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064 解体講習


解体場の中へと入ると、少し年配の男性と、俺達3人以外にもう2人の冒険者が居た。

部屋の中央には大きなテーブルが有り、色々な大きさの解体用ナイフ等に機材が揃っていた。



「俺は解体講習の講師を務めるライと言う。宜しく頼む。」


「「「「「お願いします。」」」」」


「今日は解体講習の基礎を学ぶからな。しっかりついて来いよ!」


「「「「「はい。」」」」」


「まずは俺が解体するところを説明しながら見せるから、見て覚える様に。

 後で全員にもやってもらうからな。」



ライさんはそう言うと、テーブルに1匹のホーンラビットを乗せた。



「今回はすでに血抜き済みを使わせて貰うが、お前らは血抜きは大丈夫か?」


「「「「はい。」」」」


「すいません。やったこと無いです。」



あれ? 経験無しって俺だけ? まあ良いけどさ。



「そうか。でも血抜き自体はそれほど難しい物じゃない。此処に有るホーンラビットの首を見て貰えば分かりやすいと思う。

 こんな感じにナイフか剣で切って、後は頭を逆さにして血が出無くなればそれで充分だ。そして、これをやるのは倒した直後の出来るだけ早くだ。」


「えっと、持ち上げられない大きな獲物の場合はどうすれば?」


「そういう時は寝かせたままやるしかないな。出来れば足元に何か入れて少しでも高く出来れば上出来だが、最悪そのままでも構わない。

 ただし、下側の肉は臭くて食えなくなる可能性はあるが、それは諦めてもらうしか無いな。ここまでで質問は?」


「大丈夫です。」


「じゃあ続きだ。血抜きが終わったら次は解体だ。解体はサイズの大きさが違かろうが、基本同じだ。まずは此処からこうナイフを入れて……」



ライさんはゆっくりと丁寧に解説しながら解体をするのだった。



「とまぁこんな感じだ。分かったか?」


「「「「「はい。」」」」」


「じゃあ順番にやっていくぞ。まずはそこのお前だ。」


「はい。」



・・・・



一番最後に解体することになったが、指導されながら何とか解体をすることが出来た。

生き物だったものを切り刻むって行為は、最初それなりに抵抗が有ったのだが、最終的に見慣れた肉の塊まで来た頃には、そんな気持ちはすっかり無くなっていた。

解体することで慣れたのか、この世界に適応したのかは分からないが、抵抗が少ないことに越したことはないだろう。



「よし! 後は実践あるのみだ。

 最初は失敗もするだろうが、繰り返すことで上手になる。頑張れ!」


「「「「「はい。」」」」」


「今日の講習はここまでだ。お疲れさん。」



こうして初心者による解体講習は終わったのだった。


そして俺は今、街の外へとやってきている。なぜなら解体講習は午前で終わってしまったからだ。

それに折角覚えた解体を練習してみたかったのも大きかったからだ。


俺はアイテムボックスからホーンラビットを1匹取り出した。そして首を切り、足を持って逆さにする。



「くっ! この体勢でいるのも結構辛いな……」



2kgくらいとは言え、ずっと持ちあげているのはそれなりに力が要るのだ。現に腕がプルプルと震えているのがその証拠だ。

血が流れなくなったところで次の作業へと移ることにしたが、その前に。



「ちょっと休憩~」



こんな腕の状態では、解体なんて細かい作業なんか出来ん。

一度アイテムボックスへと収納し、休憩することにした。



「思った以上に解体って大変なんだな。もっと簡単に出来ないものか……」



そんなことを考えていたら、目の前にメニューが現れた。



『解体しますか? 〔Y〕/〔N〕


 ・ホーンラビット         〔-〕0〔+〕

 ・ホーンラビット(血抜き済) 〔-〕0〔+〕

 ・穴ネズミ            〔-〕0〔+〕

 ・ウルフ             〔-〕0〔+〕』



「何だコレ?」



何となく予想だが、俺が願ったことで創造魔法が発動して解体スキルでも習得したのだろう。

俺は試しにホーンラビット(血抜き済)を解体してみることにした。

俺は〔Y〕を押してみた……が、何も起こらなかった。



「あれ? 使い方が間違ったか?」



パッと思い付くのは素材の脇にある数字だ。

もう一度解体スキルを発動させてみる。



「……あれ?」



何も起こらなかった。俺はステータスを確認してみた。


-----------------------------------------

名前 :シュウ

年齢 :6

種族 :神族

状態 :普通


LV :5

HP :34/34

MP :72/83


STR:14

VIT:11

AGI:15

INT:16

DEX:11

LUK:99999


スキル:創造魔法、詠唱破棄、物理無効、魔法無効、状態異常無効、魔力盾、アイスアロー、おっぱい召喚、言語理解、偽装、アイテムボックス、気配察知、生活魔法、アークシェイク、魔力感知、魔力操作、錬金術、剣術、オート狙撃(改)、並列起動、オート解体


称号 :異世界転生者

-----------------------------------------


なるほど、解体では無くてオート解体か。


-----------------------------------------

【オート解体】

アイテムボックス内の素材を解体することが出来る。

-----------------------------------------


内容を確認すると、アイテムボックス内の素材しか解体出来ないみたいだ。



「オート解体!」



スキルを発動させると再びメニューが現れたので、今度は試しに〔+〕を押してみた。


『解体しますか? 〔Y〕/〔N〕


 ・ホーンラビット        〔-〕0〔+〕

 ・ホーンラビット(血抜き済) 〔-〕1〔+〕

 ・穴ネズミ           〔-〕0〔+〕

 ・ウルフ            〔-〕0〔+〕』


案の定、数字が増えたな。試しにもう一度〔+〕を押してみたのだが、どうやら素材の数以上には増えないみたいだ。

この状態で〔Y〕を押してみた。


『解体が終了しました。

 ・ホーンラビット肉×1

 ・ホーンラビット角×1

 ・ホーンラビット毛皮×1


 不必要な素材を廃棄しますか? 〔Y〕/〔N〕』


廃棄? もしかして骨とか内臓とかかな? 今回は〔N〕を押してみることにした。


『・ホーンラビット骨×1

 ・ホーンラビット歯×2

 ・ホーンラビット舌×1

 ・ホーンラビット目×2

 ・ホーンラビット心臓×1

 ・ホーンラビット胃×1

 ・ホーンラビット肝臓×1

     ・

     ・

     ・

     ・』


体のパーツ1つ1つがずらずらと数百と表示されたのだった。うん、正直要らなかったかもしれない。

俺は泣く泣く時間を掛けて、アイテムボックスから1つ1つ処分をするのだった。次からは絶対廃棄すると心に誓いながら……


そして結果的に以下の通りに解体することが出来た。


ホーンラビット肉:53

ホーンラビット角:53

ホーンラビット毛皮:53

魔石(1/1):5


穴ネズミ肉:7

穴ネズミ毛皮:7


ウルフ肉:3

ウルフ毛皮:3

魔石(2/2):1


解体していて1つ気が付いたことが有る。穴ネズミはたまたま無かっただけかもしれないが、ホーンラビットやウルフには魔石が有ったのだ。

廃棄の方に入らなかったってことは、多分使える素材なのだろう。(1/1)や(2/2)がどう言った意味が有るのかは今の所分からないけどな。

後は、入手した数からしても分かると思うが、必ず魔石を持って居るって訳じゃないみたいだ。どう言った基準で入っているのかは不明だけどね。


試しにホーンラビットの魔石を1つ取り出してみたのだが、針の先端の大きさなので、もしかしたら気が付かずに捨てられている物なのかもしれないけどな。

ちなみにウルフ魔石は鉛筆の芯の先端程度だった。ちなみに鑑定結果はこんな感じだった。


-----------------------------------------

【魔石(1/1)】

スキルを使うことが出来る。

-----------------------------------------


-----------------------------------------

【魔石(2/2)】

スキルを使うことが出来る。

-----------------------------------------


スキルを使う? もしかしてMPみたいな物だろうか? と言うことは、俺の体の中にも魔石があるのだろうか?

俺は何となく寒気を感じて、ブルリと震えるのだった。


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― 新着の感想 ―
[一言] 次からは絶対廃棄すると心に誓いながら……って所フラグかな? 身体全部貴重な材料になる魔物がいたら...有名どころだとドラゴンとかそ言う大型系考えるだけで怖いね...
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