084 勝負の行方は
冒険者ギルドへ到着すると、ゴミ受付窓口が有ったのでそちらへ持って行く。
何人か並んでいたので俺も列に並ぶことにした。
待つこと少しして俺の番になった。
「それでは此処にゴミを置いて下さい。」
ギルド員の人が指をさした方には、何やら量りみたいな台が有ったので、そこに乗せてみた。
すると、何やら計測を行ったみたいで、終わると紙が出てきた。
「こちらを受付カウンターに持って行くと報酬が出ます。お疲れ様でした。」
「ありがとうございます。」
俺は髪を受け取るとその場を後にした。
書かれている紙を見て見ると、そこにはこう記載されていた。
『重量:27.6キロ
容量:10』
確か重さと量で金額が変わるんだったな。ふと思ったんだけど、石とか入れたら重量が稼げたのでは無かろうか?
そんなよこしまなことを考えていたら、大きな声が聞えて来た。
「貴方、石が入ってるじゃない! 駄目ですよ!!
規則違反なのでこの依頼は無効とさせて頂きます。」
「す、すいませんでした!」
あ、ズルして石を入れたらバレるのね。やらなくて良かった……
そして列に並んでいた何人かがそそくさと列から出て行ったのが見えた。どうやら石を入れていたな……
さて、終わったのは良いが、まだお昼を少し過ぎた時間だ。レリウスとサムが戻って来るにはまだ時間が掛かりそうだ。
俺はズルと言うか、卑怯な相手から奪ったからあっという間に終わったからな。
「……もう一度受けるか。」
暇つぶしがてらもう一度、ゴミ拾い依頼を受けてみることにした。
登録の際、ギルドカードを機械に通すと、ランプが光った。
「貴方、1度この依頼を受けてますよね?」
「あ、はい。」
「駄目ですよ、この依頼は1度しか受けられないんですから。ほら、ここにも書いてるでしょ?」
ギルド員がポスターを指差すと、確かに書いて有った。
「すいません。よく読んでなかったです。」
「何度も受けられるようにすると、依頼達成回数を稼ぐためにゴミを1つ拾って提出するって冒険者が出てくるのよ。」
「あーなるほど。」
「だからこの依頼は1回だけなの。分かった?」
「はい。あ、ゴミを拾うだけなら大丈夫ですか?」
「そっちなら問題無いわよ。頑張ってね。」
ギルド員は袋を渡すとそう言ってくれた。
「はい。」
俺は袋を受け取ると、元気よく返事をするのだった。
さて、頑張ってゴミを集めますかね。
・・・・
そろそろ夕刻なので戻ることにした。
流石にあの後は襲われることが無かったのは残念である。
しかも、ゴミも拾われた後だったので、今回の袋の中身は1割5分ほどしか集まらなかった。
冒険者ギルドへと戻ってくると、レリウスとサムが待ち構えていた。
「シュウ君。お疲れ様。」
「きゃはははっ! 何だよそれ!」
サムは俺の袋を見て大笑いしている。
「むっ! そういうサムはどうなんだよ!」
「俺か? 俺はこれだ!」
サムがそう言うと紙を見せてきた。
『重量:19.7キロ
容量:7』
結構頑張って集めたみたいだ。
「僕はこれだよ。」
レリウスも紙を見せてくれた。
『重量:21.5キロ
容量:8』
「おー、さすがレリウス。」
「ま、まぁね。」
俺が褒めるとレリウスは頭に手を当てて照れていた。
「じゃあ、俺もゴミを置いてくるね。」
「いってらっしゃい。」
「まぁ、結果は見えてるけどな。」
俺は再びゴミを計測してもらった。その結果はこんな感じだった。
『重量:4.2キロ
容量:1』
こんなもんか。
「シュウ、どんな感じだ?」
そこにサムがニヤニヤとやってきて、俺の持っていた紙を奪い取った。
「ぷっ! 4.2キロだって! あははははっ!」
「サム、笑うなんて失礼だよ。
シュウ君、ごめんね。」
「いえ、大丈夫です。 その紙は2回目ですから。」
「はっ?」
俺がそう言うと、サムの笑いが止まった。
「に、2回目……だ…と…!?」
「ほら、これが1回目の分。」
俺は最初に量った紙をサムに渡した。
「な、何だと!?」
「どれどれ? へぇ~さすがはシュウ君だね。
2つ合わせると……25.7キロかな?
と言うことは、サム。君が最下位だね。」
レリウスはニコニコしながらサムに死刑判決を言い渡したのだった。
「嘘だあああぁぁぁ~~~~~!!」
ざまぁ!




