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074 草むしり依頼再び


「シュウ君、どうだった?」


「さすがはアランさんでした。御蔭で中々貴重で凄い経験をさせて貰いました。」


「だってさ~、アラン良かったね~」


「そうだな。俺の御蔭だな。」


「そんなこと言ってると、あっという間にシュウ君に抜かれちゃうよ~?」


「だ、大丈夫だ。」


「本当? 実は最後の方は……ねぇ?」


「うぐっ!」



最後の部分が何のことを言ってるのかは分からないが、相変わらず仲が良い2人だよな。以心伝心って感じで、それだけで通じ合ってるんだもん。全くもってうらやましいぜ!



「シュウ君はこれからどうするの?」


「そうですね、もともとやろうとしていた草むしり依頼を数件受けてみようかと思ってます。」


「あー、あの魔法かぁ~、あれ便利だよね~」


「はい。ちょっとしたお金稼ぎには丁度良いですし。」


「あはははっ、それを言えるのはシュウ君だけだと思うよ~」


「あははっ(汗)」



言われてみればごもっともです。一番最初に受けた時はローザと2人で2日掛かりだったしな。



「じゃあ俺は依頼を受けに行ってきます。」


「頑張ってね。」


「はい。」


「俺はちょっと物足りなかったから少し体を動かして行くとするかな。」


「やっぱりアランさんは凄いです。俺じゃあ相手にするには力不足でマダマダだって理解できました。俺ももっと精進して頑張ります!」


「だってさ、アランも頑張らないとね♪」


「お、おう。」



そっかー中々良い感じでやれたと思ってたのは、単に俺の勘違いだったのか。

次に相手してもらう時までにもっと動ける様になって、アランさんに迷惑かけないように頑張らないとな!

素振りを始めたアランさんとそれを嬉しそうに見ているエレンさんを背に、俺は修練場を後にするのだった。


依頼掲示板へ行き、草むしり依頼を4枚剥がし、受付カウンターへと向かう。



「次の方どうぞ。」


「この依頼をお願いします。」


「あら? さっきエレン達と一緒に居なかった?」


「はい。修練場でアランさんに鍛えて貰ってたんです。

 お陰様で、自分がマダマダ実力不足だって理解することが出来たのでホントやって良かったです。」


「そうだったのね、お疲れさん。

 じゃあ依頼の手続きをしちゃうわね。ギルドカードを出してね。」


「はい。」



イザベルさんが俺のギルドカードを受け取ると、機械に通して処理をしてくれた。



「はい。手続きはこれでおしまい。こちらが地図よ。行ってらっしゃい。」


「はい。行ってきます。」



俺は冒険者ギルドを後にした。



「まずは、この近い所から行くとしますか。」



地図の示した場所までやって来た。



「どおりで見たことが有る感じがしたんだよね。」



何と最初の1ヶ所は一番最初に依頼を受けた貴族様の御屋敷だった。

俺は玄関のノッカーを叩いた。


カンカン!


少しして扉が開き、以前も対応してくれたメイドさんが出てきた。



「どちら様でしょうか? って君は確か……」


「冒険者ギルドの依頼を受けて来ました。これが依頼票です。」


「やっぱり前に草むしりをしてくれた子だったのね。今回は1人でしょうか?」


「はい。駄目でしょうか?」


「いえ、問題はないです。では案内致しますのでこちらへいらして下さい。」


「はい。」



メイドさんに案内された場所は以前草むしりをした場所で、その場所には小さな小屋が立っていた。



「今度はここに畑を作るので、少し範囲は広くなっています。あそこに杭が立っている範囲が今回の作業となりますが、今回は半分で構いません。

 そうですね……10日程で終わらせて頂けると助かります。」



メイドさんが指定した範囲は20m×10mの広さで前回の8倍だ。ただ半分で良いというので10m×10mだ。

前回は2人で2日がかりだったから単純に4倍プラスアルファの期間を言ってくれたのだが、もしかして俺が子供だから気を遣われてしまったか?

値段はあまり気にしなかったが、この金額だとこの範囲全部が依頼の対象っぽいぞ?



「あの、もともとこの依頼って、この範囲全部ですよね?」


「そうですね。でも大変でしょ? なので半分で構いませんよ。」


「いえ、依頼はキチンと受けないと他の冒険者にも迷惑が掛かりますから駄目です。」


「それは……」


「それに、すぐ終わりますしね。」


「えっ? それはどう言った……」


「アークシェイク!」



俺が範囲を指定して魔法を発動させると、あっという間に草が土に埋まって綺麗になった。

今回は使用目的が畑だって言うことだし、草は細かくすり潰して土と混ぜることで肥料にして、後は最終的にふかふかの土にするために空気が入る様に振動を大きくしてみた。

小石等は重みで沈むため、畝は無いが綺麗に掘り起こした感じの畑にすることが出来た。



「うし、完璧!」



作業が終わったので報告しようとメイドさんへと振り向くと、淑女のお手本の様なメイドさんが、大きな口を開けてぽかんとしていた。

えっと、これ声を掛けても大丈夫だろうか?



「あ、あの、終わりました。」


「えっ? あ、はい? えぇ!?」



ちょっと混乱しているみたいだ。

俺は何とかメイドさんを落ち着かせて、説明をするのだった。



「ま、まだ少し信じられませんが、目の前の結果を見ると信じるしか無いですね。」



良かった。何とか理解してくれたみたいだ。相変わらず作業より説明の方が時間が掛かってしまうのは何とかならないものだろうか……



「ま、また次も宜しくお願いします。」


よし! 最初の依頼が終わった。次だ次!



・・・・



「あ、ありがとうね?」


「いえ、それでは。」



こうして残りの3件も何とか済ませて、草むしり依頼は終了することが出来たのだった。


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