033 引き続き調べもの
2日連続で、俺は冒険者ギルドの図書室へと1人でやってきた。
ローザ? 今日は図書室に行くって話をした時点で孤児院に残ってますが何か?
とりあえず図書室に入るための手続きを行うことにした。
「こんにちは。今日も利用させて下さい。」
挨拶すると共に、俺のギルドカードを司書さんへと渡した。
「あら、こんにちは。今日も調べものでしょうか?」
「はい。今日は魔法について調べてみようと思いまして。」
「魔法に興味があるのでしょうか?」
「まぁ、そんな感じですね。」
「ガッカリさせるのもアレなので、言っておきますが、魔法を使うには才能が必要であって、それが無い人は使うことが出来ないのですが、大丈夫でしょうか?」
「あ、はい。その辺の話は孤児院長から聞いているので大丈夫です。それに一応魔法は使えますので。
なので、どちらかと言うと他に使える魔法が増やせないかを調べてみようかと思ってます。」
「そうだったんですね。では、どの様な魔法を知りたいのでしょうか?」
「まずは魔法に関する基本的な物が有れば読んでみたいです。後は光魔法とかですかね?」
「わかりました。」
司書さんがそう言うと、少し何かを考えていたが、2冊の本を持って来てくれた。
「希望に添えるかは分かりませんが、こちらの本などは如何でしょうか。」
「とりあえず読んでみようと思います。」
「では、他に何か必要な本が有れば、声を掛けて下さいね。」
「はい。」
俺は本を受け取ると、空いている席に座って読んでみることにした。
まずは『魔法に関する考察』って言う本だ。いや、正確には論文だろうか? とりあえず読んでみることにした。
・・・・
『魔法が使いたいか? そんな君に朗報だ。
この本を最後まで読んでくれれば、ひょっとしたら魔法が使えるようになるかもしれない!
まずは読んでみることをお勧めする。
基本魔法を使うには、スキルに魔法関連のスキルが無いと使えないと言われているが、私はそうは思わない。
何故なら稀にとは言え、スキルが無い人が魔法を使えた実績が有るからだ。そして、その人は魔法が使えたことによりスキルも習得した。
魔法が先かスキルが先かは不明だが、最初は無かったのは間違い無かった。
そこでスキル未所持の人物を対象に実験を行ってみることにした。
まず最初に行ったのは魔法に触れてみることからだった。
何故、そう思ったのかと言うと、後から魔法を習得した人には必ずと言って魔力感知と魔力操作のスキルを持って居たからだ。
水魔法使いに協力を頂き、回復魔法をかけて貰ったが、何も起こらなかった。
次に光魔法の回復魔法も同様だった。聖魔法については使用者が居なかったため確認出来なかったが、後から調べたところ、昔、聖女の魔法で回復した人がいたにもかかわらず聖魔法が発現したって記録は無かったため、回復魔法では魔法は発現できないと思われる。
次に行ったのは攻撃魔法による攻撃だ。死刑囚を対象に火魔法を撃ちこんで貰ったが、黒焦げになってしまったために確認することが出来なかった。
だったら火属性の防具を用意してそれを着せて同様に行ってみた。100人ほど死ぬまで実行してみたのだが、成果は現れなかった。
結果、魔法を受けたからと言って魔法を習得出来ないことが分かったのだ。
次に行った実験は……』
パタン……
「ふぅ~中々読み応えのある本だったな。」
てっきり最初はネタと言うか色物の本かと思ったのだが、結構納得できる内容が書かれていたのだ。
まず注目する点として、後から魔法が使える様になった人には必ず魔力感知と魔力操作を持っているってことだ。
この2つのスキルを習得できるかが、魔法を覚えるためのカギになりそうだ。
まぁ、この本では色々と実験をしていたが、結局魔力感知も魔力操作も習得出来なかったみたいだからな。
次に光魔法の本を読んでみることにした。
此方の本は光魔法の種類と効果。そしてその魔法を発動させるための呪文が書いてあるだけで、特に気になるようなことは書いてなかった。
とりあえずメモだけしておこう。
気が付くと随分と時間が経っていたみたいだ。今日の所は終わりにしよう。
借りた本を司書さんへと返却し、ギルドカードを返してもらったので図書室を出ることにした。
孤児院に戻ってきた俺は、今日調べたことをローザに教えてあげることにした。
今一つピンと来なかったみたいだが、とりあえず魔力感知と魔力操作が必要だと言うことは理解してくれたみたいだ。
ローザはウンウンと唸りながら試行錯誤しているが、俺にも良く分らないものなので、頑張れとしか言いようがないな。




