275 洗濯場作り
朝になり目が覚めた。今日も良い天気だ。
外は見えないから実際は知らんけどな(笑)
「……そう言えば、ここ最近は外に出た記憶が無いな。」
人は日光を浴びないと病気になると言われているし、洗濯場を作ったら一度外にでも行ってこようと思う。
「そう言えば他の従業員とかって、その辺は大丈夫なのだろうか。」
後で聞いてみることにしよう。
俺は、朝食を食べるために、食堂へと向かうことにした。
食堂は相変わらずの混雑だ。まぁ、今から冒険に出るための力を付けなきゃいけないだろうし、こればっかりは仕方が無いよな。
俺は空いている席に座り、給仕をしていたヘレンさんに声を掛けることにした。
「ヘレンさん、朝食をお願いしたいんだけど、良いかな?」
「おう、良いぜ。何にするんだ?」
「Bランチを頼むよ。」
「はいよ、Bランチ一丁~!」
相変わらずヘレンさんは威勢が良いな。病気とは縁が無さそうな感じだ。
「っと忘れるところだった。ヘレンさん、ちょっと良い?」
「忙しいから少しだけだぞ。」
「えっと、日光って浴びてる?」
「はぁ? いきなりどうしたってんだよ。」
「いや、人間って定期的に日光を浴びなきゃ病気になるって言われてるからさ、ダンジョンに籠りっぱなしになってないか心配してたんだよ。」
「そう言うことかよ、大丈夫だ。営業時間外は街とかに行ってるから問題ねーぜ。他の連中もそうみたいだから大丈夫だと思うぜ。」
「そっか。それならば良かったよ。」
「じゃあアタイは行くぜ……っと、料理が出来たみたいだ。ちょっと待ってな。」
ヘレンさんが出来た料理を持って戻ってきた。
「ほらよ。」
「ありがとう。仕事頑張ってね。」
「まかせときな。」
ヘレンさんが仕事に戻ったの朝食を頂くことにした。
・・・・
食事が終わったので、予定通りに洗濯場作りへ向かうことにした。
洗濯場は、従業員用風呂場の隣に作ることにした。
「さて、ちゃっちゃと作っちゃいますかね。」
まずはレナさんの希望通りに洗濯をするための台から作ることにした。
「どんな台が良いんだろう?」
あまり高いと力が入れにくいだろうからレナさんの腰くらいの高さにしておこう。
大きさは幅2m、奥行き1mも有れば十分かな? 少しだけ傾斜を付けて、お湯が排水溝へと流れる仕組みにした。
後はお湯をどういう風に流すのが良いのかだが、良く分からないので、台半分を一気に洗い流せる可動式の蛇口を用意した。
半分にした理由は洗う場所とすすぐ場所を分けるためだ。
蛇口からは、大量のお湯から水道の蛇口程度のお湯まで流す量を選べるようにし、流水かシャワーにするかを切り替えられるようにした。
もちろんプログラムを使って、お湯と水の切り替えと放出オンオフ機能も搭載だ。
使わないかもしれないが、一応バケツも用意しておこう。
一応、この洗濯台は、2つ用意しておいた。これで人数が増えても大丈夫だし、別の作業も平行で行えるしな。
後は濯ぎ用の窯も用意した。この窯は常に水が湧き出る様にして、いつでも綺麗な状態を保てるようにしておいた。
「さて、後は洗濯機の開発だな。」
これについては、基本ゴーレムと付与魔法のプログラム任せで、見た目は、シーツも洗えるサイズのドラム式洗濯機だ。
洗濯物と必要に応じて洗剤等を入れてスタートボタンを押すと、適度の量のお湯が降り注ぎドラムが回転を始める。5分毎に回転方向を反転させ、30分経つとドラム内の汚水が排出され、次に濯ぎが始まる。
濯ぎは、お湯を垂れ流しになる以外は洗濯と同様で、5分毎の回転方向を反転させる仕組みは一緒だ。その後は高速回転をすることで脱水される仕様だ。
「どうせなら乾燥機能も付けておくか。」
仕組みは同じで、今度はお湯の代わりに温風が出る仕組みだ。ドラムの動作は以下同文である。
「……そう言えば、毛布やシーツの乾燥ってどうやってたんだろう?」
ダンジョン内は日の光が入らないから室内干しか? でも干しているのを見たことが無かったよな。
と言うことは、ダンジョンの外まで運んでいた!? 濡れたシーツを担いであの階段を登るとなると、かなりの重労働になりそうだ。レナさんゴメンよ……
とりあえず乾燥器付きドラム式洗濯機は、壁一面に8台設置しておいた。これで大量の洗濯が出ても問題無いだろう。
最初の1台を作るのはそれなりに苦労したけれど、残りの7台は単純にコピー作業だから、それほど苦労しなかったとだけ言っておく。
「よし、完成だ。」
何だかんだで結構満足できる出来具合で、ホクホク顔だ。
それにしてもダンジョンを掘るのも、ゴーレムを作るのもずいぶんと慣れたよな。
この程度の製作なら、半日程度で終わってしまうのも正直驚きだ。まぁ、早いに越したことは良いんだけどね。
とりあえず、これで洗い場は完成で良いだろう。後でレナさんに確認して貰おう。




