085 サムの願いは
依頼の処理をしてもらうために、受付カウンターへと向かうことにした。
それなりに人が居たため、時間が掛かったが、ようやく俺達の番になった。
「次の方どうぞ。」
「ゴミ拾い依頼の処理を頼む。」
「畏まりました。それでは各々の用紙と、冒険者ならギルドカードもお願いします。」
俺達は用紙とギルドカードを一緒にして渡した。
受付嬢がカードを機械に入れて処理をしてくれた。
「それではレリウス様は、銅貨1枚、大鉄貨7枚、鉄貨2になります。
サム様は、銅貨1枚、大鉄貨3枚、鉄貨8枚になります。
シュウ様は、銅貨2枚、大鉄貨8枚、鉄貨3枚になります。お受け取り下さい。」
「何か思ったより安いんだな。」
「シュウ君。これはお金のためでは無く、街のためにやる依頼なんだから贅沢は言っては駄目だよ。」
「あ、うん。」
レリウスに諭されてしまった。でも、こう言った考えができるってのは流石だな。
俺達はお金とギルドカードを受け取った。
「本日は冒険者ギルドのご利用ありがとうございました。私、イリーナが対応させて頂きました。
またのご利用をお待ちしております。」
用事が済んだので受付カウンターを後にした。
「・・・・」
そのまま冒険者ギルドを後にしたのだが、何だかサムの様子がおかしい。
「どうしたんだ? いつもと違って大人しいのって気持ちが悪いぞ。」
「気持ち悪いって言うな! その……えっとだな……くそっ!」
「シュウ君。サムはお願いを気にしてるんだよ。」
「お願い? あぁ! そう言えばそんな約束してたっけ。」
「忘れてくれてたら良かったのに……ボソッ。」
「言ってくれたから思い出したんだけどな。」
「くっ!」
お願いか……今のところ特に思い付かないな。
「は、早く言えよ!」
「ん~、とりあえず貸しってことで良い? 今思付かないし。」
「無いなら、無しでいいじゃん!」
「サム、君から言い出したことなんだから守らないと駄目だよ?」
「くっ! わーったよ! 貸しでいいよ!」
「ちなみに、サムが勝負に勝ってたら何をお願いするつもりだったんだ?」
「………だ。」
「えっ? 何?」
「………だよ。」
「ごめん、聞こえなかった。」
「だから、女の子を紹介してもらうつもりだったんだよ!!」
「あーうん。頑張れ?」
「何で疑問形なんだよ!」
「まぁまぁ。シュウ君も悪気が有った訳じゃ無いだろうしね。」
「ちっ!」
こうして突発的に行われた勝負だったが、見事俺の勝利で終わったのだった。
そして孤児院へと戻ってきて言われた一言。
「シュウ兄ー お肉は?」
「あっ……」




