072 今日もダメ
次の日になり、俺は冒険者ギルドへとやってきたのだが、レリウスとサムの姿は見当たらなかった。
仕方が無いのでEランク掲示板を見に行ってみることにした。
「おっ、しばらくやらなかったからか、草むしりの依頼が増えているな。」
今一つ労力の割には金額が安いからか、今一つ人気が無い依頼だしな。
ただ、Gランクの依頼だから、4箇所の草むしりをしないと1つの依頼分にならないってのが辛いな。
まぁ、Gランクの仕事を取ったら駄目だからなのは分かってはいるんだけどね。
「それにしても来ないなぁ……」
随分と待ってはいるのだが、未だに来る気配が無い。
他の冒険者達も依頼を受けたりして出て行っちゃったのでギルド内はガラガラになってしまった。
「しゅ、シュウ君ゴメン。」
「よ、よぉ。」
それからしばらくしてから2人がやって来たのだが、なんだか様子が変である。何か有ったのかな?
「顔色も悪いみたいですが、何か有ったんですか?」
「い、いや、ちょっとね。」
「うっ……そんな大声出すなよ、頭痛てぇ!」
「……二日酔い?」
「昨日、ちょっと飲みすぎちゃってね。」
「はぁ。」
どうやら大金を手にした勢いで飲み過ぎたみたいだ。
まぁ、俺の金じゃないから、どう使おうがかまわないけどね。
「で、今日はどうするの?」
「すまんが、こんな調子だと依頼は無理なので休みにしたいんだが、構わないだろうか?」
「しょうがないですよね。わかりました。」
「ありがとう。」
「悪ぃな。」
そういうことで急遽休みになってしまったが、そうなると今日はどうしようかな。
「ね、ねぇ、武器を見に行ってみたいんだけど、どうかな?」
「はぁ? そんなもん鍛冶屋にでも行けばいいだろうに! いちちっ……」
サムが大声を出して自爆した。アホやな。
「俺1人だとお店に入れてくれないんですよ。」
「そうなのか? 僕はそんなこと言われたこと無いけどなぁ。」
「子供は駄目って言われた。」
「「あぁ~!」」
「言われてみればシュウ君は、まだ子供だったね。」
「生意気だから忘れてたぜ。」
「それって酷くない?」
一応、まだちゃんとした子供だぞ? 中身は別だがな。
「だったら僕と一緒に行ってみるかい?」
「良いんですか?」
「今日は予定が無くなったからね。お詫びも含めてだけどね。」
「俺はパス!」
「へぇ~、弓の値段を調べなくても良いんだ。」
俺は、当てつけで嫌味っぽく言ってみた。
「うぐっ……わ~ったよ、行けば良いんだろ、行けば!」
「チョロイ!」
「あぁ!?」
「いえ、何でもございません。」
俺達は武器屋へと向かうことが決まったのだ。これでようやくお店に入れる!
「駄目だ!」
「ちょ、何でだよ!」
「駄目な物は駄目だ!」
バタン!
そして扉を閉められてしまった。
「ね? 言ったとおりでしょ?」
「そうみたいだね。まさかここまで拒絶されるとは思わなかったよ。」
「ケッ! ずいぶんとケツの穴が小さい野郎だぜ!」
「それで、これからどうします?」
「どうするもこうするも、お店に入れてくれないんだったら、ここに居ても仕方ないよね。依頼も受けないし今日は解散かな?」
「だな。帰って寝るとするか。」
「わかりました。俺は少し適当にふらついてみることにします。」
「そうか。じゃあまた明日。」
「じゃーな。」
「また明日。」
2人と別れた俺は、その場から離れることにした。




