044 条件を満たしました
くたくたの体を引きづって何とか冒険者ギルドまでやってきた。
早速依頼完了の報告をするために受付カウンターへと向かうことにした。
朝に受付して貰ったお姉さんのところへと向かうことにした。
ピークを過ぎた時間で人がまばらだった御蔭か、イザベルと目が合ってしまった。
別に睨まれたとか怒っているとでは無いのだが、何となく意心地が悪いのは何でだろうか?
「依頼が終わりました~」
ミーナが代表して依頼票を出して対応する。
「あら、あなた達は今朝の……うん、問題無いですね。
それじゃ、依頼票とカードを出してね。」
「「「「はい。」」」」
俺達は各々カードを取り出して受付嬢へと渡すと、機械に通して処理してくれた。
「あら? シュウさんは今回の依頼でFランクへの条件を満たしたみたいですね。
ミーナさんとレイラさんもすでに満たしているのですが、ランクアップ試験どうしますか?」
「私とレイラはまだ受けるつもりは有りません。」
「俺はどうしようかな……ちなみに試験の内容ってどんなのですか?」
「ランクFに上がりますと、街の外での依頼を受けることが出来る様になります。
街の外には魔物が出るため、それらと戦うためにも、ある程度の戦闘能力が必要になります。
なので、試験官との戦闘が試験の内容となっております。」
「なるほど。少し考えてからでも良いですか?」
「分かりました。受ける際には、私達へと声をお掛けください。」
「分かりました。」
前にアランから聞いていたのとだいたい同じだな。
「例えばですが、試験の前に戦い方を教えて貰うことって出来るんでしょうか?」
「依頼と言う形でしたら、1時間で大銅貨1枚で受け付けることが可能ですが、如何いたしましょうか?」
「止めておきます……」
「そうですか。」
無一文の俺には無理な話だった。
仕方がない、頼っても良いって言ってたし、アランにお世話になることにしよう。
「ではカードと今回の依頼料の銅貨15枚になります。ご苦労様でした。」
「「「「ありがとうございます。」」」」
「本日は冒険者ギルドのご利用ありがとうございました。私、イリスが対応させて頂きました。
またのご利用をお待ちしております。」
なるほど、お姉さんの名前はイリスと言うのか。覚えておこう。
「今日は遅いし、このまま真っすぐ帰ろうか。」
「そうだね。」
「うん。」
「だな。」
「じゃあ、これはお小遣いね。」
ミーナがそう言うと、銅貨を1枚づつ渡してきた。
「あっ、俺の分はそのまま孤児院に渡すで構わないよ。」
「シュウ君、ローザちゃんの影響かもしれないけど、たまには自分のことに使っても良いんだよ?
それにさっき依頼の件だって有るし、持って居た方が良いと思うよ~」
「そうかもしれないけど、孤児院にお世話になっている間は良いかなって思ってさ。それに戦闘については当ても有るしな。」
「もぉ……仕方ないなぁ……」
何か可哀相な子でも見る様な目で見られてしまった。解せん。




