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080 収穫祭


今日は収穫祭なのだが、朝っぱらから孤児たちが集められ、孤児院長から何やらお知らせが有るみたいだ。



「皆さん。今年の収穫祭ですが、急遽、私達孤児院でも屋台を出すことになりました。

 申し訳有りませんが、皆さんもお手伝いをお願いしますね。」


「「「「「「えぇ~~~!!」」」」」」


「その代わり、今日の夜に頑張ってお手伝いしてくれた子達には、全員お菓子をプレゼントしたいと思います。」


「「「「「「やったああぁぁ~~~!!」」」」」」



その言葉に孤児達は大喜びだ。もちろん俺もだ。



「孤児院長~、何のお店をやるんですかぁ~?」


「串肉屋です。」


「お肉~?」


「えぇ、今回食べきれないほどのお肉が手に入りまして、腐らせるならばと売ることに決まりました。」



孤児院長は、そう言うとこっちをジロリと見た。

えっ? 俺が悪いの? 孤児院長のお願いをキチンと聞いただけなのに、何で!?



「ジョンとロイは肉を焼く担当を、ミーナとレイラとカレンは商品の受け渡しと会計を、ロイとマイクとシュウは呼び込みをお願いします。」


「「「「「「はい!」」」」」」



俺より下の子達は流石に危ないのでお手伝いは無しだ。



「じゃあ、今日は宜しくお願いしますね。」



こうして俺達の収穫祭による出店が行われることになったのだった。

出店は孤児院の前でやるみたいで、すでに屋台が出来ていた。

どうやらシスター達が肉の処理をした後に、一晩で屋台作りをやってくれたみたいだ。

どうりでシスター達が朝の挨拶に顔を出さなかった理由が分かった。おそらく裏で疲れ切って眠っていたのだろう。

あ、だから俺達が屋台をやることになった訳か。納得だ。


串焼き肉は2種類売り出すらしく、それはもちろんビックボアとウルフだ。

ビックボアが1本銅貨1枚で、ウルフが大鉄貨3枚だ。

まずはどう言った物を売るのかを知るために、味見を兼ねて練習で焼いてみることになった。


ジュウ~~~~~!



「なぁ、これどのくらい焼けば良いんだ?」


「さあな。それを確認するために焼いているんだろ?」


「そりゃそうか。」



ジョンとロイがそんなことを話しながら焼いていた。



「こんなもんか?」



とりあえず焼けたみたいだ。まずはウルフ肉を人数分に切り分けて食べてみることにした。

パクリ……う~ん。微妙? 少し生焼け? ぐにゅぐにゅする。



「もう少し焼いてみるか。」



もう1本取り出して焼き直しだ。さきほどより時間を掛けて焼きあがったそれは中々良い感じだ。

再び人数分に切り分けて頂くことにした。

パクリ……うん、良い感じだ。中までしっかり火が通っていて旨い! 個人的にはもう少し焼いても良いが、これは好みの問題だろう。



「良い感じだ。みんなはどうだ?」


「「「「「「問題な~し!」」」」」」


「よし、じゃあ次はビックボアの肉だ。今度はロイがやってくれ。」


「俺? よし、分かった。」



どうやらウルフ肉はジョンが担当し、ビックボアはロイが担当するみたいだ。


ジュウ~~~~~!


先ほどのウルフ肉を焼いた時と同じくらいの感じで焼いてみるみたいだ。



「どうだ?」



切り分けた時に、ほんのりピンク色の肉が見えた。

そう言えば、豚肉とかって寄生虫の問題で、しっかり火を通さないと駄目なんだっけ。

ビックボアがそれと同じかは知らんが、用心に越したことはないだろう。



「ロイ兄ちゃん。もう少し焼いた方が良いんじゃないかな?」


「そうか?」


「うん。多分今くらいだとお腹壊すかもしれない。」


「分かった。」



ロイはそう言うと再び串に肉を刺して火にかけた。

十分に火が通ったところで、味見をしてみることにした。



「「「「「「美味しい!」」」」」」



十分に火が通たビックボアのお肉は素晴らしく美味しかった。

流石ランクが高く無いと狩れないだけは有るな。納得した。



「良い感じだな。」


「ああ。」



こうして屋台の準備は着々と進むのだった。


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