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265/402

265 トラップは


ショックを受けた俺は、何となく精神的にも疲れたので、とりあえずその日は冒険を諦めることにした。

ミーナさんとミミさんに恨みのこもった目で見られたが、お金を貰って従業員をしているのだから、諦めて頑張って欲しい。


次の日になり、気分的にも復活した俺は、再び地下7階へとやってきた。



「確かこの辺だったよな。」



例の矢トラップの所へとやってきていた。何故ここに来たのかと言うと、ちょっとした実験をしたかったからだ。

ち、違うぞ! もう矢を集めるつもりは全くないぞ!



「さ、さて、始めるとしますか。」



俺は状況把握を発動させた。今までは魔物だけに対してしか発動させていなかったが、トラップに対しても反応するように意識を変えてみたのだ。

何しろ昨日は、トラップについてだいぶ認知させたからな(汗) 何となく出来る気がしたのだ。



「おぉ! 分かる、俺にも分かるぞ!」



どこかで聞いたようなセリフだが、矢トラップに関しては本当に分かるようになったのは、正直有難い。

他に違うタイプのトラップが有ったとしてもそれを認知して行けば、最終的には全てのトラップにも対応できるようになっているだろう。


俺は気分よくダンジョンを攻略するのだった。




カチッ。……パカッ!



「うわあああぁぁぁ~~~~!!」



俺は落とし穴トラップに引っかかったのだった。くそっ!




・・・・




「ひどい目に有ったぜ。」



どうやら俺は、トラップに引っかかって認知したものしかトラップを発見出来ないらしい。

いくらトラップを調べても認知することは出来ず、結局落とし穴トラップも20回程落ちることで、何とか認知出来たのだ。3万回も落ちなくて良かった……本当に良かった(涙)


ただ、幸いなことに、同じ種類で違うタイプの落とし穴(穴の中に剣山や毒沼等)や、毒矢や毒ガス、槍等の飛び出す系のトラップにも対応出来たのは、正直嬉しかった。

これで俺が知らないトラップは、おそらく魔法発動型だけだろう。


設置型トラップが認知出来たので、じっくりと地下7階を攻略して行こうと思う。

とは言っても、まだ8分の1も終わって無いんだけどな……(遠い目)

気を取り直して通路を進んで行くと、前に3つの反応が有った。



「ちゃっちゃと倒しちゃいますか。」



丁度その先の曲がり角で待ち構えているみたいだが、ふふふっ、それで隠れているつもりなのかい?

俺は曲がり角の直前で急ダッシュをかまして攻撃を仕掛けた。



「待て待て待て!」


「えっ?」



声を掛けられたので攻撃を急停止するが、若干遅かったらしい。


スパッ!


相手の構えていた剣が途中から綺麗に2つへと切れてしまった。



「お、俺の剣が!?」


「す、すいません!! てっきりハイオークの集団と思って攻撃しちゃいました。」



俺が謝るが、剣を切られた男性冒険者はそれを見て呆然としていた。



「こっちこそ曲がり角で待ち構えていた訳だし、私達も悪かったわ。」



呆然としている男性の代わりに仲間の女性が声を掛けてきた。

盾を持っているってことは、この人がタンクなのかな?



「いえ、ちゃんと確認しないで切りかかった俺が悪いんです。」


「えっと、その前に確認なんだけど、君って子供……で良いのかな? ホビット族にしては耳の特徴が無いし……」


「はい。そうです。」


「こんなところにソロで子供が……何だか自信なくしちゃうわね。」


「その子、子供だけどかなり強いと思う。」



そこにもう一人の女性が声を掛けてきた。この女性は弓を持って短剣を腰からぶら下げているから、おそらくスカウトなのだろう。



「どうしてそう思ったの?」


「勘。それにここでソロで居るくらいだから弱い訳が無い。」


「言われてみればその通りね。」


「……俺の剣……」


「あ、忘れてたわ。壊れちゃったのは仕方が無いでしょ! ちゃんとしなさい!!」


「……分かったよ。坊主すまんな。紛らわしいことをした俺達が悪かった。」


「いえ、こちらこそすいませんでした。」



男性が手を出してきたので、俺も手を出して握手をした。



「まっ、攻撃力が下がるが予備の武器で戦うしかないか。」


「えっと、お詫びと言ったら何ですが、折れた武器を見せて貰っても良いですか?」


「別に構わんが、どうするんだ?」



渡された剣を確認する。何の特徴も無い普通のロングソードだな。

多少ほころびてはいるが、手入れは十分にしているみたいだし、俺が切らなければ、まだまだ現役で使える感じの武器だった。



「これなら直せそうだ。」



俺は錬金術で切り口を合わせてくっ付けた。ついでに刃も綺麗に研磨しておいた。



「はい、どうぞ。」


「どうぞって、直ってる!? しかも前より綺麗と言うか新品同様になってるぞ! どうなってるんだ?」


「内緒です。使ってみてどうですか?」



俺がそう言うと、男性は実際に剣を振って見た。



「大丈夫だ。問題無い。」


「あら良かったじゃない。そろそろ新しい武器とか言ってたし、これでしばらく使えそうじゃない。」


「節約は大事。」


「だな。坊主、ありがとよ。」


「いえ、本当にすいませんでした。それよりあなた達は、これからどうするんですか?」


「もう少し狩りをした後は、階段に戻って休んで、また次の日も同じ地下7階で狩りかな。後2日くらいしたら街に戻る予定だ。」


「それでしたら、2日分の宿を提供させてください。」


「宿? 宿って言うと、例のダンジョンに出来た宿のことか?」


「はい。」


「いや、あそこ値段が高いだろ? 子供にたかるみたいで、さすがに悪い。」


「大丈夫です。俺、あそこのオーナーですから。」


「マジで!?」


「嘘!?」


「やっぱり只者じゃなかった。」


「とりあえず後で俺の名前、シュウと言います。この名前を受付で名前を言って下さい。……えっと。」


「俺はロナウドだ。」


「私はジルよ。」


「マリー。」


「分かりました。では俺は伝えるためにも宿に戻りますね。」


「ありがとな。」


「いえ、それではまた後で。」



俺はその場を離れ、宿へと戻ることにした。


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