032 話し合い
孤児院に戻ってきたんだが、すでにローザが帰ってきていた。
どうやら小さい子達のお手伝いをしていたみたいだ。
「あ、シュウ君、お帰り~」
「ただいま。って、依頼を受けに行かなかったのか?」
「うん。だって一人で受けてもつまんないしね。」
「だったら図書室でも来れば良かったのに。」
「うぅ~、シュウ君のイジワルぅ~!」
「・・・・」
いや、別に何もイジワルしてないじゃん。完全な言いがかりである。言わないけど。
「それで、シュウ君は何を調べてきたの?」
「えっ? あ、あぁ、称号についてちょっとな。」
「称号?」
「ギルドカードに称号の項目が有るだろ? それだよ。」
俺がそう言うと、ローザが自分のカードを確認していた。
「ふ~ん。それで称号がどうしたの?」
「例えばだけど、剣術のスキルを身に着けると、称号に剣士が付くみたいなんだよね。」
「そうなんだ。もしかして聖騎士のことも知ってるの?」
「一応調べてはきたんだが、その……」
「どうしたの?」
「どうしても知りたいか?」
「当然じゃない。何で?」
「……諦めることも大事か。えっとな、聖騎士になるには、剣術と盾術、そして光魔法が必要なんだ。」
「そうなんだ。じゃあ頑張らないとね。」
ローザは知りたかったことを教えて貰えたので、ニコニコしていた。
あれ? 落ち込んでない? あぁ、そうか。そう言えばローザは魔法のこと知らないんだっけ。
「あ、あのな。俺も孤児院長から聞いた話だから何処までが正確なのかは分からないが、基本、魔法関係のスキルって生まれた時にしか習得できないんだってさ。」
「そうなの? でもアンナちゃんやシュウ君は後から習得したじゃない。だったら大丈夫じゃないの?」
「確かに稀に後から習得する人も居るって言ってはいたけどね。でも、本当に稀らしいよ?」
「ん~多分何とかなるよ! だって身近で2人も出ているんだもん、きった大丈夫だよ!」
「そ、そうかもね。」
と言ったは良いが、俺のはズルだし、アンナはもともと持っていたからなぁ……どうなることやら。
「ちなみに、剣術と盾術だけだと騎士になるみたいだぞ。」
「ふ~ん。」
どうやら騎士には興味が無いみたいだ。
「えぃ! やぁ!」
突然ローザが両手を前に出して掛け声を上げていた。
「何をやってるんだ?」
「え? 何って、魔法だよ?」
「そ、そうか。頑張れよ。」
「うん!」
まぁ、ローザに才能が有るかどうかは分からないが、頑張れ!
俺はその場を離れることにした。
「あ、シュウ君待って!」
「何?」
「参考にだけど魔法ってどうやって発動させてるの?」
「う~ん。」
正直言って良く分らない。普通魔法ってどうやって発動させているんだ? 呪文とかって有るのだろうか?
俺の場合は想像したものを創造して発動しているからな。あえて言うなら想像、カッコ良く言えばインスピレーションが大事なんだろうか?
「あれ? ローザちゃんはアンナちゃんの魔法を受けたんだろ? その時どうだったんだ?」
「あの時は気絶していたから分かんないよ。」
「そりゃそうか。一応教えるけど参考なるかは分からないぞ?」
「うん。」
「俺の場合は、想像力だ。」
「想像力?」
「あーしたい、こーしたいって結果を頭の中で考えるんだ。そしたら発動したな。」
「ふ~ん。想像かぁ~
例えばだけどさ、光魔法ってどんな魔法なの?」
「さあ?」
「知らないの?」
「うん。知らない。ローザちゃんは?」
「私も知らないかな。調べてきては……」
「……その内にな。」
「うん! お願いね!!」
自分で調べると言うことはしたくないみたいだ。良いけどね。
でも、聖騎士としてそれで良いのだろうか?




