298 おめでた
結果が出るのが20日後なことだし、それまで何をやろうかな。
ダンジョンを攻略するのも良いし、何か新しいことに挑戦してみるのも悪くない。悩むな……
「そう言えばアランさん達はどうしたんだろう?」
別れてから3ヶ月経ったし、もしかしたらガンガルの街を出てリーデルの街へ帰っちゃったかもしれないな。
ちょっとミーナに聞きに行ってみよう。
受付部屋へと行くと、カウンターにはミミさんが一人で対応していた。
「あれ? 今日はミミさんが独りなの?」
「そうだぴょん。ミーナは今日はお休みなんだぴょん。」
「そうなんだ。」
「それで、オーナーどうしたんだぴょん?」
「いや、前に俺の知り合いを従業員部屋にってお願いしたじゃん。あの2人は今どうしているか教えてくれる?」
「あの2人なら毎日ダンジョンに行ってるぴょん。毎回、大量のハイオークを狩ってくる凄腕だぴょん。さすがはオーナーの知り合いだぴょん。」
「そっか、まだここに居たんだね。」
挨拶も無しに別れることになったらちょっと寂しいからな。
「よぉ、シュウ!」
そのタイミングでアランさんが帰ってきたみたいだ。
「シュウ君!!」
そしていつものごとく、気配を感じずに突然後ろから抱きしめてきたのは、エレンさんだ。
「相変わらずですね。」
「だって、シュウ君が居たんだもん。」
「エレン、あまり衝撃を与える行動をするな。」
「え~! 大丈夫だよ、これくらい~」
相変わらずの仲良さげな2人だよな。……ん? 衝撃?
「アランさん、何か衝撃を与えたら駄目なレアアイテムでも入手したんですか?」
「違う違う、えっとだな……実はそのことも有って、俺達リーデルの街に帰ることにしたんだ。」
「そ、うですか……残念です。」
「だが、離れていたとしても、シュウならすぐに会いにこれるだろ?」
「はい。そうですね。
それで、帰ることになった理由って何か有ったんですか?」
「それはだな……えっと、その、何だ……」
「実はお腹の中に赤ちゃんが出来たんだよね~♪」
「!? 本当ですか!!」
「うん、本当~♪」
「おめでとうございます!!」
「「ありがとう。」」
そう言えば子供を作る様な話をしていたんだっけな。
「シュウのお陰でだいぶ生活資金も貯まったからな。これで安心して育てられるよ。ありがとな。」
「いえ、俺は大したことは……」
「そんなこと無いよ~、すっごく助かったんだからね! 本当~に、ありがとうだよ♪」
「……はい。」
そう言ってくれて、本当に有難い。これで少しは恩返しが出来たかな?
「じゃあ、ローラさんに報告してから帰るってことですね。」
「まぁ、そう……なるかな?」
「でしたら俺が送りましょうか?」
「えぇ~! シュウ君がお母さんに会ったら、お母さんがまた独り占めしそうで、嫌だなぁ~」
「あはははっ(汗)」
「ん~でも、この体で長距離移動するのもアレだし、お願いしようかな。」
「わかりました。いつでも良いので言って下さいね。」
「じゃあこれから行こっか。こういうのは早い方が良いしね。」
「まぁ、エレンがそう言うなら。」
「とりあえず此処だとアレなので、俺の部屋に行きましょう。」
「わかった。」
「了解~」
「じゃあ、ミミさん。後は宜しくお願いしますね。」
「分かったぴょん。任せるぴょん。」
ミミさんと別れ、自分の部屋に戻ってきた俺達は、そのままローラさんの所へと向かうことにした。




