070 森での戦闘
次の日になり、冒険者ギルドへとやってきた。
「えっと、レリウスとサムはっと……居た!」
何やら掲示板の前で話し合っているみたいだ。でも、彼らが居る掲示板はEランクの掲示板だぞ? どうしたんだろう。
とりあえず2人のところへ行ってみることにした。
「おはよ~」
「おう! 来たな!」
「シュウ君、おはよう。」
「2人で何か話をしていたみたいですが、何か有ったんですか?」
俺が質問すると、2人は貌を見合わせた後にレリウスが言ってきた。
「今日は森でゴブリンを狩りに行きたいんだが、どうだろうか?」
「別に構いませんけど。」
もともとゴブリンはFランクの依頼だ。何の問題も無いと思うのだが。
そんな俺の顔を見て何かに気が付いたのか、レリウスが言ってきた。
「もしかしたら勘違いをしている気がするんだけど、Fランクのゴブリンは、たまに草原に出て来るハグレがメインなんだよ。
森の中に入るにはEランクの強さが無いと危険なんだ。ウルフは出てくるし、ゴブリンも集団になるしね。」
「なるほど。」
「それに、シュウ君が居れば、Eランクの依頼も受けられるからね。
EランクはFランクの2倍の評価になるから、僕達にとっても美味しいんだ。」
「そうなんですね。俺は別に構いませんよ。」
「よし! なら決まりだ!」
「腕が鳴るぜ!」
こうして今日の俺達の予定は、森へと行くことが決まったのだった。
街の外へと出て草原までやって来た。相変わらずホーンラビットの反応は見当たらないな。まだ当分は無理みたいだ。
確かに少数しか存在していないホーンラビットを探すよりは、森に言った方が稼げるのは間違いしな。
草原を素通りした俺達は、森の入り口までやってきた。
入る前にも関わらず、さっそく何かの反応が3つほど見つけることが出来た。
「何かいるぜ! 何かはわかんねーが、3匹だ。」
サムも索敵で気が付いたみたいだ。
「それでレリウス、どうするんだ?」
「そうだなぁ……シュウ君、2匹を頼めるかい? 残りの1匹は僕達で倒そうと思う。」
「わかりました。じゃあ早速……」
俺はアイスアローを2つ発動せて狙撃を起動する。
スコープの先にはゴブリンが3匹うろついているのが確認できた。
「ゴブリンが3匹ですね。じゃあちゃっちゃと倒しちゃいますね。 行けっ!!」
3匹のうち1匹だけが棍棒(木の棒?)を持っていたので、1匹のターゲットはこいつにしておこう。
俺がアイスアローを飛ばすと、あっさりとゴブリン2匹を倒すことが出来た。
「行くぞ!」
「おう!」
掛け声と共にレリウスとサムが走り出した。
最初仲間がやられたことで動揺したゴブリンだったが、近づいてくる2人を見て戦闘状態に入ったみたいだ。
「僕が前に出る。サムは後ろから頼む!」
「おうよ!」
2人がゴブリンと接触した。相変わらず危なげなく戦闘をするな。
今回は2対1で余裕だから問題ないが、これが複数になったらどうなんだろう?
とりあえず戦っている様子を見た感じ、助っ人の必要は感じないが、一応俺も向かうとしますかね。
万が一の場合も有り得ると想定して用心はしていたのだが、特に問題も無くゴブリンは倒された。
「ふぅ~」
「やったな!」
「お疲れ様です。」
「シュウ君の御蔭で楽に戦えたよ。ありがとう。」
「いえ。2人とも危なげない戦闘だったので、安心して見ていられました。」
「そうかい? 嬉しいな。」
「ほ、褒めても何もでねーぞ。」
いつも思うのだが、何でツンデレなんだ?
「じゃあ、討伐証明を取ったら次行くか。」
サムがそう言うと、ナイフでゴブリンの右耳を切り取って袋へと入れた。
「あれ? ゴブリンって必要なのって耳だけなんですか?」
「たまに武器を持って居る固体もいるみたいだけど、棍棒だと薪にしかならないしね。」
「そうなんですね。魔石とかって無いんですか?」
「出たって記録はないけど、昨日ホーンラビットの魔石が見つかったって話があったよね? だったらゴブリンに有ってもおかしくはないんだけど、手間とかを考えるとちょっとね。」
「なるほど、わかりました。」
「よし、じゃあ次行くよ。」
レリウスの掛け声で次の場所へ移動することにした。
俺はこっそりとゴブリンの死体をアイテムボックスへと収納して解体してみたら、1匹から魔石(1/1)が見つかったのはラッキーだった。どうやらホーンラビットと同じみたいだ。
その後も順調にゴブリンを倒していく。ゴブリンは、基本3匹で行動しているみたいなので、2匹を俺が倒して残りを2人で倒すことで対応してきた。
3回目の戦闘が終わったところで変化が有った。
「おぉ! レベルが上がったぞ!」
「僕も上がったみたいだ。」
そして2人がステータスを確認すると、大きな声を出した。
「俺、短剣術のスキルが増えたぞ!」
「僕も、剣術と盾術のスキルが増えた!」
「2人とも嬉しいのは分かりますが、もう少し静か……ん!?」
何かが近づいてくる反応が有る! 何だ?
そんな俺の様子を見てサムが索敵をしたみたいだ。
「何かがこっちに来るぞ! あっちだ!!」
「何!?」
すぐさまレリウスが盾を構えて身構えた。そこに現れたのはウルフだった。
「ウルフ!?」
「やべーぞ!」
俺は一度戦った経験から、近づいてくる速度で何となく敵の予想はしていたので、それほど慌ててはいなかった。
落ち着いて準備していた2本のアイスアローをウルフへと照準を付けて発射させると、見事ウルフの眉間に命中! 鳴き声を上げることも許されずに即死させることが出来た。これで残り1匹だな。
さすがに1匹だけなら、レベルが上がってスキルの生えたレリウス達でも対応は可能みたいだ。
上手い具合にウルフの攻撃を捌いていた。
ただ、ウルフの動きが今までの敵より素早いために、中々致命傷を負わせることが難しいみたいだ。
しかし結局格上のウルフと言えど、数の暴力には負けるみたいで、死角からのサムの攻撃でどんどん傷が増えるにつれて動きが鈍くなっていった。
「コレでトドメだ!」
レリウスの最後のひと振りが、見事ウルフの首を切り落としたのだった。




