082 打ち上げ
「終わったぁ~!!」
「「「「「お疲れ~!!」」」」」
日が暮れる時間になり、ようやく完売することができた。
誰だよ、こんなに沢山の肉をもって来たヤツは! ……俺でした(汗)
「ねーねー、売り上げってどのくらいになったの?」
ミーナが目を輝かせて聞いて来た。
「ちょっと待ってな。ひ~ふのみ~……」
ジョンが売り上げを数えている内に、後片付けをすることにした。
片付けると言えば、昼間のオッサンはどうなったんだ?
道の端に捨てておいたオッサンを確認すると、そこには何も無かった。
どうやら気が付いた後に逃げたのかもしれない。まぁ、居なくなったのなら余計な対応をしなくて済むし、まあ良いか。
「すげー銅貨750枚だってよ!!」
「俺達お金持ちじゃね!?」
「馬鹿、これは孤児院のお金だろ?」
「あ、そっか。」
かなり稼げたみたいで孤児達が大騒ぎしていた。
日本円にすると75万円くらいか、確かに1日でその金額を稼いだとすると大騒ぎしてもおかしくないな。
「じゃあ、俺はこれを孤児院長へ渡してくるわ。」
「なら俺も付いて行くよ。ジョン1人でその金を持つのも不安だろ?」
「そうだな、頼む。」
「えっと、シュウ! 後片付け頼んでも良いか?」
「あ、うん。了解!」
ロイにそう言われた俺は孤児達をまとめて後片付けをするのだった。
・・・・
その夜、食堂に驚きの光景が広がっていた。
「うおおぉぉぉ~~すげぇ~!!」
「何これ!」
「ねーねーシスター! これ食べても良いの?」
何とテーブルの上には1人1個のフルーツが乗ったパンケーキが置いてあったのだった。孤児院で初めて見たよ。
もちろん収穫祭のためか、夕食もいつもより肉多めの豪華な食事だった。
「はいはい、注目~!」
シスターがパンパンと手を叩いて注目を集めると、話し始めた。
「今日はみなさんが頑張ってくれたご褒美と言うことで、孤児院長がデザートを用意してくれました。」
「「「「「おー!!」」」」」
「夕食を食べ終えたら食べても良いですよ。それでは食事前のお祈りをしましょう。」
「「「「「天にまします我らの神よ、今日の糧を我らに与えて頂き感謝します!」」」」」
お祈りを済ますと、孤児達は争うように夕食を頂くのだった。
俺ももちろん美味しく頂いたのは言うまでも無かった。贅沢を言えば生クリームが有ったらもっと良かったのだが、贅沢は言うまい。
ただ、一つだけ不満を言うならば、何で孤児院長の皿にはパンケーキが3枚重ねで乗っていたのかと言うことだけだ。
ちなみにシスター達は2枚だ。俺? 俺は他の孤児達と同じで1枚だったよ? ちくせう……
食事の後は、孤児達による歌やダンスのお披露目だ。
とは言ってもみんな好き勝手に騒いでるだけなんだけどね。
そして最後の締めとして、ミーナ達3人が出てきた。
レイラは俺があげたハーモニカを、そしてミーナがギター? いやウクレレか? そんな感じの楽器を持っていた。カレンは手ぶらだった。
カレンを中心に左側にレイラ、右側にミーナの配置になると、演奏が始まった。
最初はミーナのウクレレもどきから静かなメロディーが流れ始め、それに合わせてレイラのハーモニカが続く。そしてカレンが歌い出した。
「この広い世界に~ 生きる私達の~ 思いを乗せて~」
スゲー! カレンの歌って初めて聞いたけど、透き通る声で引き込まれるな。
レイラのハーモニカが上手なのは知っていたが、ミーナのウクレレもどきも上手すぎて驚きだ。
そしてこの3人が合わさることでの相乗効果か、俺はあまりの凄さに鳥肌が立ったのだった。
曲は静かに流れ、誰もが皆聴き入っていた。そして演奏が終わった。
パチパチパチパチパチパチ!!
全員からの拍手喝采が起こった。もちろん俺も夢中になって手を叩いたのは言うまでも無かった。
ミーナ達もやり切ったって顔をしていて嬉しそうだった。
こうして収穫祭は終わったのだった。




