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297 精霊魔法


「そう言えば、何で妖精のことを知りたかったんだい?」


「あぁ、それはだな……」



俺は何でこの話になったのかを順番に話して行くのだった。



「なるほど、ライス麦ね。君が3ヶ月ほど見かけなかった理由が良く分かったよ。」


「べ、別に良いだろ。宿はフィーネに任せたんだし。」


「まぁね。で、さっきのゴーレムの話だが目途は立ったのかい?」


「いや? 単に知りたかったから聞きに来ただけだぞ。」


「そうか。もしかしたら良い案が出せるかもしれないよ。」


「本当か!」


「もちろんだとも、先ほどの話にも出ていたが、土の精霊にお願いすれば、自立したゴーレムが作れるかもしれないね。」


「土の精霊か……」



そうするとエルフを探す必要が有るってことか。残念だ。

せめて俺にも精霊魔法が使えれば……あっ!


-----------------------------------------

名前 :シュウ

年齢 :8

種族 :神族

状態 :普通


LV :12

HP :153/153

MP :278/278


STR:30

VIT:25

AGI:36

INT:45

DEX:27

LUK:99999


スキル:

創造魔法、全属性魔法、召喚魔法、転移魔法、精霊魔法、魔力制御、アイテムボックス(改)、完全無効、状況認知(改2)、思考制御、言語理解、偽装、オート狙撃(改2)、錬金術、剣術、以心伝心、AIナビ(大佐)、オートマッピング、伐採、木工、付与魔法、プログラミング(BASIC)


称号 :異世界転生者、狙撃手、クッキングマシーン、二級建築士、糸使い

-----------------------------------------


やっぱりと言うか、案の定と言うか、精霊魔法を覚えていた。どうりで突然周りに浮遊している色んな色の丸い光る玉が見えるようになった訳だ。

どうやらこの視覚情報はON/OFFが行えるらしく、少々うざったいので通常はOFFにしておくことにした。



「どうしたんだい?」



俺が黙ったまま考え込んだため、フィーネが聞いてきた。

正確には考え込んだ訳じゃなくて、ステータスを確認していただけなんだけどね。



「いや悪い! ちょっと急用が出来た。また後でな。」


「ちょ! 待っ……」



俺は転移魔法で水田へと飛ぶのだった。



「さて、やるか!」



水田に到着した俺は、さっそくゴーレムを作ってみることにした。

とりあえず効率的な姿が想像出来なかったので、色んな作業を兼用しやすいように人型にするつもりだ。



「ゴーレム製作!」



現れたゴーレムは人型だが、狭い場所でも活動出来る様にと、見た目は棒人間だ。

物を掴んだりする関係上、指は5本有るが、細かい複雑な作業も行える様にワイヤーにしてみた。これで逆関節もオッケーだ。

一通り命令してみて、動きに問題が無いことが分かったので、次の段階に進むことにする。



「精霊魔法!」



土精霊を呼び出して、ゴーレムへと付与魔法で付与してみた。



「成功か?」


「・・・・」



へんじはない。たんなるしかばねのようだ……じゃなくて、精霊だから話せないだけだろう。



「右手を上げて。」



俺が命令すると、ゴーレムの右手が上がる。だが、これなら今までのゴーレムでも出来た話だ。



「もっと複雑で曖昧な命令じゃないと意味が無いよな。」



かと言って、どう命令すれば良いのか分からない。

……そうだ! 試しに米作りをやらせてみよう。



「じゃあ、このライス麦の籾を使って収穫までお願いする。

 やり方だが、この籾を等間隔に畑に植えてから水をやりをして……」



俺は一通りの作業をゴーレムへと説明してみた。これで出来れば良いんだけどな。



「じゃあやって見てくれ。」



俺が籾を一つかみ渡すと、ゴーレムはそれを受け取り、作業を開始した。

ゴーレムは俺が言った通りの作業をちゃんとしてくれるみたいだ。説明する必要が有るとは言え、これならばプログラムするより楽だな。

後は20日後にどうなっているかだな。まぁ、失敗したとしても全然構わないし、様子をみることにしよう。



「じゃあ、後は任せた。」



俺がそう言って帰ろうとしたら、ゴーレムが何か身振り手振りで何かを伝えてきた。



「どうした?」



俺が質問すると、ゴーレムが踊りを踊り、その後にお腹に手を当てた。



「えっと、どういう意味だ?」



俺がそう言うと、もう一度ゴーレムが動き出し、お腹を押さえた後に倒れこむと動かなくなった。



「ひょっとして、動いた後はお腹が空いて動けなくなるってことか?」



俺がそう言うと、ゴーレムはコクコクと頷いた。



「すげー! 命令以外にも、ここまで自己表現が出来るんだ。」



思ってた以上の人間らしさに、ちょっとだけ感動したのは言うまでもない。



「それでお腹が空いた場合だが、どうすれば良いんだ?」



俺がそう言うと、ゴーレムが俺に触れると魔力を流し始めた。



「なるほど、魔力が必要なんだな。」



ゴーレムはコクコクと頷いた。



「どのくらい必要なんだ?」



するとゴーレムが指を使って何かを説明しているのだが、身振り手振りだと今一つ理解できない。



「あ、そうだ!」



俺はゴーレムに触れると、以心伝心を発動させた。



「もう一度聞く、どのくらい魔力が必要なんだ?」


(1日、1魔力)



おぉ! 会話が出来た。それにしても1日1MPってことは、ゴーレムってかなりの高燃費なんだな。



「魔力が無くなるとどうなる?」


(自然界へ帰る。)


「自然界と言うと、その辺で漂っている光の玉に戻るってことか?)


(うん。)


「なるほどね。ちなみに最大でどのくらいまで貯められるんだ?」


(どれだけでも。)


「限度は無しか。参考に聞くが、MPが残ってても自然界に帰ることは可能か?」


(可能。)


「じゃあとりあえず、ライス麦が収穫できる20日+10日の30MPを送っておくか。」



俺はゴーレムに30MPを送っっておいた。



「これでよしと。途中で確認したら実験の意味が無いからな。次に来るのは20日後だが、後は宜しくな。」


(うん。)



とりあえずやることはやったので、俺は宿に戻るのだった。


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