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090 聖女誕生


次の日になり、冒険者ギルドへ向かうと、何やらザワついていた。

冒険者達の会話に耳を傾けてみると『聖女』が誕生したとかどうかの声が聞えて来た。



「聖女? まさか!?」



俺はふと聖女と言うと、一人だけ思い当たる人物が浮かんだ。

そんなにポンポンと聖女が生まれるとは思わないので、可能性としては十分に高いだろう。



「やぁ、シュウ君。」


「よぉ。」


「あ、おはよう。」



そんなことを考えていたらレリウスとサムがやってきた。

そしてサムが鼻息荒くして話しかけてきた。



「シュウ! 聞いたか?」


「何をだ?」


「この国に聖女が現れたんだってさ!」


「へー」


「聖女って言うくらいなんだし、きっとすげー美人なんだぜ? 是非ともお近づきになりたいもんだぜ!」


「ほー」


「……まぁ、シュウはお子様だからな。興味無いのは仕方ねーか。」


「・・・・」



(ピー)が立たないからムラムラするような感情は無いが、興味は有るぞ? 精神年齢はそれなりだろうからな。元がいくつかは知らんがな。



「それで、聖女の名前とかって分かってるの?」


「さあな。」


「さあって……」


「シュウ君。聖女が誕生したって噂だけで名前までは発表されてないみたいなんだよ。」


「そうなんだ。」



なら、まだ聖女がアンナだと決まった訳じゃないってことだな。



「近々、帝都でお披露目とかでもやるのかもしれないね。」


「ふ~ん。」


「くぅ~! 見に行きてーなぁー!」


「そうだね。僕も興味あるから行ってみたいな。」


「帝都かぁ……」



興味が無かったから除外していたが、Eランクから護衛の依頼が有ったな。

とは言ってもEランクだと隣町程度の護衛しか無かったけどな。Dランクからなら帝都とかも有ったハズ。

まぁ、どちらにしても俺は孤児院から離れられないだろうから問題外だけどな。



「シュウ君、だ~れだ?」


「うわっ!」



突然後ろから抱き着かれて目隠しをされてしまった。これってもしかして……



「エレンさん。」


「あははっ、バレちゃった?」


「バレちゃったも何も、俺にこういったことするのって、エレンさんだけですよ。それに声でバレバレでしょうが。」


「ふ~ん。そっかそっかぁ~」



何だか知らんがエレンさんは嬉しそうだ。



「良いかげんにしろ! シュウが困ってるだろうが!」


「あいたっ!」



そこにアランさんがやってきて、エレンさんにデコピンをした。

とは言っても軽くだからそんなに痛く無いだろうけどね。相変わらず仲が良さそうだ。



「アランさん!」


「シュウ。元気してたか? ってこの前会ったばかりか。」


「そうですね。」


「ところで、そちらの2人ってシュウのパーティメンバーか?」


「あ、そうだ! 紹介しますね。

 こちらが今俺とパーティを組んでる、レリウスとサムです。」



俺がアランさんとエレンさんに紹介しようと2の方を向くと、2人はガチガチに緊張していた。

特にサムが酷くて、直室姿勢のまま顔が真っ赤になっており、エレンさんをチラチラと見ていた。そーいや、サムはエレンさんの大ファンだったな。



「サム?」


「お、お、お、お、俺、俺、俺、サ、サムと良いまふ!」



あ、噛んだ。



「ぼ、僕はレリウスと言います。アランさんを尊敬してます!」


「サムとレリウスだな。俺はまぁ、すでに知ってるみたいだが、アランだ。宜しくな。」


「私はエレンよ、よろしくね~」


「「は、はい!」」



とりあえず挨拶を済ませることが出来たな。

サムはそのまま昇天してしまうんじゃないかと言う顔をしていたが、大丈夫だろうか……



「シュウ達は、今から依頼か?」


「あ、いえ。依頼はまだ決めて無いです。ただ、新しく誕生した聖女について話してたんですよ。」


「聖女か。」



アランさんが何か考える様な仕草をしていた。



「アランさん?」


「ん? どうした?」


「何か考え事をしていたので気になっただけです。」


「いや、大したことじゃないんだ。聖女はエレンとは正反対なのだろうと思ってただけで……」


「ア~ラ~ン~? それってどういった意味なのかなぁ~?」


「痛い! 脇腹をつねるな!」


「私がガサツで女の子らしくないって言いたいのかな? かな?」


「そんなこと言って……痛い! それはマジ洒落にならんぞ! シュウ! エレンを止めてくれ!」



エレンさんが短剣を抜いてツンツンとアランに当てていた。



「エレンさん! アランさんは美人で可愛くて、身近に感じて心が落ち着くエレンさんだからこそ良かったと言っていただけで、もしエレンさんが聖女だったら会えなくなるのが寂しいって言ったんですよ!」


「いや、そこまでは言って……」


「そうなのね! アランったらぁ~」



バンバンバン!



「くっ……」



短剣で突っついていたところを思いっきり引っぱたいていた。アレは痛そうだ。

何はともあれこれで仲直りできたかな?



「ん?」



ふと、ずっと静かだったレリウスとサムのことを見ると、2人は唖然とした顔をしてアランとエレンの様子を見ていた。



「もしも~し?」


「ん? あ、ああ。僕、2人がこんな感じだったって知らなかったからビックリしたよ。」



そうなのか? 俺の前だといつもこんな感じだったぞ?



「す、すげー! すげーぜ! アランの旦那は!!

 決めた。俺、アランの旦那みたいになって、エレンさんみたいな彼女を作るんだ!!」


「あーうん。頑張ってね。」



まぁ、夢を見るのだけは自由だよね。

実際、アランさんと同じになったからと言って、彼女が出来るかどうかは分からないけどな。


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