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037 複数依頼


次の日になり、俺は一人で冒険者ギルドへとやってきていた。

ミーナ達からは一緒に行こうってお誘いが有ったのだが、暫くは一人で良いと思ったので断ったからだ。


今、掲示板の前で依頼を探している最中だ。

ローザも居なくなったことだし、自重しないで依頼を受けても良いのかもしれない。

さっさとランクを上げて、街の外での依頼を受けてみたいしな。



「おっ、コイツを受けてみるか。」



俺が選んだの庭の草むしりだ。しかも5拠点分も有るから、一気に5回分の依頼が完了するしな。

それに俺にはアークシェイクのスキルが有るし、その存在自体もバレているので、問題無く使うことが出来るしな。

俺は全部の草むしり依頼を取って受付カウンターへと向かうことにした。



「次の方どうぞ。」


「この依頼をお願いします。」


「あら、シュウ君一人? ローザちゃんは?」


「ローザちゃんは、帝都に行くことになったから一人だよ。」


「帝都に? 何か買い物とか?」


「違う違う、ローザちゃんが光魔法が使えるようになったから、癒し人だっけ? それの修行だってさ。」


「そうなんだ。ローザちゃんって凄いわね。」


「そうだね。」


「じゃあ頑張るシュウ君のために依頼の処理をしちゃいましょうか。

 ……あら? シュウ君、こんなに依頼を持ってきちゃ駄目でしょ?」


「えっ? 依頼って複数同時に受けたら駄目なんですか?」


「受けること自体は問題ないけれど、これ全部草むしりの依頼でしょ? どう見ても1日や2日で終わる量じゃないでしょ?

 依頼者はもちろんのこと、同じ依頼を受けたい他の冒険者達の迷惑になるんだから、こう言うことはしちゃ駄目よ?」


「あの、この依頼が1日で終わらせられるとしてもですか?」


「シュウ君、もしかして孤児院の子供達を集めて仕事をさせるつもりなら止めておきなさい。それは冒険者として失格よ?」


「いえ、一応1人でやるつもりです。」


「この量は1人で終わる量じゃないでしょ? いい加減に怒るわよ!」



もう半分ほど怒ってるじゃん。言わないけど。

そんな俺の態度を見てイザベルがため息をついた。



「そこまで言うのなら、まずは2つの依頼をこなしてみなさい。

 午前中に終わらせられたのなら、シュウ君の言ってることを信じましょう。」


「わかりました。」


「受付するから、ギルドカードを出してちょうだい。」


「はい。」



俺はカードをイザベルへと渡して手続きをしてもらった。



「これが地図よ。行ってらっしゃい。」


「行ってきます。」



やっぱり少し怒っているせいかツンツンしていると言うか、口数が少なかったな。

まあいい、キチンと出来る証明さえ出来れば良いんだ。頑張るぞ~!!

まずは最初の依頼を受けに行きますか。


目的の場所に到着した。さっそく呼び出してみることにした。


コンコン。


少しして扉が開いた。少しお年を召した男性の老人だった。



「どちらさんかの?」


「冒険者ギルドの依頼でやってきました。こちらが依頼票です。」


「おぉ! 待っておったよ。助かった。」


「では草刈りする場所を教えてください。」


「そうじゃそうじゃ、今度息子夫婦が裏に家を建てることになっての。そこの草むしりをお願いしたいんじゃ。

 本当ならワシがやりたかったんじゃが、この腰じゃ辛くてのぉ。仕方なく頼むことにしたんじゃ。」


「そうだったんですね。なら頑張らないと!」


「ここじゃ。」



案内された場所は結構広い庭だった。もちろん依頼に出すくらいだから草ボウボウだ。



「家を建てる部分、ほれあそこの杭で囲っている部分だけ毟ってくれれば良いからの。終わったら声を掛けておくれ。」


「はい。じゃあ直ぐに終わりますんで待っててください。」


「それじゃ、頼んだよ。」



そう言うと老人がその場を後にしようとしたので呼び止めることにしました。



「あの!」


「どうしたんじゃ?」


「先ほども言いましたが、直ぐに終わるので待ってて貰って良いですか?」


「? じゃから家で待っておると言ったのじゃが?」



上手く理解してもらえないが、まあ良い。ちゃっちゃと終わらせれば分かってもらえるだろう。



「アークシェイク!」



俺が魔法を唱えると、指定された範囲の土がブレ、植わっている草がが沈んでいった。

魔法の効果が切れる頃には草の1本も生えていない地面がそこに有った。



「終わりました。」


「・・・・」



あれ? 老人の反応が無いぞ?

ちらりとそちらを向くと、口を開けたまま固まっていた。



「もしも~し、終わりましたけど~!」


「……はっ! いったい何が!?」


「だから草むしりが終わりましたって言ったんですけど。」


「そうじゃない、聞きたかったのはこの状況じゃよ!」


「俺の魔法で草を沈めました。後々土に変わるだろうし、手間も省けて良いかなって。」


「そんな魔法、聞いたこと無いぞ?」


「そう言われましても使えたんだし、良いんじゃないでしょうか?」


「……そうじゃな。依頼完了じゃな。」



こうして俺はあっさりと1件目の依頼を完了したのだった。



・・・・



「よし! 終わり!」


「……また次が有ったらよろしくね?」



俺はさっさと2件目の依頼も終了させた。ある意味説明に使った時間の方が長かったくらいだ。

時間はまだまだ余裕が有るし、さっさと報告に行くことにしよう。


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― 新着の感想 ―
[一言] 「そこまで言うのなら、まずは2つの依頼をこなしてみなさい。午前中に終わらせられたのなら、シュウ君の言ってることを信じましょう。」 一応二件の草むしり処理終わったら報告し、「後のは、する気が…
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