部孤児院に支払ってますので……」


「あっ、ごめんなさい!」


「いえ、大丈夫です。」


「でも、万が一ケガをした時のこととかを考えたら持って居た方が良いですよね?」


「そうね。それだけは間違い無いわね。何だったら私がお金を貸しましょうか?」


「あ、いえ、大丈夫です。パーティ資金が有るので、初級HPポーション1本分だけですが、一応買っておくことにします。」


「そっか。」


「相談に乗って貰ってありがとうございました。」


「暇だったから気にしないで。依頼頑張ってね。」


「はい。」



イザベルさんと別れた俺は、販売カウンターへと向かうことにした。

カウンターには年配の男性が居たので声を掛けてみることにした。



「あの、すいません。」


「はい、何でしょうか。」


「初級HPポーションを購入したいのですが。」


「何本でしょうか。」


「1本お願いします。」



男性は棚から初級HPポーションを取ってくると、カウンターへと置いた。



「1本なので、銅貨1本と大鉄貨5枚になります。」



俺はお金を取り出して、カウンターの上に置いた。



「はい、丁度頂きました。またのご利用をお待ちしております。」



初級HPポーションを受け取った俺は、その場を離れるのだった。



「これが初級HPポーションかぁ……」



色は薄い青色で、どう見ても美味しそうには見えなかった。試すわけにも行かないから飲まないけどね。

HP回復薬草が緑色なのに、この初級HPポーションが青色ってことは、何かを混ぜて化学反応をさせているのだろう。

単純に抽出から出来ると思った俺が間違いだったって訳だ。

とりあえず落としたりぶつけて割ってしまったら勿体ないので、さっさとアイテムボックスへと仕舞っておくのだった。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] しかし、孤児院も泊りがけで遠征の仕事をすると知っているのに、準備のためにと少しのお金も渡さないのは、おかしくない。
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