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028 理由


朝目が覚めたのだが、何か力が入らない。



「風邪か? いや、そもそも俺って病気になるのか?」



何しろ俺は状態異常無効のスキルを持っているからな。まぁ、風邪が状態異常に入るのかどうかは知らんがな。

もしかしたら風邪ではなく、心からくる症状なのかもしれない。まあいいや、今日の所は体調不良ってことでお休みにさせて貰おう。

と言うことでおやすみなさい……



「……くん。」



ん? 何だ?



「……ウ君。」



うっせーなぁ! こっちはヤンデレ被害で疲れて眠いんだ。勘弁してくれ~



「シュウ君!」


「はいいいぃぃ~~~!!」



俺は耳元で大きな声を出された驚きで飛び起きた。



「やっと起きた。」


「えっと、ローザちゃん?」


「ほら、今日も依頼受けに行くよ~」


「……パス。」



俺は布団をかぶって寝ようとする。



「ちょ、ちょっと寝ないでよ~!」


「うっせーなぁ、調子悪いんだから寝かせてくれよ。」



俺がそう言うと、ローザが俺のおでこに手を置いた。



「熱ないよ?」


「体がだるいんだよ。」


「シスター呼んでこようか?」


「いい、寝てれば治る。」


「そっか。」



それ以上ローザも何も言わなかったので、俺は再び眠ることにした。



・・・・



「ふわぁ~、良く寝た。」



お昼近くまで寝たからか、体はすっかりと元気になったみたいだ。

さてと、そろそろ起きるとしますかね。



「あれ?」



ふと、端っこに頭を乗せてローザが寝ているのが見えた。

もしかして看病してくれていたのだろうか? 今は看病で疲れたのかグッスリと眠っているみたいだ。

それにしても、こうして改めて見て見ても、やっぱりローザは可愛いと思う。あの性格じゃなければ最高なのになぁ……



「ん……あれ? シュウ君?」



そんなことを考えていたら、ローザも目を覚ましたみたいだ。



「体、大丈夫?」


「ひと眠りしたら、随分と良くなったよ。」


「よかった~」



本気で心配してくれていたのか、ホッとした顔をしていた。そんな様子を見て何か少しだけ罪悪感が……

そうだな、今までもずっと仲良しでやってきたんだし、多少(?)問題があったとしてもローザは俺の大事な友達だ。邪険にするのはやめておこう。



「よし! ローザちゃん、少し散歩にでも行かないか?」


「うん、行く行く~!」



俺達は一緒に街へ繰り出すことにした。

ニコニコしながら一緒に歩いているのを見ると、ホントいつものローザだよな。とりあえず嫌い、別れる等のキーワードさえ言わなければきっと大丈夫だろう。

その内他に気になる異性でも現れれば、そっちに行くかもしれないしな。



「おっ、串肉売ってる。旨そうだなぁ~」


「そうだね~」


「まぁ、お金持ってないから食べられないけどね。」


「・・・・」



ふと、ローザは頑なに規則を破ろうとしないよな、何でだろう?



「なぁ、ひとつ聞いても良いか?」


「いいよ、何かな?」


「何でローザは真面目と言うか、稼いだお金はキチンと孤児院に納めているよね。

 他の子達で買い食いしている人もいるってのに、何でローザちゃんは駄目なの?」


「孤児院に育てて貰っているのだからお礼を返すのは必要でしょ? それに悪いことをする人は天罰が当たるんだよ?」


「確かに教会の教えにそんな内容があるのは聞いたから知ってるけどさ。

 でも、他の子で実際に買い食いとかやっているにも係わらず、天罰が下ったって話は聞いたこと無いけど?」


「天罰は悪さを蓄積していって、一気に落とされるんだよ?

 今は良いかもしれないけど、後々きっと後悔することになると思う。」


「そっか。」



とりあえずローザが真面目な理由は孤児院へのお返しと、天罰を避けるためって理由らしい。実際天罰が落ちるかどうかは知らんけどね。



「それにね。」


「うん?」



まだ何か続きがあるみたいだ。



「アンナちゃんは、きっと聖女様になると思うんだ。」


「そうかもな。」



隠されているだけで、実際すでになっているけどね。



「だから私は、そんなアンナちゃんを守るための聖騎士になりたいの。」


「だから悪いことは出来ないってことか。」


「うん。」



確かに聖騎士って言うとそんな感じの性格をしてそうだな。



「そっか、頑張れよ。」


「何言ってるのよ、シュウ君も一緒だよ?」


「えっ? 俺もなの?」


「うん!」


「んー、とりあえず俺は聖騎士は良いや。」


「え~!!」



アンナとは約束したから一緒に居るのは構わないが、聖騎士みたいな堅苦しそうな職業は俺には会わない気がする。

もちろん勇者なんかもお断りだ。どちらかと言えば、魔法剣士とか、賢者の方が憧れるし。



「例え聖騎士にならなくても守ることは出来るだろ?」


「それはそうだけど……」


「アンナは俺達の所に帰って来るって約束したし、ローザも一緒に居るってことで、今はこれで勘弁な。」


「うぅ~」



少し不満が有るみたいだが、とりあえず言い返さないと言うことは、100%満足とはならなくても何かしら納得したのだろう。

ま、色々とローザのことを理解出来たのは本当に良かったな。確かにあの性格なら聖騎士にも合っているだろうし、納得だな。

その後はフラフラと街中をウィンドウショッピングをして楽しむのだった。


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