075 雑談
依頼が終わった俺は、冒険者ギルドへと戻って来た。
冒険者ギルドの中に入ると、冒険や依頼が終わった冒険者達でにぎわっていた。
「かぁ~! やっぱり汗をかいた後のエールは最高だよな!」
「アラン、その言い方。何かおじさんみたいよ?」
「うっ……」
アランさんとエレンさんが一緒にお酒を飲んでいるのが見えた。
丁度飲み始めたところみたいだから、もしかして今まで特訓していたのだろうか?
折角なので声を掛けて行くことにした。
「アランさん、エレンさん。」
「おぅ、シュウか。」
「シュウ君だぁ~♪」
「もしかして今まで修練ですか?」
「ま、まぁな。」
「やっぱりそこまでしないと強くなれないんですね!」
「お、おう。もちろんそうだぞ!」
「ぷぷっ。」
「エレン!」
「はいはい。」
そうだよな。そんなに簡単には強くなれないよな。
俺もアランさんをお手本にしてもっと頑張らないとな!
「シュウ君は、依頼の報告?」
「あ、はい。そうです。」
俺は4枚の依頼票をエレンさんへと見せた。
「さすがはシュウ君だね~ ……って、うわっ、1日で大銅貨5枚!? しかも半日だけでしょ?
もしかしてシュウ君って、下手なCランクの冒険者より稼いでるんじゃないのかな?」
「そうみたいだな。流石はシュウだ。」
「そうなんですか? 普通Cランクだと、どのくらい稼ぐものなんですか?」
「そうだなぁ、1パーティの稼ぎだと、だいたい銀貨1,2枚が多いかな。
1パーティが3~5人くらいで組むのが多いから、5人組のパーティだとした場合、1人分に換算すると、大銅貨2~4枚ってところだな。」
「なるほど、確かにそれから比べると多いかもしれませんね。」
「だろ? しかもシュウはFランクだから、かなり稼いでるって訳だ。」
「あ、いえ。今はEランクです。」
「はっ?」
「えっ? Eランク? 嘘っ!?」
「いえ、本当ですよ。ほら。」
俺はギルドカードを取り出して2人に見せた。
「アイアンカード……マジか。」
「すっご~い! 疑っちゃってごめんね~」
「いえ、気にしてませんから大丈夫です。」
「それにしてもEランクか。随分と無理して依頼を受けたんだな。」
「そうね。草むしり依頼だとしても、それほど数も無いだろうし、まさか森に入ってゴブリンと戦ったとか!?」
「シュウ!」
「ち、違いますって! 俺がEランクに上がったのは単に運が良かっただけですって!」
実際森には入ったけど、戦ったのはウルフであってゴブリンじゃ無い。だから、も、問題無いし(汗)
レリウス達と入った時はEランクになってたからな。とりあえず余計なこと言うと怒られそうだし、黙っておこう。
「運? 何が有ったんだ?」
「たまたま新しい発見をしたことで、ギルドマスターがそれを評価して上げてくれたんですよ。」
「ギルドマスター!? 私達も有ったこと無いのに! 凄い!!」
「ギルドマスターが出てくるほどの発見って、何を見つけたんだ?」
「えっと、ホーンラビットの魔石です。」
「そういや、最近見つかったとの発表が有ったな。あれはシュウが見つけたのか。」
「はい。解体講習を受けたので、ホーンラビットを解体してみたらたまたま見つけたんです。
すごく小さいので、今まで誰も気が付かなかったみたいですね。」
「なるほどな。」
「あっ、俺、そろそろ帰らなきゃならない時間なので、行ってみようと思います。」
「そうか。またな。」
「シュウ君ばいばい~」
俺は2人と別れ、依頼の報告のために受付カウンターへ向かうことにした。
「次の方どうぞ。」
「依頼が終わりましたので報告です。」
俺は依頼票をギルドカードと共に受付カウンターへと出した。
「はい。問題無いですので、処理しちゃいますね。」
イザベルさんがそう言うと、機械にギルドカードを通して処理をしてくれた。
「はい。依頼金の大銅貨5枚です。ご苦労様でした。」
「ありがとうございます。」
「本日は冒険者ギルドのご利用ありがとうございました。私、イザベルが対応させて頂きました。
またのご利用をお待ちしております。」
用事が終わったので帰ることにした。
帰り際、アランがこちらに手を上げたので頭を下げておいた。どうやらまだ此処で飲んでいくみたいだ。ほどほどにな。
そしてもちろん言わずとも、稼いだお金は孤児院に没収されたのだった。
院長室を出たところで女の子がトテテと近づいて来た。
「シュウお兄ちゃん。今日はお肉無いの?」
「あっ……」
スマン忘れてたよ……




