039 報告
ようやく落ち着ける場所までやってくることが出来た。
「それじゃあ、教えてもらおうかな~」
「エレン、お前なぁ……」
「だって、シュウ君が教えてくれるって言ってたもん! 私悪く無いもん!」
「はい。だから大丈夫です。」
「シュウ、冒険者にとって情報は命と同じだぞ? 良いのか?」
「問題無いです。だってアランさんとエレンさんは、俺にとっても命の恩人ですし、信用もしてますから。」
「シュウ、お前……」
「シュウ君……」
2人して感極まった顔をしていた。やっぱり似た者同士なカップルだよな。
俺はギルドカードをエレンに手渡した。それを見たエレンが驚きの声を上げる。
「えぇ!? シュウ君って、魔法が使えるの!?」
「アークシェイク? 聞いたことが無い魔法だな。」
「地震を起こせる魔法です。これで草むしりをしました。」
「どうやるんだ?」
「えっと……あそこの草を見ててください。アークシェイク!」
俺が魔法を発動すると、地面が振動して草が埋まって行った。
「なっ!」
「すっご~い!」
「こんな感じですね。」
「これは土魔法なのか?」
「えっと、どうなんでしょう?」
言われて気が付いた。普通だったらアンナやローザみたいに聖魔法とか光魔法になるのに、俺のは何で魔法名なんだ? もしかして創造魔法で作ったから違う系統の魔法なのだろうか?
「まぁ、何にせよ、これでエレンの疑問も解消できたな。」
「そうだね~、シュウ君ありがとう~」
「ちなみにだが、この魔法を人や魔物に使ったらどうなるんだ?」
「えっと、使ったことが無いから分からないかな。」
「俺にかけてみることは出来るか?」
「出来るけど、埋まっちゃうよ? いや、程度を変えれば大丈夫か?」
「よくわからんが、試してくれ。」
「わかった。じゃあ指定範囲をアランにして、震度6くらいの地震を30秒くらいにしてと、アークシェイク!」
俺が魔法を発動させると、アランの足元に地震が発生した。
「うおっ! こ、これは!」
アランは立っていることが出来無いらしく、四つん這いになって必死に耐えていた。
地震が収まると、アランもようやく立ち上がれるようになったみたいだ。
「凄い魔法だ。未だに少し頭がクラクラする。」
「ねぇ、さっき草を埋めたのとは違うみたいだけど?」
「同じにしたら多分アランさんは、今頃地面の中だよ?」
俺がそう言うと、アランがブルリと震えた。きっとその状態を想像したのだろう。
「でも、この魔法なら敵を行動不能に出来そうだな。」
「シュウ君、今度一緒に依頼を受けようよ!」
「馬鹿なこと言うな。シュウはまだGランクだぞ?」
「だってぇ~」
「だってもくそも無い。無理を言うなって言ってんだ。」
「ぶぅ~」
相変わらずの2人だ。そしてエレンは可愛い。
「まぁ、機会が有れば、その時はお願いします。」
「約束だよ!」
「はい。」
「よし、良い経験させてくれたお礼に、何か食ってくか?」
「本当ですか! やった……いや、やっぱり止めておきます。」
「えぇ~! 良いじゃない行こうよ~!」
「後でローザにバレたら怖……いえ、悪いですし、孤児院出てからのお楽しみに取っておきます。」
「そ、そうか。」
「し、しかたないよね。」
「そう言うことなので、俺はこのまま帰ります。」
「うん、シュウ君ばいばい~」
「またな。」
アラン達と別れ、俺は孤児院に帰ることにした。
もちろんその後のことは察してくれると助かる。早く孤児院を出たいな……シクシクシク……




