281 雑談
朝になり目が覚めた。
昨日は誰にも顔を合わせたくなかったので、自分の部屋に直接転移した後は、そのまま寝てしまっていたのだ。
起きたばかりにも係わらず、今日は少し体が疲れている。精神的な疲労だろうか。
「この前も休んだばっかりなんだけどな。」
まぁ、無理をしてもロクなことにならないだろうし、今日は休むことにした。
部屋を出てカウンターの部屋へ行くと、ミーナさんが1人でお客を相手に対応していた。
「あ、オーナーにゃ! 良いところに来たのにゃ! 手伝って欲しいのにゃ!!」
「……了解。」
俺はミーナさんを手伝うことにした。
客の相手を何とかこなし、ようやく客を掃けたところで、一息つくことにした。
「助かったのにゃ。ありがとうなのにゃ。」
「どういたしまして。今日はミミさんは休みなのか。」
「そうにゃ。お陰で1人で対応するから大変なのにゃ。」
「……人手が足りないのなら、もっと従業員を増やした方が良いか?」
「う~ん、どうかにゃ。交代要員も居るし、今のところは大丈夫にゃ。」
「そっか。」
「何でそんなことを聞いたのかにゃ?」
「実は孤児院の幼馴染が、この宿で働きたいって言ってきたんだよ。
まぁ、孤児院長の許可が貰えなかったから、来るとしても当分は先の話だけどな。」
「そう言えばオーナーは、孤児院出身だったにゃ。」
「そうだけど、もしかしてオーナーが孤児だと駄目だったりするのか?」
「そんなことは関係ないにゃ。ただ、オーナーは、前にも言ったけど孤児らしく無いからそう思っただけにゃ。」
「前にも誰かにもそんなこと言われたっけな。そんなに俺って孤児らしく無いのか?」
「そうにゃ。」
「そうか。」
孤児らしいってのがどういうのか良く分かって無いが、他から見ればそうなんだろうな。
「そうそう、ミーニャさん。」
「にゃ!? 誰にゃ? もしかしてウチのことかにゃ?」
「やっぱりそうなるよな。いやさ、ここで働きたいって言ってた子の1人の名前がミーナって言うんだけど、ミーナさんと名前が被るんだよね。
別の子が区別するのに、ミーニャってどうかな? って言ってたから呼んでみたんだけど、やっぱり駄目だよね。」
「にゃ~……オーナーは、ウチの名前を変えて欲しいのかにゃ?」
「いや、親からもらった名前だろうし、勝手に変えるつもりは無いよ。」
「良かったのにゃ。実はこの名前は結構気に入ってるのにゃ。出来れば変えたくないのにゃ。」
「だよね。まぁ、先の話だけど、本当に来るのなら何かしら考えておかないとな。」
「だったら、ウチのことはハニーで良いにゃ! オーナー結婚するのにゃ!」
「お断りします。」
「ガーン、なのにゃ。」
「いや、さすがに年齢差が有りすぎるだろ。と言うか、孤児院のミーナと同じ発想だな。さすがは同じ名前をしているだけはあるな。」
「名前は関係ないのにゃ! だけど、オーナーのお嫁さんなら悠々自適な生活が遅れると思ったのに残念だにゃ。」
「それについては諦めてくれ。じゃあ、そろそろ俺は行くとするよ。」
「助かったのにゃ。ありがとうなのにゃ。」
「おう。」
俺はミーナさんと別れると、別の場所へと移動することにした。




