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079 いやがらせ?


受付カウンターで待つこと少々、俺達の番となった。今回はイザベルさんのところだ。



「次の方どうぞ。」


「イザベルさん、こんにちは。」


「あらシュウ君。それにレリウス君にサム君でしたね。今日はどうしましたか?」


「こちらをお願いします。」



レリウスが納品のメモと一緒に俺達のギルドカードを手渡した。



「えっと、ビックボア!? えっ? これシュウ君達が狩ったの!?」


「「「はい。」」」


「凄いわね。アランとエレンだってCランクになってようやく狩ったって聞いてたのにね。

 えっと、ビックボアの毛皮と、牙、魔石ね。後はゴブリンの耳が24個と。」



俺達のギルドカードを機械に通して処理をしていく。



「まずはレリウス君とサム君の分ね。ゴブリンが以前倒した分を加算すると2回分の依頼完了となります。

 ウルフが3匹なので6回分。ビックボアはCランク依頼なので8回分とさせて頂きます。」


「おぉ! やったぜ!」


「次はシュウ君の分ね。シュウ君がEランクだから、ゴブリンの納品が20個を超えたので1回分の依頼とさせて頂きます。

 ウルフが3回分で、ビックボアが4回分になります。」


「はい。」


「今回は、ゴブリン討伐の依頼5件分が追加さるので、大銅貨8枚、銅貨5枚、大鉄貨5枚となります。お受け取り下さい。」


「マジか!?」



サムが大喜びをしていた。今回は2人で分けるって約束だから、単純計算でも1人大銅貨4枚以上の稼ぎだ。喜ばない訳が無い。

俺達はギルドカードとお金を受け取った。



「本日は冒険者ギルドのご利用ありがとうございました。私、イザベルが対応させて頂きました。

 またのご利用をお待ちしております。」



受付カウンターを離れると同時に、サムがレリウスへと突っかかった。



「俺の分を早く寄越せ!」


「待って! 取らないから!」


「うわぁ……」



俺は、サムのあまりの勢いにドン引きだ。



「えっと、大銅貨が8枚で、銅貨が5枚、大鉄貨が5枚だから……」



レリウスが指折り数えているが、ふと何かを思いついたみたいだ。



「ねぇ、今回はパーティ資金も無しってことにしていたけど、銅貨1枚と大鉄貨1枚を入れても良いかな?」


「あぁ!? ふざけんな! 俺の金だぞ!」


「まぁまぁ、何でこう言ったかと言うと、簡単に半分に分けられるからだったんだよ。

 それに、パーティ資金は将来の俺達のための資金でも有るだろ?」


「うっ……そうだけどさ。

 わ~ったよ、それで良いぜ!」


「うん。じゃあシュウ君、これを預かっておいてくれ。」


「あ、うん。」



俺は銅貨1枚と大鉄貨1枚を受け取った。



「じゃあ、これはサムの分ね。」


「おっしゃ~!! レリウス、飲みに行くぞ!」


「あれ? サム。弓はどうするの?」


「だ、大丈夫だ。も、問題無い。」



いや、そのセリフは駄目だろう。



「前回稼いだのはどうしたんだっけ?」


「うっ……飲み代に消えました。」


「だよね~」



有無を言わさぬレリウスの笑顔、ちょっと怖いんだけど。



「僕は武器屋に行こうと思うんだけど、もちろんサムも来るよね?」


「イカセテイタダキマス……」


「と言う訳で、僕達は武器屋に行って来るよ。シュウ君はどうする?」


「俺が武器屋に行くと追い出されるし、このまま帰るよ。」


「あ、そうだったね。それじゃまた明日かな?」


「いえ、明日は収穫祭って言ってたし、休みたいかな。」


「そうだね。じゃあ明日……いや、収穫祭は3日続くし、どうせなら3日間休みにしようか。」


「わかりました。じゃあ俺はそろそろ行きます。

 レリウスもサムも、祭り楽しんで。」


「うん。そうするよ。」


「けっ、せいぜいシュウも楽しむんだな。」


「はいはい。じゃあまたな。」



俺はレリウス達と別れて、冒険者ギルドを後にした。



「さてこれからどうしようかな。」



とりあえず肉の納品はした。思わず大物を納品出来たのは幸いだったが、孤児院長は可能な限りって言ってたからな。まだまだ足りないかもしれない。

アイテムボックスには解体済みのホーンラビットやウルフの肉がそこそこ残っているし、放出しても良いかもしれない。

とりあえず要らないって言われるまでは持って行ってみることにしよう。

まずは2匹分のウルフの肉を持って孤児院へ帰ることにした。



「さっき持って行った台所に行けば良いかな?」



俺はそのまま台所まで向かうと、そこではシスター達がお肉の切り分けを行っていた。



「そっちのお肉はシチューにするからブロック状に切って! そっちはステーキね。」


「あ、あの~」


「シュウ君? 今忙しいから後にしてくれる?」


「いや、お肉追加で持って来たんだけど……」


「えっ!? あ、えっと、じゃあ、そこに置いといてくれる?」


「あ、はい。」



俺は2匹分のウルフ肉をテーブルの上にある板に乗せた。

シスターは忙しくてこちらの相手をしている余裕は無さそうだ。とりあえず此処を離れよう。



・・・・



小1時間ほど時間を潰して食堂へ来てみると、相変わらずシスターは忙しそうだ。

ただ、さっき肉を置いた場所には何も無かったので、ここにおいておけば対応してくれるのだろう。

俺は新たに2匹分のウルフ肉を此処に置いておくことにした。



・・・・



さらに小1時間ほど時間を潰して食堂へ来てみると、相変わらずシスターは忙しそうだ。

ただ、さっき追加で肉を置いた場所には何も無かったので、新たに2匹分のウルフ肉を此処に置いておくことにした。



・・・・



さらに小1時間ほど時間を潰して食堂へ来てみると、相変わらずシスターは忙しそうだ。

ただ、さっき追加で肉を置いた場所には何も無かったので、新たに2匹分のウルフ肉を此処に置いておくことにした。



・・・・



さらに小1時間ほど時間を潰して食堂へ来てみると、シスター達が死んでいた。いや、疲れてぐったりしていた。



「シスターどうしたの?」


「しゅ、シュウ君……そ、それ、手に持っている物は何かな?」


「これ? 追加のお肉だけど?」


「もしかして、さっきから追加されていたお肉って……」


「孤児院長にも出来るだけ多くって言われてたし、終わりって言われなかったから追加しておいたんだ。偉いでしょ!」


「「「お願いします! もう持ってこないで下さい!!」」」



シスター達に涙を流されながら懇願されてしまった。あれ?

そして一番の年長のシスターが怖い顔をしながらこちらへとやってきた。



「もう無いですよね?」


「えっと……」



アイテムボックス内にはまだ残っている。



「無・い・で・す・よ・ね!」


「はい……」


「皆さん、あと少しの辛抱です。頑張りましょう!」


「は~い……」



シスター達はゾンビの様に動き出したのだった。すまぬ……


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