042 お手伝い依頼
地図に書いて有るお店までやってきた。
まだ営業前だったが、扉の鍵は開いているみたいだったので中に入ることにした。
カランカラン!
扉の中に入るといかにも食事をする場所って感じで、テーブルが幾つか並んでいた。
そして、店の奥から一人の女性がやってきた。
「ごめんね~、まだ営業時間前なの。もう少ししたら開けるから、その時に来て貰えるかな?」
「あ、いえ、私達は冒険者ギルドの依頼でここに来ました。これが依頼票です。」
ミーナが依頼票を女性に渡した。
「変ねぇ、依頼は確か3人だったと思ったんだけど、間違っちゃのかしら?」
「いえ、3人で合ってますよ。3人分の依頼料で構わないので4人で受けても良いでしょうか?」
「私としては有難い限りだけど、良いの?」
「はい。」
「そう、じゃあ宜しくね。」
「「「「はい!」」」」
こうしてお店のお手伝いの依頼が開始されることになった。
「まずはお店のお掃除をお願いしても良いかしら? あそこに掃除道具が入っているから。」
「わかりました。」
俺達は手分けして作業をすることにした。
ミーナとレイラがほうきを使ってのゴミを集める係、カレンがテーブルと椅子を拭く係で、俺は店の前の水まきだ。
流石に4人で手分けして作業した御蔭で、あっという間に掃除を終わらせることが出来た。
「じゃあ、君たちにやって貰う仕事を教えるわね。
と言っても、お客さんが来たら、お水を出して注文を取ったら私にそれを教えてね。
出来上がったら料理をそのお客さんに持って行って、食べ終わったら片付けをして貰う感じかな。」
「「「「はい。」」」」
「じゃあちょっと練習してみようか。まずはあなたからね。」
「わかりました。」
最初はミーナが行うみたいだ。
女性が席へと座る。
「はい。お客様がテーブルに着いたと仮定してお願いね。」
水が入った瓶から木のコップに水を汲んで、それを持って行く。
そして、テーブルにコップを置いた。
「ご注文をどうぞ。」
「お勧めは何かしら?」
「分かりません。」
「……そうよね。分からないわよね。ごめんなさい。」
「いえ。」
「一応周りにメニューが貼ってあるでしょ? そこに〇が書いて有るのが今日のオススメだから。」
「分かりました。えっと、ホーンラビットのステーキと野菜炒めがお勧めです。」
「はい。そしたらあそこの壁にテーブル番号が書いて有るから、そこにある料理名の木板を引っ掛けてね。私もそれを見て料理を作るから。」
「はい。」
「料理が出来ました。あそこのカウンターに料理を置くから、そこに置いてあるお皿を料理として持って来て。」
女性が指さした所に何ものって居ない木皿が置いてあったので、ミーナがそれを取りに行き、こちらへと戻ってきた。
「どうぞ。」
そう言って木皿を置く。
「ん-出来れば料理名を言ってから置いてくれると嬉しいかな。もし間違っていたらお客さんが注意してくれるでしょ?」
「分かりました。
ホーンラビット肉のステーキです。どうぞ。」
「オッケー! 後は、料理を食べ終わったらだけど……」
そして女性が俺達を見渡してこう言った。
「この中で計算が得意な子って居るかな?」
俺達は一斉にミーナへと視線を注ぐ。
それを見たミーナが慌てだした。
「無理無理無理! 計算サッパリ分からないよ。レイラはどうなの?」
「私も無理。カレンは?」
「出来なくは無いけど、苦手……」
「ちょっと試させて貰うわね。大鉄貨4枚と鉄貨2枚の料理と、大鉄貨5枚と鉄貨5枚の料理、大鉄貨7枚と鉄貨3枚の料理を食べました。値段は幾ら?」
「えっ? えっと、えっと、大鉄貨が4枚と5枚と7枚だから、えっと……」
カレンが指を折って計算している。この調子だと無理かな。仕方ないな。
「大鉄貨17枚。もしくは銅貨1枚と大鉄貨7枚だな。」
「おー、やるね。君。
じゃあ、お客さんが銅貨2枚払ったらお釣りは幾ら?」
「大鉄貨3枚だな。」
「正解! うん、じゃあ君に会計をお願いしても良いかな?」
「俺!? お金を取扱うんですよ? 良いんですか?」
「そう言うことを聞くってことは信用できると思うんだけど、どうかな?」
「……そう言われちゃ断れないか。わかりました。」
「いやぁ~助かるわ~ これなら料理に専念できるわね。」
こうして俺はウェイター兼レジ係が決まったのだった。
その後は全員一通りの受け答えの練習をさせられたのだった。




