046 武器屋
すっかりとやる気が失せてしまった俺は、今から依頼を受ける気分でも無いので、何か武器になりそうな素材を探して街中をうろつくことにした。
「おっ、良い物見っけ。」
大きさ的には子供のこぶし大だが、石が落ちていたので拾っておく。
この位の大きさでも数を揃えれば武器にすることも出来るだろうし、見かけたら拾っておこう。
俺は石を見かけるたびに拾ってはアイテムボックスへと入れていく。
だいぶ数も集まってきたので、そろそろ武器を作っても良い頃合いかもしれない。
俺は、一か所に集めたすべての石を取り出した。
「武器制作!」
俺がスキルを発動させると、石がぐにょぐにょと変形して合わさり、1本の剣へと変形した。
「よっしゃあ!!」
早速完成した剣を手に取る。
ガラガラガラ……
剣はバラバラに崩れてしまった。
「何で!?」
どうやらパズルみたいに組上がっていただけでくっ付いている居る訳では無かったみたいだ。そしてパーツの1つ1つの大きさは、元の石の大きさと変わらないみたいだ。
試しに一番大きい石1つだけで武器制作をしてみると、お土産屋さんで売っている剣のキーホルダーを一回り大きくした程度の武器が出来た。
そして持っても壊れることが無く、武器としては微妙だが、ナイフとしては使えそうな感じだった。
「ふむ、何となくこのスキルの仕組みが分かったな。」
要は一つの塊からでしか武器として成り立たないってことだ。複数で作ると形としては武器になっても、それは単に組み合わさっているだけで武器として使えないからだ。
ふと、疑問に思ったことが出来た。例えば質量10の塊から質量1の武器を作ったらどうなるんだろう?
試しに1つの石を使って、一寸法師の武器を作ってみた。
「出来たな。」
石から分離してつまようじの様な武器が完成したのだった。
それから色々と実験を繰り返し、このスキルがどう言った物かが分かった。
・考えなしに武器制作すると、その塊で出来る最大サイズの武器になる。
・塊より小さな武器を制作すると、そのサイズで塊から分離する。
・武器を手放してから5分が経過すると、元の形状へと戻る。
・分離された武器が元に戻ると、分離した分の塊となる。もとの塊は分離して削られた分小さくなり、元には戻らない。
・武器は俺が想像した形状へと変化する。何が言いたいかと言うと、武器に対する知識が無いと、バランスの悪いナマクラな剣が作られるのだ。
こんな感じである。
考え様によっては俺の努力次第で、素晴らしい武器になるかもしれないってことだ。
と言う訳で、俺は今、知識を深めるためにも武器屋へとやってきたのだった。
「帰れ!」
武器屋へ入ると同時に、有無を言わさずに追い出されてしまった。
「ちょ、ちょっと待って!」
俺は慌てて武器屋の店員へと声を掛けたが、そのまま扉を閉められてしまった。マジかよ……
俺は再びお店の扉を開けると、店員が通せんぼをしていた。
「だから、ここはガキが来る場所じゃ無いんだよ! だから入って来るな!」
店員がそう言うと、再び扉は閉じられてしまった。全然俺の話を聞く気も無さそうだ。
ドンドンドン!
「お願いします! どうしても武器が必要なんです!」
ガチャ!
俺が必死にお願いしたからか、扉を開けてくれた。どうやら俺の熱意が届いたみたいだ。
「うっせー!!」
バタン!
「……帰るか。」
これはもう何を言っても無理だろうな。今日のところは勘弁してやる!




