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300 家探し


リーデルの街に到着した。



「それで、アランさんは何処か当てとか有るんですか?」


「とりあえず冒険者ギルドに行ってみるか。」


「そうだね。」



とりあえず冒険者ギルドへ向かうことにした。もちろん向かった場所はイザベルさんの所だ。



「次の方どうぞ……って、アランとシュウ君? 2人ともずいぶんと久しぶりじゃない。エレンはどうしたのよ。」


「やぁ、ちょっとイザベルに相談が有って来たんだ。エレンは今、実家に居る。」


「へぇ~実家にねぇ……って、実家!?」


「まぁ、色々と有ってな。」


「エレンが1人で実家に……もしかしてあなた達、別れたの? もしかして私にもチャンスが!?」


「別れてないぞ。」


「えっ? だって、エレンの実家って……」


「訳わけ合ってちょっと俺達だけが戻ってきただけで、用事が済んだらすぐに向かうぞ。」


「残念ね。でも、向かうと言っても1ヶ月は掛かるでしょうに。大丈夫なの?」


「気にするな。」



今の会話からすると、イザベルさんってアランさんのことが好きだったのかな?

確かに昔から知り合いだったみたいだし、アランさんはカッコいいから分からなくも無いけどな。



「まあ良いわ。で、相談って何よ。」


「実は家を探しているんだが、冒険者ギルドでお勧めの家とかって無いか?」


「アラン、もしかして家を買うの? お金とか大丈夫?」


「まぁな。ガンガルの街でだいぶ稼がせてもらったからな。ある程度の余裕は有るぞ。」


「ふ~ん。まあ良いけどね。で、家だっけ? ちょっと調べるから待っててくれる?」


「頼んだ。」



イザベルさんがそう言うと席を外し、小冊子みたいなのを持って戻ってきた。



「今、冒険者ギルドで取り扱っている家は、全部で5件あるみたいね。

 ちなみにアランの予算ってどのくらいあるの?」


「そうだな……無理すれば金貨3枚……いや、4枚だな。」


「ずいぶんとダンジョンで稼いだみたいね。4枚とすると、この辺りがお勧めかしらね。」



イザベルさんが進めてきた家は、大通りから1本奥に入った場所にある家だった。

間取りを確認すると、2階建てで、風呂は無いが3LDKで、部屋数も広さも問題無さそうだ。



「参考に聞きたいが、他の4件ってどんなのだ?」


「えっと、1件はとある貴族の屋敷だった物件で、金貨10枚だから無理でしょ?」


「そうだな。」


「次の1件も貴族の屋敷だった物件なんだけど、そこ事故物件なのよ。実際に幽霊とかも出るって噂も有るし、さすがにね。」


「ちなみに幾らだ?」


「こっちは金貨5枚よ。屋敷の大きさはさっき言った屋敷とほぼ同等ね。部屋数も多いし、お風呂も付いているわ。幽霊さえなければかなりお勧めできるわね。」


「安いが維持管理もできなそうだし、幽霊が何とかなったとしても結局は無理だな。次に行ってくれ。」



幽霊にはちょっと興味が有るが、アランさんの言う通り維持管理が問題だよな。俺も無理だな。



「次の物件は、ちょっと郊外になっちゃうけど、広さ的にはさっき言ったお勧めした物件と同等の広さね。こっちは場所の問題で金貨2枚ね。」


「郊外って何処になるんだ?」


「もちろん郊外って言うくらいだから、街の外よ? もともと畑を作っていた農家の人が住んでいたみたい。

 農業を辞める時に、畑については別の人が引き継いでくれたみたいだけど、家だけは残っちゃったみたいなのよね。」


「そうか。一応候補として考えておこう。」


「そう? アランがそう言うなら別に構わないけど、街の外よ?」


「とりあえず候補だからな。構わない。」


「了解。で、最後の物件だけど……これって物件と言って良いのかしら?」


「どういう意味だ?」


「多分アランも知ってると思うけど、前に火事で燃えた食事処が有ったでしょ? あそこよ。」


「あそこか……さすがにあそこに住むのは無理だな。」


「でしょ? 建物の残骸が残ってるし、撤去して新しく立て直すとしても結構お金が掛かるわね。

 だからかもしれないけど、金貨1枚で売り出されているのよ。」


「場所は良いんだけどな。」


「そうよねぇ~ 場所だけは良いのよね。」


「よし、だいたいのことは分かった。

 後でエレンと相談してどうするかを決めようと思う。」


「分かったわ。でも、他の人が先に購入した場合は諦めてね。基本早いもの順だから。」


「分かってる、ありがとな。また来るよ。」


「本日は冒険者ギルドのご利用ありがとうございました。私、イザベルが対応させて頂きました。

 またのご利用をお待ちしております。」



用事も済んだので、その場を離れようとしたところで、イザベルさんが何かを思い出したのか俺に声を掛けてきた。



「あっ! シュウ君、ちょっと待って!」


「えっ? あ、はい。」


「シュウ君って、前にミーナちゃん達と一緒に家の清掃とお片付けの依頼を受けたよね?」


「えっと……はい。確かに受けましたね。」


「その時の依頼主から、ごみ以外の金属類を返却して欲しいって言われてたのよ。だいぶ前の話なんだけど、返せる……かしら? そうじゃない場合は賠償金としてお金での返却になっちゃうんだけど。」



あっちゃぁ~! やっぱり言われたか。

そりゃあ貴重な金属類も入ってたしな、鉄の一部を加工しちゃったけど、元に戻さないとな。



「大丈夫です。」


「そう? なら依頼主の所に行って返しておいてね。」


「わかりました。」



俺達はイザベルさんと別れると、冒険者ギルドを後にした。



「アランさん、そう言うことなので、ちょっと行ってきます。」


「なら、俺はさっき聞いた家を見てくるか。後で合流するとしよう。合流場所は此処で良いか?」


「わかりました。ではまた後で。」



俺はアランさんと別れ、依頼のあった家へ向かうことにした。


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