091 護衛依頼
とりあえず全員が落ち着いたところで、会話を続けることにした。
「アランさんは何か依頼を受けるんですか?」
「ん? あぁ、実は帝都にちょっと用事が有ってな。どうせなら行くついでに護衛依頼でも受けようかと思っていたんだ。」
「そうだったんですね。護衛依頼ってよく受けるんですか?」
「そうだなぁ……時間は取られるし、疲れるからとは言え、金回りだけは良いからな。たまに受けるくらいだな。」
「なるほど。」
そーいや冒険者ギルドで会わなくなる期間が有ったが、多分、その時に護衛依頼を受けていたんだろう。
「あ。あの! アランさん!」
「何だ?」
「僕達も一緒に護衛依頼を受けさせて貰うことって出来ますか?」
突然レリウスがそんなことを言ってきた。
「可能かどうかで言えば可能だ。だが俺はお前たちを良く知らない。だからそれを受けることは出来無い。」
「そうですか……」
レリウスがガックリと落ち込んだが、こればっかりは仕方が無いと思うぞ?
「アラン~、シュウ君のパーティなら大丈夫じゃないの?」
そこにエレンさんからの助け舟が出てきた。
「それはそうだが、シュウはまだ参加出来無いだろ?」
「そうなの?」
「そりゃ、孤児院が長期間の外出を許可出さないだろ。」
「アランが孤児院に言ったとしても?」
「あの孤児院長が許可するとは思わないが……まぁ、言うだけならかまわんぞ。」
「それって、許可が下りれば、一緒に依頼を受けても良いってことだよね?(にっこり)」
「うっ……」
「だってさ、良かったね~」
「「やった!」」
それを聞いてレリウスとサムが大喜びをしたけど、孤児院長の許可が貰えたらの話だぞ? 大丈夫か?
「じゃあ、孤児院長の許可を貰いに出発~♪」
と言う訳で、急遽孤児院に許可を貰いに行くことが決定したのだった。
・・・・
「……と言う訳で、シュウは帝都へ連れて行きたいんだが、構わないか?」
「許可しましょう。」
「頼んだ俺が言うのもアレだが、本当に良いのか? シュウはまだ6歳なんだぞ?」
「私は、あの子が十分にやって行けると信じています。それにお肉……コホン。多少常識外れなところもありますが、きっと大丈夫でしょう。」
「何か不穏なセリフが聞えてきて不安なんだが、本当に大丈夫なんだろうな?」
「はい。問題有りません。」
「……なら良い。じゃましたな。」
「いえ、久々にアランの顔を見ることが出来て良かったです。だから、たまにはこうして顔を見せに帰ってらっしゃいね。」
「……考えとく。」
ガチャ! ……パタン。
アランが孤児院長の部屋から出てきた。
「アラン、どうだった?」
「あっさりと許可が下りた。」
「そう、良かったじゃない。」
「そうだな。まぁ、シュウの剣の腕は俺も認めているし、魔法も使えるから問題無いとは思うがな。」
「うんうん♪」
「とまぁ、孤児院長の許可は貰えたんだが、シュウ、お前はどうしたい?」
俺がチラリとレリウスを見ると、期待を込めた目でこっちを見ていた。仕方ないな。
「うん。そう言うことなら参加させてもらうよ。」
「そうか。宜しく頼む。」
「「やったあぁぁ~~!!」」
こうして俺は、帝都へ行くための依頼を受けることが決まったのだった。
・・・・
「次の方どうぞ……って、エレンじゃない。どうしたの?」
「シュウ君と一緒に、この帝都行の護衛依頼を受けたいんだけど、手続きしてくれる?」
エレンさんが依頼票をヒラヒラをさせながら、イザベルさんと会話している。
「エレン、あんたねぇ~、シュウ君はまだ6歳でしょ? 何考えてんのよ!」
「だってシュウ君が帝都に行きたいって言うんだもん。孤児院長の許可も取ってるし、良いでしょ~!」
いや、言ってませんよ? 言ったのはレリウスだ。
「まぁ、冒険者ギルドの規則上では問題無いけど……本当に手続きするの?」
イザベルさんがこっちを見て聞いて来た。
「あ、えっと、はい。」
「ふぅ~……分かったわ。なら全員分のギルドカードを出してちょうだい。」
全員がギルドカードを出すと、機械に通して処理をしてくれた。
「はい。手続きしたわよ。この依頼は明後日の朝7時に冒険者ギルド前に集合だから遅刻しないで来てね。
依頼内容は馬車の護衛で、食事は向こうが用意してくれることになっているけど、何かしら非常食は用意しておいた方が良いわね。
何か質問は有るかしら?」
とりあえず護衛に関する知識が全く無いので、聞いてみることにした。
「護衛依頼を受けるにあたって、必要な物を教えてください。」
「そうねぇ、道中に出て来る魔物や盗賊と戦闘になる可能性が有るから、武器は必要ね。移動中の水分補給のための水袋とかも重要よ。
後は野営の時の防寒着か毛布、ロープや鍋、コップ等も有ると便利ね。薪はその辺で拾えるだろうから、後は火おこし道具かな。
さっきも言ったけど、万が一のことを考えて、多少の非常食は持って行った方が良いわね。」
「食事って出るんですよね? だったら非常食は要らないんじゃ?」
「例えばだけど、何かトラブル等の理由で他の人とはぐれちゃったとしたら、食事はどうするの?」
「あっ、なるほどね。」
「まぁ、持てる量にも限度が有るから、その辺は経験が必要になるかな。詳しくはアランにでも聞いてね。」
「わかりました。」
「じゃあ、初めての依頼だけど、頑張ってね!
アラン、エレン、シュウ君を頼むわよ! 後はレリウス君とサム君も年上なんだからシッカリね。」
「お、おう。」
「は~い!」
「「「はい!」」」
こうして無事依頼の手続きが完了したのだった。




