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271 差し入れ


カウンターの部屋まで戻ってきた。



「2人共、ちょっと良い?」


「どうしたにゃ?」


「ぴょん?」


「ミーナさんと、ミミさんは肉とかって食べられる?」


「大丈夫にゃ!」


「私も大丈夫ぴょん。」


「それなら良かった。さっきのお礼で作ってきたから食べてみてよ。」



俺は手に持ったカツサンドもどきを2人へと渡した。



「何かにゃ? 良い匂いがするにゃ!」


「美味しそうぴょん。」



2人はさっそくカツサンドもどきを戴くみたいだ。



「みやあああぁぁぁ~~! 美味しいにゃ! 最高にゃ!!」


「美味しいぴょん。初めて食べたぴょん!!」



2人は、あっという間にカツサンドもどきを食べ終えたのだった。



「喜んでくれたみたいで良かったよ。最初ミミさんは肉系が食べられないかもしれないと思ってたからね。」


「どうしてそう思ったぴょん?」


「いや、ウサギって草食系のイメージが有ったからさ。」


「そんなこと無いぴょん。みんなと同じく何でも食べられるぴょん。」


「そうみたいだね。また差し入れすることになっても食材を気にしなくて良いから助かったよ。」


「また差し入れしてくれるにゃ?」


「嬉しいぴょん!」



こんなにも喜ぶ2人が見れたことだし、また差し入れをしてあげよう。俺は心に誓うのだった。

その後、2人と別れると、お風呂に入って、明日のためにもさっさと眠ることにする。



「ん? 何だ君か。」



カウンターの部屋を出ると、フィーネと出会った。



「何だかいい匂いがするね。」



俺に近づくとスンスンと匂いを嗅いでいる。



「ひょっとして、僕への差し入れかな?」



フィーネが期待を込めた瞳で俺を見ているが、残念なことに在庫は無いのだ。



「すまん。フィーネの分は無い。」


「何と! まさか仲間外れとは……ここまで嫌われていたとは思わなかったよ。」


「ち、違う! さっきハウスさん達と新作料理を作ったから、その匂いが付いただけだから! 全然、嫌って無いから!!」



正確には1人で作ったけどね。



「そうなのかい? なら食堂に行くと食べられるってことかな?」


「どうだろう? 一応ハウスさんが試験的に作ると思うけど、食堂で食べたら他の冒険者に何か言われるかもな。」


「ふむ、確かにこんな匂いをさせていたら、すでに暴動が起きているかもしれないね。

 一度確認しに行ってみるとしようか。」


「えっ? 暴動が起きるのか?」


「さあ? まぁ、起きていてもおかしくは無いとは思っているが、どうだろうね。」


「……さぁて、明日も早いことだし、俺は風呂に入って寝ようかな。」



ガシッ!



その場から逃げようとしたのだが、フィーネに肩を掴まれてしまった。



「何処に行くんだい?」


「だ、だから、部屋に戻って、ね、寝ようかと。」


「ちょっと僕と一緒に食堂へ行かないか?」


「え、遠慮します。」


「まぁ、そう言わずに、ちょっと付き合ってくれたまえ。」


「いやああぁぁぁ~~~!!」



俺は強制的に食堂へと連れていかれるのだった。

案の定、食堂では暴動(?)が起きており、俺はひたすらカツサンドもどきを作らされることになったのだったのは言うまでも無かった。


さすがに白パンでの提供はしたくなかったので、大量に余っていた黒パンを使ってみたのだが、それでも好評だったのは幸いだった。

正直に言うと、オーク肉の数が少なくて良かった……本当に良かった……(涙)


何とか作り終わって部屋に戻って来れた俺は、風呂に入る気力が無くなったので、そのままベッドに入って眠るのだった。

おやすみなさい……


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