262 寄り道
宿屋を出て階段を下ると地下7階だが、実はまだ地下6階のマッピングが終わっていなかった。
何となくマップが埋まっていないのも気持ちが悪いので、先に地下6階の空白スペースを埋めることにした。
「ここからだと東を先に埋めた方が楽かな。」
結局は全部回るからどっちを先に行っても同じだが、それは言わない約束だ。
とりあえず俺はダンジョンを進むことにした。
「今回は文句(?)を言う人も居ないことだし、サクサクと攻略しちゃいますかね。」
少し進むと、オーク3匹が現れたので、俺はオリハルコングローブを開放した。
先頭のオーク2匹が近づいたと同時に首が落ちる。
「ブギッ!?」
残った1匹がビックリして逃走を図ろうとしたみたいだがもう遅い。サクッと倒して戦闘は終了した。
今回のドロップは魔石のみだった。俺は魔石を拾って気が付いた。
「しまった。前に倒したオークの魔石、換金してなかった。」
手持ちのオークの魔石は28個と、オーク肉が2個だった。まぁ、後で半分のお金を渡せば良いか。
俺は忘れないように心のメモに記録するのだった。
「さてと、さっさと攻略しちゃうぞ!」
俺は空白地帯を目指して歩き出すのだった。
・・・・
「これで地下6階は埋まったな。」
戦闘は合計で12回ほど行ったが、オーク肉は1個しか出なかった。運が良いのか悪いのかは微妙だ。
ただ、マップは全部埋まったので、気分的にはスッキリした。
「よし、地下7階へ向かうか。」
地下7階へ降りる階段の途中、宿の前までやってきて思い出した。
「折角だから、魔石のお金払っておくか。」
後回しにすると忘れそうだったので、さっさと払っておくことにした。
宿の中に入ると、ミーナさんとミミさんコンビが受付に居るのが見えた。こうして見ると可愛い女性が受付に居るってのは良いよな。
「いらっしゃいませぴょん。」
「いらしゃいにゃ! ……って、オーナにゃ。」
「2人もどんな感じ?」
「問題ないぴょん。」
「ミーナがよく計算を間違えるぴょん。フォローするこっちの身にもなるぴょん。」
「にゃー! それは内緒だって言ったにゃ!」
相変わらずミーナさんは計算が苦手みたいだ。ミミさんが来てくれたのはある意味助かったかもしれない。
「フィーネって今居る?」
「確か地上で商品の受け取りをしに行くって言ってたにゃ。」
「そっか、ならまた後にするか。」
「何か用事が有るのならお伝えするぴょん。」
「大した用事じゃ無いから後で会った時に言うよ。」
「わかったぴょん。」
「そう言えばオーナーって何処に行ってんだにゃ?」
「ん? ダンジョンだけど?」
「1人でかにゃ?」
「うん。」
「大丈夫なのかにゃ?」
「まぁ、オーク程度なら問題無く狩れてるよ。」
「1人でオークを狩れるって凄いにゃ。」
「凄いぴょん。」
元冒険者の2人だから、ここでソロがどんなものなのかが分かるらしい。
「そう言えば2人って何処で狩ってたの?」
「この辺りにゃ。」
「ボスのオーガを狩ったり、オークを狩ったりしてたぴょん。たまに余裕が有る時は、地下7階にも降りて戦ってたぴょん。」
「じゃあ中堅冒険者として活動したんだ。凄いじゃん。」
「ソロで狩ってる人に言われたくないにゃ。ウチらは3人パーティだったにゃ。」
「そうだぴょん。」
呆れられてしまった。こういうところが常識知らずと言われる所以か。
「まあいいや。これから地下7階へ行ってくるよ。」
「行ってらっしゃいにゃ。」
「頑張ってぴょん。」
元気いっぱいの2人に見送られて元気を貰った俺は、地下7階へ向けて階段を下りて行くのだった。




